今日もいつもの最終電車に乗り込む。
がらがらの車内を何となく眺めて、一番端の席を選んで腰をおろした。
ぐんと深く座る。
瞼を閉じれば今日もすぐに眠りに落ちることができるだろう。
いつもと同じように。
あくびがでる。
眠い。
なんだか、多忙な毎日である。
時間だけが過ぎていくのに仕事が一向に減らない。
クレーム処理だの雑用だの、忙しいだけで何の特にもならぬ仕事である。
最近は神経が麻痺してきたのか、すっかりそれが慣れっこになってしまった。
しかし、この仕事を拝命して後しばらくは睡眠薬なしで夜も眠れないほどのストレスだった。
その仕事のストレスでつい喧嘩をしたのがきっかけで、
彼女に別れを告げられた。
どんな喧嘩だったか忘れたけど、くだらないことに違いはない。
ショックだった。
何度謝っても、許してもらえなかったんだ。
会社を1ヶ月休んで、
散々酒を飲んだ。
資金もなくなり、会社にもどったら、また大量のクレーム処理である、
嫌になってしまった。
感情もない
否、
眠い。
…
あぁ、眠い
…
『次は、T駅です。おで口左側です』
いつものように、この駅で目が覚める。
いつものように、この駅であの娘が乗ってくる。
いつものように、あの娘が私の前の席に座る。
いつものように。
そしつ、彼女はふと周りを見回す。
車内には誰もいない。
この状況は今日が初めてだ。
怖いものでも見る表情で彼女は私にきいた
『いつも乗ってらっしゃるんですね』
はい
『どちらに向かっているんですか?』
H駅です
『毎日?』
ええ
『でもあなた、いつも、途中のA駅でおりていく』
え?
『A駅で、この前人身事故が起きたの』
え?
『わかってないのね、やっぱり』
え?
『その事故で死んだのは、多分あなたよ』
驚き、席を立つ。
振り返り見つめたガラスに、私の顔は映っていなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー るららさん
作者怖話