短編2
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地縛霊

私は転勤族の父親の元に生まれ、日本全国、または中国や香港、韓国など各地を転々として育ちました。

この話は、私が7歳の頃に暮らしていた中国華北の田舎での話です。

私の母は私が幼い頃に他界しており、父は転勤族でしたが会社ではなかなかいいポストでしたので、

現地の人を雇い私は学校いかないかわりに現地の雇われ家庭教師に語学を中心に教育を受けていました。

屋敷からはあまり外出させてはもらえず…所謂、箱入り娘です。

ちなみにこの屋敷は清朝だった18世紀にここらの豪族だった珍とかいう人の建てた中古物件で、

いつも香港・韓国では高級マンションや新築のインテリチックな屋敷を借りる父にしては珍しく古風に走ったものです。

そして、幼い私には、ちょっとした能力がありました。

映画『シャイニング』をご存知でしょうか?

あの映画に出てくる少年の能力に少し似たものなんですが、多少、霊が見える事がありました。

無口で大人しい内気な当時の私の云わば秘密でした。

その中華邸宅にはいたのです。

確かに力の弱い、なんの念入りのない霊も屋敷の中にちらほらいましたが、中に異様に何かに執拗な執念を持ち、かなり強烈な力を持った氣を放つ霊が。

他の霊は気安く私に姿を見せ、人のいいやつなんかは挨拶までしてくれて、特別怖くも痒くもなかったんですが、

ソレは姿を見せてはくれず、近くには必ずいるのですが、障子、暖簾、屏風に何時も隠れて頑ななのです。

拒絶しているようにも脅迫しているようにも、逆に私を恐れているようにも感じました。

同様に私もソレを恐れていました。今までとは違う危険な霊に思えたからです。

霊媒師なんて呼べるわけはありませんでしたから、父がそういうのは否定している人種でしたし、子供が言ったとこで誰がや信じます?

そこで、昔から先祖代々ここに住む飯炊きの初おばさんに、それとなくこの屋敷の話を聞いてみたところ…

昔、同冶帝の御世にこの屋敷の主人に美しい娘がいて、主人はえらく可愛がっていたが、

主人が亡くなると、娘は亡くなった正妻の娘で、主人が亡くなると妻たちの中でとくに我が強い側室が家を仕切るようになり、

娘はたいそうこの側室に忌み嫌われ、いじめられるようなった。

娘には、年頃になったばかりに腐男との縁談を無理矢理推し進められ、

娘はその側室と喧嘩をした際、側室に毒殺されてしまい、その側室もその二年後自分も毒を飲み自害したというのです。

多分、二人の霊魂が合体して強烈な悪霊となってしまったみたいだと私は推測しました。

しかし、彼女らは家に執着する所謂地縛霊で、私は危ない目にあう前に日本に帰ることが出来ました。

たまたま私はたたられる前に日本に帰れただけで彼女らまぎれもなく悪霊だと思います。

あのまま住んでたらただではすまなかったでしょうね。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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