短編2
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口伝の神様

私の友達の地元には、と言っても「地元のある一地域」だけが奉っている神様で、「すがだらば様」っていう神様がいるらしい。

「すがだらば」は、口伝でしか聞いていないので漢字は分かりませんが。

すがだらば様は数年に一度「その一地域」の者と、その地域の者が選んだ「他の地域」の者を交えて移転?というか奉る場所を移す祭典があるみたいです。

私の友達が11歳の時、その祭典に選ばれて協力したらしく、大学生になりその地域の近くの地域から離れた一昨年の折にこの話を聞きました。

簡単にいえばすがだらば様を違う場所に移す祭典というのは、木箱に入った石を道端に埋めるだけなのですが、その作業に色々な決まりがあるらしいです。

拝み屋みたいなのが定めた二月の深夜〜早朝に、その地域の者&その地域の者でない者(←人数は何人でもいい)で行列を作り、「しづのよに、おほがみあらふる」等と唱えながら前回の祭典で「すがだらば様」が納められた場所まで行進し、一番幼い者&指名されたその地域外の者が目隠しをして「すがだらば様」を掘り返す。

周りの者は離れた所からその地域に伝わる歌を歌って囃し立てる。

すがだらば様を掘り返せたら、周りの者が掘り返す役割の者二人の持ち物もしくは身につけていた物を燃やし灰を石にかける。

石を木箱に戻し、目隠しをした二人と周りの者が拝み屋みたいな人が定めた次の埋める場所まで行進していき、また「すがだらば様」を道端に埋める。

友達は身につけていた靴下を差し出したみたいです。

友達はなぜその役割に選ばれたのかとかは分からないらしいですが、友達の祖父曰く「しゃーない、誰かは行かないかんけぇの」と言っていたらしいです。

それっきり、友達とその地域の者達と関わりはなく、結局すがだらば様が何の神様かすらわからない。

でも私的には数年に一度移動させなきゃいけないという事と、掘り返す役割の者は目隠しをしなきゃいけないという事からして、もしかしたら祟り神なのでは、と思っています。

友達が言うには、昔「その地域」では人を食べる祭りの様なものもあったとか。

友達自体はその地域の隣の地域出身なので、その祭りについては家族から漏れ聞く噂話程度にとらえているみたいでしたが…

友達はさも当たり前の事の様に特に気負いも無く話してくれましたが、私からすれば「すがだらば様」の祭典で唱える言葉も意味不明ですし、不気味で恐ろしく感じます……;

どこかに似た風習とかあったらすがだらば様の正体を知りたいです。

友達の地元は関西とだけ表記しておきます。

怖い話投稿:ホラーテラー 円さん  

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