短編2
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遺書

これは3年くらい前に本当にあった話です。

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私の実家は歴史のある家で、古くて大きな蔵があります。

ある日私の父と母が年末の大掃除で普段は入ることもない蔵の掃除をしていたところ、戸棚の中から一枚の古びた封筒を見つけたそうです。

中身を見てみると、それは祖母の兄が書いた遺書でした。

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その昔、祖母の兄は当時は不治の病と言われていた肺結核を患い、それを自分の母親(私のひいおばあちゃん)に移してしまったことを苦に、妻と小さな子ども1人を置いて近所の駅で飛び込み自殺をして亡くなったそうです。

遺書は、その祖母の兄が自分の母親に宛てて書いたものだったそうです。

両親は、これはすごい発見だと思い、親戚の叔父や叔母が来た時に見せようと、また元にあった戸棚にその遺書をしまっておいたそうです。

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その次の年のお盆だったと思います。うちは本家なので、正月やお盆になると親戚中の人たちが集まります。その年のお盆もたくさんの親戚が集まり、その中には自殺した祖母の兄の娘もいました。

他愛もない話から、先日見つけた遺書の話になり、親戚一同はぜひみて見たいと言ったので私の父は張り切って遺書を取りに蔵へ行ったのです。

10分くらいたった頃でしょうか、ようやく父が蔵から戻ってきました。しかし戻ってきた父の手に遺書はなく、顔は蒼ざめていました。そして父は言いました。

「入れたはずの戸棚の中に遺書がない。」

と。

その後母と父で再び探したのですが結局見つかりませんでした。

普段は本当に誰も入ることのないような蔵なので、誰かが入って持って行ったというようなことは絶対にあり得ません。

きっと見られたくなかったんだよと母は言っていましたが、幽霊や超常現象を信じない父は「確かにあそこにしまったのに無くなるなんておかしい!」と、いつまでも腑に落ちない様子でした。

その後、現在に至るまで遺書は見つかっていません。

怖いというのとは、少し違うかもしれませんが当時は本当に鳥肌が立つくらい不気味な出来事でした。

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