短編2
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海辺のホテル

詳しい場所は伏せますが、わかる人にはわかるかもしれません。

 

夏も終わり頃だった。

俺と彼女は三崎でマグロを食いにいった後、ぶらぶらドライブして、夜には海が見えるホテルにチェックインした(休憩だけど)

 

窓からは砂浜と夜の海が見える。

窓のない閉鎖的なラブホテルよりは外が見える

ここはいいなと思った。

最初は。

 

風呂に入ってても目の前の全面ガラスからは夜の海が見える。

 

上がってから事も済んで電気真っ暗な中まったりしてた。

休憩時間も終わりに近づき、身支度してる時は外は風が出ていて窓がガタガタ揺れていた。

どっかの隙間からか風の音も漏れているみたいだ。

電気はつけずに外からの微かな明るさの中、服を着替えてる時だった。

 

コンコン…?

風の音に混じって小さな音がした。

最初彼女は気づかなかったみたいだが、壁をノックしてるような音だった。

 

「?」俺はその時は何も思わず反射的にノックし返した。

またコンコン…と返ってきた。

「なんか向こうから誰か壁コンコンやってるんだけど」

直感も何も感じずに、間抜けな俺は彼女に言った。

けどその直後、なんか嫌な予感?感覚がしたんだ。隙間からの風の音、窓の向こうの夜の海、暗い部屋、壁の音。。色々複合して何だか急に恐くなった。

 

彼女も同じく感じたのか「なんかここやだ、早く出よう」と、急いでチェックアウトした。

 

狭いホテルの地下駐車場から出る時、彼女がずっと無言なのが気になって、「なになに?なんか黙ってると怖いじゃんよ」と振ったら

 

「なんかね、車に乗って駐車場から上がってく時に、○○(俺)の後部座席に人が見えたの。それが、私にそっくりで無表情で前を見つめてて…」

 

幻覚だろ、と俺は空笑いしていつもより車飛ばしてその場を離れた。

 

もうあそこには二度といきたくない。

そして海辺のホテルを怖がるようになってしまった俺がいる。

Concrete
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