初めて投稿させていただきます。
私が実際に小学校低学年時に体験した話です。少しばかり下ネタがあります、ご注意ください。
また、リアルな体験なのでオチはございませんが、よろしければお楽しみください。
小さい頃の私は山深い田舎に住んでいました。
父と母は共働きをしていて、毎日帰ってくるのは夜遅くになっていました。
私はというと畑仕事をしている祖母によく面倒をみてもらっていて、
もっぱら集落内の近隣の子どもたちと山へ遊びに行っていました。
その日は確か日曜日で、午前中から集まった私たちは
いつものように山へ探検しに行こうと、道沿いの草花をもてあそびながら登り始めました。
メンバーは仲良しの、AちゃんBちゃんと私の三人。
とても暑い日でした。
その裏山は子どもの足でも2時間もあれば頂上まで登れる小山で、
獣道以外には鬱蒼とした林が広がっていて、私たち子どもにとってはそれだけでわくわくするような場所でした。
頭にかんかん照りの太陽を受け、学校での些細な出来事を話しながら進んでいた私たちは
頂上付近にさしかかったところで、一台の乗り捨てられた車を見つけました。
確か黒のセダンだったと思います。
なぜこんな山奥に車があるのかとても不思議に思いました。
そうこうするうちにAちゃんが車に駆け寄っていき、それに続いてBちゃんと私も車のそばに行きました。
幼い子どもの背では中を伺う事が出来ず、ぴょんぴょんとジャンプをしながら中を覗きました。
車の中はいたって奇麗で、おかしなところは見受けられませんでした。
「なんでこんなところに車があるんだろうね」
そんなことを話しながらとくに変化もない車にすぐ飽きて、また私たちは山を登り始めました。
そろそろ頂上につくころかなと思ったところでAちゃんが「おしっこがしたい」と言ってきました。
< ※汚い話で恐縮なのですが、私のまわりの田舎では子どもが木陰でおしっこや大きい方(ノグソ)をするのは割と普通の事でした。>
私たちは立ち止まりAちゃんのおしっこが済むのを待っていました。
ところが、今度はBちゃんが「私…う●ちが出る」とガサガサ草根をかき分けて用足しへ行ってしまったのです。
一人道にぽつんと取り残された私は、何とはなしに道の先を眺めながらぼんやり待っていました。
するとそこへ大きな音をたてながらコチラへ向かってくる者がおりました。
びくんと体を震わせてそちらを見ると、道にでてきたのは所々薄汚れた黒いスーツをきた30歳くらいの男性でした。
男性「ねぇ何してるの?」
そう優しく私に話しかけてきました。
私「友達を待ってるの」
そう答えるとあろうことかその男性は私の側の道から、AちゃんとBちゃんが用を足している茂みに入って行きました。
やばい!と思った私が男性の後を追いかけて茂みに入るとそこには異様な光景が広がっていました。
もたもたと用を足す2人(1人では心細かったのか背中合わせでしゃがんでいました)を男性はにやにやとしながら見つめていたのです。
私は「みないで!」とも「AちゃんBちゃんあっちに行こう!」とも言えずただただ呆然とその光景を眺めていました。
男性はAちゃんのおしっこの出る穴をまじまじと見つめていました。そしてBちゃんのお尻も…
なぜだか2人は男性を気にするそぶりも見せず、私に何か言うでもなく、下をむいてしゃがんだまま排泄を続けていました。
ようやく終わりポケットティッシュで後始末をし終え、元通り下着と服をはいたところで2人はやっと男性に気づきました。
Aちゃん「おじさん何してるの?」
私は男性が口を開く前に両手にAちゃんとBちゃんの手をつかんで走り出しました。
AちゃんとBちゃんはされるがままという感じで、私が走り出してものたのたと小走りになるだけでとてももどかしく感じたのを覚えています。
棒立ちでにやにやしていた男性は走り出した私たちを見て何事かとわめいていました。
男性「待って!…って…んに……入って!…」
いつのまにか泣き出しながら走っている私に気づきやっと事態を把握したのでしょう、2人も全力で獣道を駆け出しました。
背を追ってくる男性の気配に怯えて耳を澄ませているときに、その男性がずっと何を叫んでいるのかわかりました。
男性「って…ホケンに入って!…ホケンに入って!ホケン!」
気がづくと夕焼けに赤くそまる山を背に、家の裏の畑まで降りていました。
腰のまがった祖母が野菜を収穫する姿をみるとほっとして、また涙がじんわりと目にたまってきました。
なぜかその場では祖母に山での出来事を言う事が出来ず、無言でAちゃんBちゃんと別れ、家に戻り、
父と母が帰って来てからようやく口を開く事が出来ました。
私からの話を聞いた両親は「知らない人にはついていってはいけない」と叱り、
そのホケンの男性の話は我が家ではタブーとなりました。
後日、AちゃんとBちゃんに山での話をすると「そんな人いなかった」「いきなり手をひっぱるからびっくりした」と言われ
男性の存在をなぜか2人とも覚えていませんでした(車のことは覚えていました)
今になってよくよく考えると保険の外交員でノイローゼにでもなっていたのかな?と想像しますが
真相はわからず仕舞いです。(特に変質者が出たとはそれから聞いておりません)
当時は保険の意味がわからず「ホケン」という言葉がとても怖かったです。
もしかしたら「ホケン=保険」と言っていたのではないのかもしれませんが…
以上、私が幼い頃に山で遭遇した怖い変質者のお話でした。
怖い話投稿:ホラーテラー モモサさん
作者怖話