中編3
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工場の夜

少し長いが、俺の生活を一変させた体験を投稿する。

俺は深夜専門で工場の機械管理の仕事をしていた。

そこは1フロアに30台のレンズを加工する機械がある。

機械と機械の間隔はだいたい体に肘をつけたまま腕を広げたくらい。

多分1メートルあるか?ないか?くらいの狭さだ。

だいたい機械はスタートしたら勝手に動いて製品を加工してトレーにのせて貯めていくからまぁまぁ手はかからない。

そんな所で平日は6人体制で勤務しているのだが、その日は休日で俺1人で10台を動かしていた。

と言ってもたまに加工上がりのレンズを見るだけだから、奥の隅っこにある席でポテチ食いながらジャプ読んでたのだけど、丁度ナト読み始めた時に1つの台から異常アラームがなり始めた。

面倒くさいけど、見に行くと安全カバーが少し開いていた。

多分機械の微振動で開いたのだろう。閉める。

席に戻ってジャプ読んでたら、すぐまたアラームがなった。

次はさっきの隣の台だ。

行ってみると又安全カバーが少し開いていた。

又さっきと同じ様に閉めて席に戻る。

最初ただ「面倒くさい、また開いた…。」って感じだったのだけど、流石に青ざめてきた。

ジャプなんて読んでられなくなった…。

なにせ繰り返す事11回目。

いままでにも数回あった事はあるが、それは月に数回くらいだ。それが数十分に11回って…。

…………。

そんな11回目に開いた機械の前で考えているとき。

ふっと気配を感じて俺は後ろの通路を振り返った。

10台くらい先、今日は動いていない機械のはしから何かが顔を出していた。

髪が長く、真っ白。

真っ赤な口は異様なほど大きく開いて、黄色歯がならんでいた。

そして、あるはずの場所はのっぺらぼうそのもので、鼻も眼も無かった。

気がつくと俺は入り口まで走って、鍵が無いのに何故かあかないドアのノブを必死にガチャガチャしていた。

助けて!!!助けて!!!!!助けて!!必死に叫んでドアをぶち壊さんばかりに叩く。

助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!助けて!

恐怖なんてものじゃない、本当に生命の危機・死がせまる感覚…。

振り向くと機械4〜5台先からあいつがゆっくりと機械のはしからアノ顔を俺に向けた。

あぁ…もうだめだ。

そう思った時俺の体がゆっくりと後ろに倒れて誰かに抱きかかえられた。

「甘梨どうした?」

みあげると主任がいた。

「先輩…。」

先輩が俺から目をあげる。

その顔が氷ついた、アレを見たのだろう。

先輩はすぐさま俺をドアの外に引きずり出すとドアを閉めて、近くの台をドアの前に引きずり、開かない様にした。

外には何人かいたが、先輩の肩越に見えたのだろう。

皆固まっていた。

それを先輩は指示して、別フロアの休憩室に移動し、後は朝が来るまでみんなで固まっていたのを今でも覚えている…。

もちろん、次の日から俺は会社を辞めて今は別の所に働いている。アレがなんだったのかも聞かなかったし、今でもわからない。

ただ。あの日以来。

俺は少しおかしい。

何故か普通の人には見えないモノが見えているみたいなのだ。

幻覚かはたして現実か…。

今は週3、仕事帰りに精神科に通う生活をおくっている…。

怖い話投稿:ホラーテラー 甘さん  

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