中編4
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R先輩

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10年くらい前、僕はサークルの合宿に参加しました。しかも、ただの合宿ではなく、近所のいくつかの大学と合同で行っているもので50人近くも参加した大合宿になり、僕はいろんな意味でテンションが上がっていました。

夜は当然、大宴会。果敢に女の子に話しかけるも撃沈。気付くと、6人の男達でなんとなく飲みながら話していました。その場を取り仕切っていたのはR先輩という他大学の人で、12時を過ぎた頃からなんとなく怖い話になっていきました。R先輩は僕達の怖い話の霊がどんなモノかを細かく説明してくれます、R先輩は見える人だったんです。気付くと夜中の2時すぎ、一通り落ち着いた時に僕はトイレに行きたくなりました。1人で行くのが怖いっすと言いたかったけど、さすがにそれは恥ずかしかったんで1人で行きました。

合宿先は県の青年の家なので無駄な電気はついてなく、薄暗い中通路を通ってトイレに向かいます。

正直、怖い気持ちでいっぱいです。僕はビビりまくって用を足していました。

季節は夏、僕たちは2階に滞在していたためトイレは当然その階にあります。用を足す僕の目の高さにはちょうど窓があり、その先には夜の闇が広がっています。窓からこぼれる光でぼんやり見える木の枝に人の顔が見えます。

薄暗くて、はっきりとはしませんが、人の顔であることは間違いありません。

不覚にもうゎっと声を出してしまい

”見間違いだ、次に見た時にはきっと消えてる”

と自分に言い聞かせ、

もう一度外を見ると、、、、

顔が2つになっています。   

訳が分からず逃げ出す僕、、、トイレを出て部屋に戻る途中、R先輩がこっちに歩いてきました。僕は今の体験を整理できずにとにかく慌ててるのがバレると恥ずかしいので、何も告げずにすれ違いました。そして、部屋に帰り落ち着いた僕は皆にその事を伝えました。

「それ絶対ヤバいよ」

「怖い話は霊を呼ぶって言うしな」

「トイレ行けねぇよ」

口々に言っていると

「R先輩遅くないか」 と誰かが呟いた。

10分は帰って来てない、、、ビビりまくってた僕達が意を決してトイレに向かおうとしたとき、R先輩が嬉しそうに帰って来ました。そして部屋に入るなり、

「かず(僕の事です)、お前、あれ見たやろ!」

「えっ、、、」

「木の枝や、あんなんは滅多に見れんで」

「俺もビビったけどなー、、、えっ、、、」

突然凍りつく先輩、そして凄みのある声で

「いいか、お前ら、そのまま部屋の入り口を 見とけ。絶対に振り向くんじゃねえぞ」

 

あまりに急な展開について行けない僕らを尻目に素早く部屋の窓に近づくと障子をピシャっと

閉めました。

その瞬間、、、

「ひゃっ」 

1人の男が声を出しました。

見たんか?と尋ねる先輩に泣きそうな声ではいと答える男、置き去りにされた僕らにまあ落ち着けと酒を勧める先輩。

「お前ら飲んだらもう寝ろ。俺が起きててやる」

はい、、、と頷いて3人が離れて蒲団に入った。先輩、外を見た男、そして僕がその場に残りました。恐怖心と好奇心、いつもの僕なら絶対に恐怖心が勝ちます。でも、R先輩の不思議な魅力が僕を突き動かしていました。そんな僕の雰囲気を察したのか

「現状を聞きたいか?」とR先輩は尋ねました

「はい」と答える僕

「日が昇るのを待て、、、とりあえず飲むぞ」

さすがに怖い話はやばいので、先輩の自慢の彼女の話などを聞き、時が経つのを待ちました。

日が昇り始めた5時過ぎ、

「もういいかな」  とR先輩は語り始めました。

僕らは怖い話をやりすぎてしまった為、部屋の外にものすごい量の霊が集まってきていたそうです。

しかし、僕達の部屋にはそれ以上に強いモノがいて部屋の中までは入ってこれなかったとのこと。窓ガラスの向こうに白いたくさんの手が見えたので、僕たちを怯えさせないよう障子を閉めたそうです。もう1人の男が見たのはガラスの向こうの無数の手だったそうです。

一通りの説明が終わると、

「証拠がみたい?」と一言

僕たちが頷くのを見て先輩はとても嬉しそうな表情をしました。そして、

「お前の真後ろの壁を見てみな、それがすべてだ」

なんの変わりのない壁、ではありませんでした。

よく見ると壁一面に凄い表情で窓の外を睨み付ける女の人の横顔が、、、目、口、鼻、髪まではっきりと分かります。

動揺を隠せない僕に対して

「壁の右上、今のかずなら見えるよ」

ぼんやりとした薄暗い天井の角に何かが見えます。

「空気を見るような感じで見てごらん、何かの形に見えないかい?」

だんだん鮮明になってくる輪郭

スカートを履いた足が見えました。

異常なのは、天井から下半身だけが出ている事です。

そのことを伝えると、R先輩はとても嬉しそうに僕の手を握ってきました。

そして最高の笑顔で、、、

「かず、お前は俺が鍛えてやるよ!」

後日談。R先輩が言うには窓の外の手を見たもう1人の男はその時に何かを連れて帰ってしまったそうです。事実、1ヶ月後、その男の愛車のレビンが事故で廃車。さらに新しく買ったレビンはまた半年後に一回転するほどの大事故を起こして廃車になりました。奇跡的に無傷で助かった彼は今では幸せな家庭を築いています。

そして僕は、、、

そんなこんだで仲良くなったR先輩。○○峠や○○ダムに連れて行ってもらおうとした矢先、R先輩の自慢の彼女に言い寄られて、ちょっといい感じになってしまい、、、

人生初の泥沼を経験しました。

それ以来、R先輩には会っていません。 

とても暑かった夏の思い出です。

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後日談の方が、ある意味怖かったり。