僕の目の前に立っていたスーツ姿の初老の男性が線路に落ちた。
男性は意識を失っているようだった。
電車が警笛と凄まじいブレーキ音を鳴らし入ってくる。
助けに行こうなんて考える人は誰もいなかった。
電車が男性の上を通過する。ゴトンと少し上下に揺れる。
電車が停止すると同時に辺りがざわめき始める。
泣き崩れる若い女性
携帯で人身事故で遅れると会社に連絡するサラリーマン
駆けつける駅員
様々な音が飛び交う
僕はウォークマンで聴いていた音楽を止めて現場の音を聴く
興奮でウォークマンを操作する手が震えた。
女の泣き声で僕のアレがそそり立つ。
この騒然となった現場の光景は何度見ても興奮する。
この興奮を味わうために僕は初老の男性を脅して飛び降りさせた。
最初は自分が自殺する予行演習のつもりで他人を飛ばしていた。
何人目からかは忘れてしまったが、僕はこの行為に快感を覚えていた。
そうだ、次は女を落とそう。
飛び降りる前の女の絶望した表情は最高に興奮する。
女を落とすことを考えると思わずニヤニヤしてしまう。
もう現場を立ち去ろう。
家に帰ってもう一度、記憶が確かな内にやっておきたいしな。
明日はイイ女が駅にいるといいな…
怖い話投稿:ホラーテラー 鯖さん
作者怖話