これは、私が友達Mから聞いたお話です。
Mの話
私が、前住んでた所にずーっとずーっともう何十年も何百年もある、神社がありました。
そこでは、毎年、端午の節句にお祭りがありました。
小学校2年生から、6年生までの男子が参加するお祭りでした。
こどもの日が近づくと、お祭りのお神輿を作ったり、みんなが歌の練習をしたり、飾りの準備などで、神社もにぎわっていました。
私は女の子なので、参加はできませんでしたが、毎年楽しみにしていました。
みんなで祭ることが当然になっていました。
5月に入って、準備の忙しさもなお増してきたとき、
私は、除いてはいけないといわれている倉庫の所にいました。
母に、「しめ縄を持ってくるから待ってなさいね」と言われました。
10分経過…………。
15分経過…………。
どれぐらい待ったでしょうか。
母は一向に帰ってきません。私は、急に暗くなってきた空を見上げ、歌を歌い始めました。
寂しさと、怖さを紛らわすためでした。
端午の節句を祝う歌を歌っていました。
こどもの日を~ うたーうぅ~
ろうにゃくなんにょ~みんなで
せいちょうし~た~男たち~
男は強くなーるんだ~皆で男を~強くする~
歌詞のかいてあるかみを見ながら歌いました。
でもおかしなことに気がつきました。
なんで、全部、詰めないんだろう。
スペースはあいているのに、
どうして詰めないんだろうと思っていました。でも。そのときは気にならず、
「ごめんね~しめ縄が見当たらなくて」といいながら小走りでやってくる母の元に抱きつきました。
そして、5月3日になりました。
あと2日です。私もわくわくしていました。
ふと、歌詞の紙のことを思い出しました。そこら辺にいる
お祭りの役員のおじちゃんに聞きました。すると、
「あ……それねぇ……Mちゃんは
まだ知らなくていいの。お祭り楽しんどけばいいんだよ」と言っていました。私は、わけがわからず、もう1度聞こうとしましたが、おじちゃんが
「これ以上聞くな」という目をしていたのが幼い私にも判ったので、目を泳がせながらも、
「そ、そっか!お祭り楽しみにしてるね!」といって、おじちゃんのもとをすぐに去りました。
気づいたら、除いてはいけないという倉庫の前にいました。
倉庫の前には、「立ち入り禁止!!!」と赤で書かれていて、とても入れそうな雰囲気ではありませんでした。
だけど、好奇心旺盛な私は、ドアの鍵穴から中を除いてみました。すると、中から声がします。
こどもの日を~ うたーうぅ~
ろうにゃくなんにょ~みんなで
せいちょうし~た~男たち~
男は強くなーるんだ~皆で男を~強くする~
私の歌っていたリズムとちがいました。
イントネーションも違くて、頭の言葉を強く歌っていました。
その後、歌っていた人が見えました。
長い黒髪に白い着物を着ていて、爪で何度も壁をかいています。
私は、恐ろしかったのに、目が離せませんでした。
そして、やっと目が離せたとき、一枚の紙が、足に乗っかっていました。見てみると
「ころせ男を」と書いてありました。
私はびっくりしました。
でも、再びびっくりしました。
端午の節句の歌は、なぜか不自然に言葉が並んでいて、
立て読みをすると、1行目が
「ころせ男を」になっているのです。
私は、放っておけずに、役員のおじちゃんに聞きました。すると、「そっか。そこまで知ったなら、言うしかないね。
昔、ここは、男だらけで、まだ村の時代のとき、
別名で「男の村」とも呼ばれていたんだよ。
そこに、1人女が嫁いできて、
男は幸せだったと。だけど、
その女が来てからは、畑の農作物が育たなくなったり、
雨がいっこうに振らなくなったり、動物が次々に死んでいったり、嫌なことがおこったと。そしたら、村長の息子が、「女が来たからだ!」と勝手なことを言い始めて、その噂が広まってしまったらしい。そしたら、女のだんなも、気味悪がって、たちまち女は嫌われ者になった。そしてある日、
女がいけにえになることになったんだ。女はそんなことは知らず、いつもよりみんなが嫌がらせをしてこないから、
嬉しかったらしい。だけど、夜になったら、周りを囲まれて、
あの、倉庫に閉じ込められて
何日も何日も出してもらえなかったらしい。2週間ほどたって、ダンナが倉庫をこっそりのぞいてみると、女は飢えて死んでたらしい。その倉庫には
女の怨念がいっぱいつまってて、村では、たくさんの不幸が続いたと。だから、その怒りを静めるために、「ころせ男を」がはいった歌詞をむりやりつくり、端午の節句で男を祝う見せ掛けで、女の怒りを静める儀式となったんだ。君が見た女の人は、その女の霊だったんだろうね」おじいさんの話をききおわった私はその場に崩れこんだ。
そして、私は、その町から去った。
Mの話終わり
長文をお疲れ様でした
怖い話投稿:ホラーテラー 怖い話大好きYさん
作者怖話