中編4
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端午の節句

これは、私が友達Mから聞いたお話です。

      Mの話

私が、前住んでた所にずーっとずーっともう何十年も何百年もある、神社がありました。

そこでは、毎年、端午の節句にお祭りがありました。

小学校2年生から、6年生までの男子が参加するお祭りでした。

こどもの日が近づくと、お祭りのお神輿を作ったり、みんなが歌の練習をしたり、飾りの準備などで、神社もにぎわっていました。

私は女の子なので、参加はできませんでしたが、毎年楽しみにしていました。

みんなで祭ることが当然になっていました。

5月に入って、準備の忙しさもなお増してきたとき、

私は、除いてはいけないといわれている倉庫の所にいました。

母に、「しめ縄を持ってくるから待ってなさいね」と言われました。

10分経過…………。

15分経過…………。

どれぐらい待ったでしょうか。

母は一向に帰ってきません。私は、急に暗くなってきた空を見上げ、歌を歌い始めました。

寂しさと、怖さを紛らわすためでした。

端午の節句を祝う歌を歌っていました。

こどもの日を~ うたーうぅ~

ろうにゃくなんにょ~みんなで

せいちょうし~た~男たち~

男は強くなーるんだ~皆で男を~強くする~

歌詞のかいてあるかみを見ながら歌いました。

でもおかしなことに気がつきました。

なんで、全部、詰めないんだろう。

スペースはあいているのに、

どうして詰めないんだろうと思っていました。でも。そのときは気にならず、

「ごめんね~しめ縄が見当たらなくて」といいながら小走りでやってくる母の元に抱きつきました。

そして、5月3日になりました。

あと2日です。私もわくわくしていました。

ふと、歌詞の紙のことを思い出しました。そこら辺にいる

お祭りの役員のおじちゃんに聞きました。すると、

「あ……それねぇ……Mちゃんは

まだ知らなくていいの。お祭り楽しんどけばいいんだよ」と言っていました。私は、わけがわからず、もう1度聞こうとしましたが、おじちゃんが

「これ以上聞くな」という目をしていたのが幼い私にも判ったので、目を泳がせながらも、

「そ、そっか!お祭り楽しみにしてるね!」といって、おじちゃんのもとをすぐに去りました。

気づいたら、除いてはいけないという倉庫の前にいました。

倉庫の前には、「立ち入り禁止!!!」と赤で書かれていて、とても入れそうな雰囲気ではありませんでした。

だけど、好奇心旺盛な私は、ドアの鍵穴から中を除いてみました。すると、中から声がします。

こどもの日を~ うたーうぅ~

ろうにゃくなんにょ~みんなで

せいちょうし~た~男たち~

男は強くなーるんだ~皆で男を~強くする~

私の歌っていたリズムとちがいました。

イントネーションも違くて、頭の言葉を強く歌っていました。

その後、歌っていた人が見えました。

長い黒髪に白い着物を着ていて、爪で何度も壁をかいています。

私は、恐ろしかったのに、目が離せませんでした。

そして、やっと目が離せたとき、一枚の紙が、足に乗っかっていました。見てみると

「ころせ男を」と書いてありました。

私はびっくりしました。

でも、再びびっくりしました。

端午の節句の歌は、なぜか不自然に言葉が並んでいて、

立て読みをすると、1行目が

「ころせ男を」になっているのです。

私は、放っておけずに、役員のおじちゃんに聞きました。すると、「そっか。そこまで知ったなら、言うしかないね。

昔、ここは、男だらけで、まだ村の時代のとき、

別名で「男の村」とも呼ばれていたんだよ。

そこに、1人女が嫁いできて、

男は幸せだったと。だけど、

その女が来てからは、畑の農作物が育たなくなったり、

雨がいっこうに振らなくなったり、動物が次々に死んでいったり、嫌なことがおこったと。そしたら、村長の息子が、「女が来たからだ!」と勝手なことを言い始めて、その噂が広まってしまったらしい。そしたら、女のだんなも、気味悪がって、たちまち女は嫌われ者になった。そしてある日、

女がいけにえになることになったんだ。女はそんなことは知らず、いつもよりみんなが嫌がらせをしてこないから、

嬉しかったらしい。だけど、夜になったら、周りを囲まれて、

あの、倉庫に閉じ込められて

何日も何日も出してもらえなかったらしい。2週間ほどたって、ダンナが倉庫をこっそりのぞいてみると、女は飢えて死んでたらしい。その倉庫には

女の怨念がいっぱいつまってて、村では、たくさんの不幸が続いたと。だから、その怒りを静めるために、「ころせ男を」がはいった歌詞をむりやりつくり、端午の節句で男を祝う見せ掛けで、女の怒りを静める儀式となったんだ。君が見た女の人は、その女の霊だったんだろうね」おじいさんの話をききおわった私はその場に崩れこんだ。

そして、私は、その町から去った。

Mの話終わり

長文をお疲れ様でした

怖い話投稿:ホラーテラー 怖い話大好きYさん  

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