短編2
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駅での話

あたしは霊感とか全くなくて、よくTVや友達から心霊体験について見たりきいたりしても、ふ〜んって感じだった。だって自分が今までに一度もそんな体験をした事がないからさ、それでハナから信じるとかって、できないでしょ。だから、こういうネタはいつも半信半疑。100パーセントの確信がないもんね、霊がいるも、いないも。そんなあたしが、未だに納得いかないんだけど、一度だけ、ある体験をしたわけ。

高校何年だったか忘れたけど、確か秋だった気がする。冬用の制服を着ていたから。友達のMちゃんと放課後一緒に帰ってたのよ。彼女は昔から霊感があるらしくて、よく体験談とか聞いてたけど、あたしはいつものことながら半信半疑で聞いてた。それに興味深いし、聞いてるだけならまだ楽しい。つくづく、霊感がある人って厄介だな〜とか、自分が霊感なくてよかった〜とか呑気に思ったりもして。

二人とも電車通学だったから、地元の駅まで帰るのにはまず学校の近くの某鉄道に乗って、次の終点で降りて、階段上がって改札通って、JR線に乗り換えなきゃなんなかった。あたし達はいつも通りに他愛のない会話をしながら、終点で降りて、駅員のおじさんに乗車料払って、階段を上がってたんだ。

で、真ん中あたりまで上がった時に、あたしの左側にMちゃんがいたんだけど、誰かが彼女の肩をぽん、って叩いたのよ。あたしは視界の隅でその手を見た気がして、んで二人同時に「?」って振り返った。…でも、後ろに誰もいなかった。駅員のおじさんは窓口にいるけれど、何段も下だし、そもそも室内にいるのにどうやって肩を叩けるっての。確かに他にも駅には人がいたけど、その時間帯はすごく少なかったし、みんなあたし達より先に階段上がってたしね。

でも確かに二人とも、肩をたたくぽん、って音聞いてる。まるで友達を見つけて声をかけようとしてるみたいにさ。そんで、あたしも手を見た気がするし、だから振り返ったのに。でも、誰も、いないって、どういうわけ?

その後、二人とも気味悪くなって、あれは気のせいじゃなかったって、お互い確認し合ってた。でもおかしいのはさ、霊感のあるMちゃんがその事が起こる前に何も感じてなかったってこと。ただただ後味の悪い嫌な空気が二人をまとってた。

今はあたしも高校卒業して二年は経つけど、あれ以来心霊現象とやらには遭ってないし、あたしも変わらず半信半疑だ。だけど、あの出来事は未だに納得いかない。何だったんだろう?気のせいなんかじゃないのに…。

全然怖くはないけど、気味が悪い体験だったな。あたしに霊感、なければいいけど。

怖い話投稿:ホラーテラー ここあさん  

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