私は身ごもっていた。
夫はどこかへ行ったきり、帰ってこない。
私は大切な子供のために、血が必要になった。
暑い夏の公園、セミがジージー鳴く中、私は懸命に子供のために人を探した。
でもなぜか本能的に嫌な匂いがして近づけない。
良くその人達を見てみると、体中にスプレーを撒いている。
なぜそんなに私を毛嫌いするのだ。
そんな事を思いながら時間が過ぎていった。
そして夜が明け、またセミがジージー鳴く。
相変わらず公園をうろちょろしていると、隙をついて人間の首筋を刺してやった。
これで一安心と思ったのもつかの間、いきなりそいつは私を叩き潰そうとしてきたのだ。
私はどうにか逃げた。
そして今度こそ、ちょうどいい獲物を見つけた。
私が目を付けたのが老人、これも自分の大切な子供のためを思うとしょうがないと思った。
そして隙をついて首筋に刺してやった。
しかし次の瞬間、その老人が私に何かを噴射してきた。
そして私はそのまま死んだ。
老人「あーかゆいかゆい、もう蚊が出てくる季節かぁ。歳をとると時間が早く感じるなぁ。それにしてもこのスプレー、蚊を寄せ付けない効果だけじゃなく殺虫する効果もあるのか。時代もずいぶんと変わったなぁ。さて、今日は蚊が多いし、蚊取り線香でも買って帰るかな。」
怖い話投稿:ホラーテラー ユートピアさん
作者怖話