中編4
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線路沿いの学校

俺が通っていた高校は某鉄道の線路沿いにあったのだけど、その鉄道、昔から飛び込み自殺が多く、フェンスが設置されてない箇所もあり、迷い込んだ犬や猫、まだ幼い子供などの犠牲もあったんだ。

実は、以前からこの高校では受け継がれている噂や体験談が多々あり、建設前までは墓地だった事実も手伝ってか毎年色々な体験談が語られていた。

前置きが長くなったが俺の体験談を話します。

あれは高校2年の夏、サッカー部の合宿の時。

1日目の練習を終え風呂に入り9時頃だったと思う。

後輩を含め7人で近くのコンビニまで歩いて行くことになった。

第2校舎と第3校舎の間の道をゾロゾロ歩いていくと途中に校舎を繋ぐ連絡通路に差し掛かる。

その通路の第2校舎側には唯一ある公衆電話があり、そこだけボンヤリと明るくなっている場所があるんだけど丁度そこを皆で話しながら通りすぎようとした時、公衆電話の前に真っ黒い人らしき者が座っていたのが目に映った。

最初は先輩が隠れてタバコでも吸ってるのかなって思っていたが‥。

近づくに連れて黒い人の輪郭が解ってきた時、俺の頭皮の毛穴が拡がっていくのがわかった。

そいつには下半身がなく‥異様に両手が長い。一定のリズムでユラユラと左右に揺れていた。

そいつに気づいているのは1番左側を歩いていた俺だけで、一気に変な汗が吹き出てきて体がガタガタと震え出した。

そいつとの距離は約5m、俺はそいつを二度見して確認した。

やっぱりそこには異様な黒い塊がボンヤリとした明かりの前に居る‥!

なんだ‥あいつ!?

叫んで逃げ出したい‥なのに俺は咄嗟に息を呑み堪えた。今逃げ出せば追ってくると思ったからだ。

もう頭半分パニックになりながらも自然と早歩きになり、我慢に堪えきれずに裏門まで来た時、走り出していた。

一緒にいた部員6人も「どしたん?何があったんよ?」と追いかけてきてコンビニで事情を話した。

何人かは顔色が変わって黙っていたが、半分は好奇心でか帰りも同じ所を通ると言い出したので恐る恐るそいつらが先頭で歩いて戻った。

だけど、大概そんな時は何も変わらず公衆電話が見えるだけ。

俺はホッとしたがヤツが居ると居ないのでは、ここまで違って見える事にしばらく震えが止まらなかった。

何事も無く宿舎に戻り、念の為に先輩達にそこに居たかを聞いたが誰も該当しなかった。そしてその話をすると、「それってテケテケじゃねん?」と答えが返ってきた。

テケテケは各地で色々と怪談話があるみたいで、本にも載っている話らしく、噂では電車に轢かれて上半身と下半身が真っ二つになったパーツを探しているとか‥

上半身は匍匐前進、下半身は足で、かなりのスピードで追いかけてくるらしい。

俺が見たのは上半身の方?だったのか…。もし追われていたら‥と思うとゾッとする。

俺はその合宿で初めてテケテケの存在を知ったのだけど、他の部員も同じ連絡通路あたりで自転車の後ろの荷台をいきなり掴まれたりしたらしい。まぁ学校自体が墓地だったのだから、なんらかの怪奇現象が起きてもおかしくはないし全部テケテケとは限らないんだけどね。

そんでその夜、宿舎に戻ってから…見てしまった。就寝前、2階のマネージャー達の部屋(12畳)で10人くらいでunoやってた時。

部屋の出入口は廊下側に2カ所あって引き違いの戸なのだが、左の方にある戸が少し開いていて、ふとそっちを見た時に誰かが覗いているのがわかった。

誰かが脅かそうとしているのかな?と思って黙ってその後の様子を見ていたが、その瞬間向かって右側の戸が勢い良く開いた!‥‥マネージャーだった。

みんなビックリしていたが

俺「あれ?S先輩、さっき左側の入口から見てたでしょ?気づいてましたよ~もう~」。

S「‥え、私今来たとこだよ、左側って誰も居なかったし、誰ともすれ違ってないんだけど‥」

俺「‥‥じゃあ誰だったんすかね‥あの髪の長い女の人‥?」

「……?」

実はその後に人からの噂や先生の話を聞いたところなんとなくわかってきた事がある。

そこの宿舎内には、出入口が厳重に鎖と南京錠で封鎖されている「立入禁止の女子トイレ」が存在していた。

顧問の先生からは床が抜けていて危ないからって理由で立入禁止とされていると聞きましたが。

先輩から後輩へ受け継がれている話で多かったのが、過去にそのトイレで女生徒のレイプがあり殺害されたと…。

はたして俺が見た覗いていた女はその人だったのかは定かではない。

過去、そのトイレに侵入した生徒は誰も居ない。

もちろん俺もそんなトイレには近づけず、噂しか掴めなかった。

でも、俺が見た左側の出入口…

廊下を挟んで反対側にそのトイレはあったんです。

聞いた時は鳥肌が立ちました。

確かにその廊下の先は行き止まりで、屋上へ出る為の扉があるだけ。男子トイレとはかなり離れていた為、まったく気付かなかった。

覗いていた女性は、恐らくその人の霊だったのか… いや知らなくていい事だったのかもしれない……。

この体験談はここで終わりです。

しかしこの高校、やはり怪奇な事がやたらある。

違う部活をやっていた今でも仲の良い友人達がいる。

俺なんかより遥かに霊感体質のその友人が直面した合宿での体験談はまた近い内に投稿します。

長文読んでいただきありがとうございました

怖い話投稿:ホラーテラー ちょんぺらぽんさん  

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