中編3
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地獄の入り口

俺の幼馴染み(男)で小学校と中学校が一緒だった奴がいる。最近、そいつから告白された話を投稿します。

なるべく脚色しないように事実に沿ってを書きますので、あまり恐くないかも知れません。

そいつの家族は土木工事の社長をやっている親父さんと、お袋さんとそいつ(A)と弟の4人家族だった。

しかし、Aが中学生になった頃に親父さんは、持病の糖尿病が急激に悪化して亡くなった。体格が良かった人だったのに、最後の方はガリガリに痩せていたんだ。

Aと一緒にお見舞いに行った俺が、印象に残っていた親父さんの言葉は「痩せたら体に羽が生えた様に軽く感じるよ」だった。

その数ヶ月後にAの親父さんの会社が倒産して、Aの家は借金で差し押さえられ、残された家族三人は市営住宅に入っていた。

それからの貧乏の日々は、本当に地獄で、一家心中を何度も考えたとAは言った。

そして現在、Aも30歳の若さで糖尿病が悪化して働けなくなった。俺がAを励ましていると、Aが過去に何があったか話し始めた。

親父さんが元気だった頃、国や市から仕事を受けて、主に下水道の工事をしていたんだ。従業員は30人くらいの小さな会社だったけど、

経営はそこそこ上手くいっていたらしい。Aも将来は会社を継ぐ予定だった。「ある工事」をするまでは・・・・

その工事は市街地にある新興住宅地まで、下水道を引くものだった。着工してしばらくは、いつもと同じ工事だと親父さんも含めて全員が思ったそうだ。

そしてある場所に差し掛かった時に事故が起きた。作業員の一人がショベルカーに足を轢かれ、足の骨が粉々に砕けてしまった。保険金は出たものの、その人はまともに歩けなくなってしまった。

その後も次々と作業員が事故に遭い、半分近くの人間が仕事をできなくなった。ここで親父さんは工事を断念し、他の業者に仕事をまわしたそうだ。

しかし、無事だった従業員達も大病を患わったり、車の運転で事故に遭うなどAの親父さんの会社に次々と不幸が起こった。

「これは何か良くないものを掘り起こした」と思ったAの親父さんは、神社の神主さんに相談したんだ。

近所のお寺の住職さんや神主さんは、Aの親父さんにとてつもない悪いモノが憑いているが、原因がわからない為、自分の力では祓えないと言ってきた。

Aの親父さんは、知り合いのつてで力のある神職を探し出し、工事現場を見てもらった。

そして、あるマンホールを見つけた。その時の話がこれだ。

「大地には地脈というものがあり、決して掘ってはいけない場所がある。それがここです。ここに何があるのか?それは地獄の入り口です。見えませんか?見えなければ見せてあげましょう。」

その人は、御札のような物をマンホールの蓋の裏側に貼り、一度蓋を閉めた。

そしてもう一度蓋を開けた時、Aの親父さんは見てしまったそうだ。

地獄の入り口を・・・

底は果てしなく深く、マグマのように赤く、夥しい数の亡者たちがこちらを仰ぎ手をあげて助けを求めていた。

更にその人はAの親父さんに言った。

「あなた方はこの中に入ってしまっている。魂はすでにあの中に囚われているのです。残念ですが、もはや助ける事はできません。」

そして数ヵ月後。予言どおり親父さんは亡くなった。

親父さんの会社に勤めていた人たちも数年以内に全員が亡くなっている。

最悪な事に、その業はAにも受け継がれてしまったそうだ。

Aは自分が動けなくなるまで、この話を信じていなかった。

俺は「なぜ俺に話したのか?」とAに尋ねた。

Aは「この業は、最も縁の深い人間に渡るから」と言った。そして「俺の親友はお前だけだから」と。

Aは弱った身体を引きずり起こして、蓋のとじた鍋をを俺に見せた。

A「開けてみろ。何が見える?」

俺は恐る恐る鍋の蓋を開けた。しかし、何も無かった。それを見たAは「よかった。もう帰ってくれ」と最後に俺に言った。

そして数ヵ月後。

Aは亡くなった。

Aはあの時、何をみていたのだろうか?

俺は今でも、蓋がしてあるものを開けられない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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