短編2
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最愛の人 1

あまり怖い話ではないので、暇つぶし程度に読んで欲しい。

俺は現在30歳。

仕事は市場関係で、朝の3時から夜10時までという、殺人的なシフトだった。

以前、勤めていた会社が倒産してからはアルバイトで食いつなぐ日々だった俺には、こんな仕事でも人生をまともに生きる大切な手段だ。

そんな俺にも結婚を約束している大切な彼女がいる。

タバコを辞めて仕事が安定したら結婚する。

そんな約束をしていたんだ。

しかし現実は上手くいかないものだ。

この仕事を始める前は、毎朝おはようメールや毎晩の長電話、おやすみメールなどラブラブな期間を過ごしていたのに、仕事に忙殺されて連絡の「れ」の字も出来なくなった。

もちろん、タバコがエネルギー源の俺がこんなに長い勤務の仕事で、周りもヘビースモーカーな職場で禁煙できる訳はない。

俺からのメールがほとんど来なくても、彼女から毎日、以前のようにメールが来ていた。

返事も送らず、家に帰っては気を失うように寝てしまう俺に「メール返事こない」「私は呟いてるのか?」「ツィッターか!」など、悪態をつきながらも良く我慢してくれていた。

しかし、一年も働くと流石の彼女も「寂しい」「つらい」と限界を感じさせるメールや電話の内容になってきていた。

早く何とかせねば。

そう焦っていた矢先だった。

彼女が突然、亡くなった。

車を運転していて、交差点で信号待ちをしていた所に、後ろからトラックが追突し、彼女の車は前の車と挟まれ、全壊した。

唯一の救いは即死だったこと。苦しむ暇もなかったそうだ。

俺はショックのあまり、何もできなくなった。

会社も休み、家に引きこもった。

何を目的に生きればいい?

彼女の葬式には出席したものの、あまりのショックで泣く事ができなかった。

まさに茫然自失だ。

悲しみを吐き出す事も出来ず、現実を受け入れないようにする為、酒を飲みひたすら寝た。

「寂しい」

彼女の声が記憶の中から聴こえてくる。

思い出す度に、仕事であまり構ってやれなかった罪悪感に押しつぶされそうになる。

続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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