短編2
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神父の戦慄

カトリック司教により任命される「公式エクソシスト」という聖職があります。

ある時、神父のもとに、ナポリから母親に付き添われて9歳の少年がやってきた。

同級生に突然ひどい暴力を奮い、授業中におかしな事を口走る。

精神科を訪れても埒があかづ、ついに公式エクソシストに相談してはどうかと言い出したのは担任の教師だった。

エクソシズムとともに、少年は別人のような声で対応し始めたが、その会話の内容は、神父にとって一生忘れられないものとなった。

「さっき、もっと強い者がここに来ると言ったが、お前はどの目で見ているのかね?その子供の目か、それともお前の目なのかね?」

神父がそう訪ねると、少年はこれを嘲笑った。

「俺は、このガキの目と俺の目で見ているんだ。覚えておくんだな。お前に出来ることは現象(フェノメノ)を見ることだけだ。

お前らが本体(ノウメノ)と呼ぶもの、隠されているものをお前は決して知り得ない。俺は感性と知識とで全てを把握している。

俺は、お前も認識しているぞ。

お前の中にあるものをな」

ノウメノというギリシャ語源のその言葉は、新プラトン主義からカントの認識論に転用された用語で、知性だけでは認識出来ない、感性を通してこそ認識に至れる事柄を意味していた。

神父がこの時、言葉を失うほど驚いたのは、それを口にしたのが授業についてゆけず、読み書きすらろくに出来ない9歳の少年だったからではない。

そのノウメノ という言葉がまさにその瞬間、神父の脳裏に閃いた言葉だったからだ。

神父には、いつまでもその時の戦慄が忘れられなかった。

エクソシズムにやってくる人々の95%以上が、精神的な病だそうです。

しかし、数%は知性を有する目に見えない外的存在の影響によるそうです。

その存在に聖職者の祈りは効果がなく、ただひたすら神を信じるしかないそうです…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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