中編3
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猿蟹合戦

猿蟹合戦。それは有名な昔話。

たくさんの教訓が詰まっている話だが、

あれはあくまでも偽りの話。

実際はもっと残酷で欲深い話なのである。

権造はその頃、自分の生まれた山から少し離れた里の女、「たみ」と所帯を持ったばかりだった。

権造は、いつもどおりいばりくさった。

村の者はみな、権造のことを非難していた。

畑もしない者がいばりくされば、そう言われるのも無理はない・・・

だが、たみは権造に文句すら言うことも許されなかった。

文句なんて言ってしまえば、暴力をふるわれるからだった。

権造は猟をやっていたが、全然捕れる見込みはなく、畑をやっていた方が儲かるはずだった。

なぜか、猟というこだわりのせいで、次第に貧乏になっていくのである。

今日も猟をしていたが、いつも通りだった。

捕れる見込みもなく、木の上の柿を食べて変えることにした。

家に帰ると、たみがおにぎりを持っていた。

「握り飯じゃねぇか!」

「これはさっき、旅の者が残して置いていったのをオラがもらって・・・

でも、何か獲物があったら、取り替えてやってもええよ・・・。」

「・・・え、獲物はこれだ・・・。」

取り出したのは先ほどの柿の種だった。

「握り飯は食ったら無くなるが、これは育てれば今にいっぱい実がなる。

こっちを取った方が偉いぞ・・・。」

そう。

これは猿の言葉である。

「よこせっ!」

握り飯を取られてしまった。

仕方なく、たみは家の庭に種をまいた。

それから8年経ったある日。

「やっと実がなるようになったか。」

権造は木に登り柿を取った。

「うまいなぁ。」

「オラにも取ってけれ。この腹じゃ上れねえ」

たみは妊娠していた。

「あぁ?柿は体を冷やすんだぞ。お前が食ったらいけないぞ。」

「あんたはいっつもそうだ!これはオラが育てたんだぞ!

くれないならあの時の握り飯返せ!!!」

それを言うのも無理はない・・・

「家のモノは全部俺のモンだ!」

権造はたみの腹を蹴った。

絶対にしてはいけないと知っていながら・・・・・。

もちろんたみは即死だった。

腹から血が出てきた。

権造は怖さのあまり、逃げてしまった。

死んだ直後、赤子は生まれた。

たみの死から12年が経った。

みんな権造を憎んでいた。

「・・・憎かろう・・・憎かろう・・・」

たみの息子は12歳になっていた。

息子は生きるため、権造の家に盗み食いに来ていた。

「・・・憎かろう・・・憎かろう・・・」

たみの息子はある計画を立てていた。

その計画は周りの人々と共に実行した。

息子は権造の家に入り、権造の待った。

謙三が帰ってきた瞬間、包丁で権造の顔に傷を負わせた。

そして息子は、ドアの向こうに走り去ろうとした。

もちろん権造も追いかけてくる。

すると権造はこけてしまった。

足をロープで結ばれていた。

こけた先には針がたくさん埋め込まれていた。

ここまでは計算通りだ。

グシャァ!

生々しい音が響き渡る。

息子たちのしかえしは、これだけでは終わらなかった。

紐でぐるぐる巻きにされた権造がそこにいた。

「やっと仇が討てるよなぁ・・・」

「助けてくれ・・・たみの子は俺の子だろ・・・。」

「ああ、そうだ。」

「俺のおっ父は、おっ母の畑を手伝わなかった。

おっ母の握り飯を取り上げた。

おっ母に柿を食わせなかった。

おっ母の家でいばりくさった。

そして・・・

おっ母の腹を蹴って殺した!!!」

包丁で切り刻まれた権造は、無惨な姿になっていた。

「あの世で、おっ母に謝れ・・・。」

怖い話投稿:ホラーテラー 名無さん  

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