短編2
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山の大穴

小学生5年生の夏休み。僕と妹は祖父母の家に遊びに行った。

小学校高学年になったということで思い出作りと社会経験を兼ねて、

両親は家に残って僕と妹二人だけで新幹線と電車を使って向かうという、当時の僕としてはちょっとした冒険の旅をした。

まだ携帯電話が今ほど普及していない時代で小学生の孫が初めて二人だけでくるせいか、

祖父母は心配して居ても立ってもいられなくなり到着予定の一時間前から駅で待っていたと聞かされた。

祖父母の住む町はスーパーもコンビニも駅前に一つずつしかないという絵に描いたような田舎だった。

けれどコンクリートだらけの都会暮らしの僕にとっては山や川といった自然に囲まれたこの町全体が魅力的な遊び場所だった。

着いて次の日の朝、祖父母の家の隣に住んでる従兄弟の同い年のまーくんを呼んだ。

まーくんとは昔からの遊び相手で毎年のように二人で山に探検に行ったり、川で釣りをしたり朝から日が暮れるまで遊びまわっていた。

「おー〇〇!!ちょうど昨日良い遊び場所みつけたんだ!行こうぜ!!」

僕の姿を見る也否や一年ぶりの挨拶もする暇なくまーくんは自転車に乗って走り出した。僕わ慌ててその自転車の荷台に飛び乗った。

「遊び場所って?懐中電灯なんに使うん?」

「行けばわかるよ。」

家から5キロ程離れた小さな山のふもとにそれはあった。自然に出来たものか、それとも人為的に作られたものか定かではない。

穴。小学生がしゃがまずに楽々入れるような大きな穴。洞窟と呼ぶほうがふさわしいか。とにかくでかい穴が口を開けていた。

まーくんが「なっ面白そうだろ」って顔でニヤニヤしてる。

「すげー」

「中はもっとすげーよ?」

まーくんが自慢気に言うと穴の中に入って行った。それに続き僕も中に入った。

中は昼間なのに闇に包まれて何も見えない。まーくんはもってきた懐中電灯を着けて照らした。

「こっから先は一人じゃ怖くて進んでないんだ。」

たしかに一人じゃ心細くなるくらいに奥まで洞窟は続いてるようだ。

「でも二人なら楽勝だな!!」

僕はワクワクしながら奥に奥に進んで行った。

予想以上に洞窟は広く進んでも進んでも行き止まりまでたどり着けない。真っ暗な景色が延々と続いてるようだ。

僕がすこし怖くなりまーくんに「引き返したい」と伝えようかなと思ったその時、暗闇の奥から男の声で

「おーい。おーい。」

と呼ぶ声がした

続く。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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