中編3
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Kさん

普段、閲覧側で色々拝見させて頂いてますが、投稿させて頂きます。

霊的な話ではなく怖くない事ですいません。

スマホから投稿しようとすると何故か落ちるのでPCから。

毎年この底冷えするような時期の夜は思い出す。

俺は今IT関係の仕事に出戻って数年が経つ。

その更に前、他の職業も経験したいと飲食業に身を置いた。

仲間内でやっている店で繁忙期には字の如く半端なく忙しかったが、今までの業界ではなかった一般客とのコミニュケーションもそれなりに満足していた。

包丁なんて持って料理した事がなかった俺に、Kさんは最初無愛想ながらも

色々教えてくれた。歳は結構いってて昔の職人気質な人だった。

そんなKさんが、一時入院した。

その時は色々検査をやったりして、それでもすぐに出てきて

復帰してくれるだろう。俺達は重くは考えていなかった。

けど、実際はガンに侵されていた。しかも色々転移しているらしい。

歳はいっているが身寄りのないKさんに、会社は入院費等を負担してくれたが

思った以上に長引く事になる。

Kさんも迷惑をかけたくないと思ったのか、自宅に戻るという。

実際にそんな状態で許可されるのかわからないのだが、結果Kさんは自宅に戻った。

けど、以前のように仕事復帰して見事な包丁捌きが出来るような身体ではないKさんは

何日に一回、店に顔だけ出すような日を送っていた。

もう会社は金銭的にこれ以上助けられない・・・生活に困っているだろうと俺達はなるべく

来れる時は一緒に賄い食いましょう、と。

実際俺達にはそれしか出来ない。

ある時から、一週間近くKさんが店にやってこなかった。

年末年始にかけて店が忙しすぎた俺達も、来ないなあと思いながらも仕事に追われてて

気にかける余裕がなかったんだ。

ある日の営業中、さすがに気になった俺達は「様子見にいこうか」と話していた

店は一番忙しい時間帯だったが、バイトもいるしなんとかなるだろと、俺は制服のまま上着を羽織り

バイクを暖気していた。

「めちゃめちゃ寒い・・・」小雨が降っていた。

幸いKさんのアパートは店からそんなに遠くなく、エンジンが暖まる前に切るはめになる。

到着して2階を見上げると、電気は真っ暗だ。

けど、Kさんの自転車が置いてある。足にきているKさんは普段から自転車で行動だから

居る事はすぐにわかった。

だけど、半ば覚悟は決めていた。

階段をあがってKさんの部屋のチャイムを鳴らすが応答はない。

「Kさん?」

何気なくドアノブに手をやると、カチャッ・・・と、鍵が開いてる。

何も考えていないわけじゃないんだが、俺はそのままドアを開けて玄関越しに立った。

外からの街灯の灯りで台所付近はうっすら見えるが、奥の左右にある和室と洋室は暗くてよく見えない。

気配がないと思いながらも再度呼んでみたが反応はない。

けど、段々と目が慣れてくるんだな。

俺は一旦部屋から出て店に電話した。

それから110番にも。

しばらくすると警察の人間が何人か来て色々聞かれた。いつの間にか周りも少し

野次馬が出来てる。

第一発見者は、ちゃんと顔確認しないといけないんだな・・・警察に促されて部屋に入り

Kさんは真っ裸で毛布にくるまって横たわっていた。

手元には飴玉が2、3個転がっていた。

また後日色々話を聞くことになるようだが、俺は解放されてバイクに跨り

店へ帰った。

店は相変わらずの混雑ぶりで、当たり前の日常がそこにあった。

まるで非現実から引き戻されたような気分になった。

Kさんお腹すかせてたんだな・・・俺達が見殺しにしたのか・・・?

もっと早く気づいてあげればこうならなかったのか?

飴玉が今でも忘れられない。

ごめんなさい。

毎年この底冷えするような時期の夜は思い出す。

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