中編3
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カズマ

カズマ

俺の中学の頃というと、別に友達がいなかった訳でもなく、ホント普通のやつだった気がする。

習字塾をさぼっちゃ家でゲームばかりやってたし、成績もイマイチぱっとしなかった。

で当時1つ年下のカズマっていう糞野郎が近所に越してきて、うちによくゲームやりに来て部屋を散らかしてった。

俺は不覚にも、ソイツに初めて《オナニー》というものを伝授されたんだ。

♥知らないんすか!?

♥シャワー当ててっとマジやばいっすよ。

♥ぱないっすよ!

俺は中2にして初めてオナニーに目覚めて、それからは毎日オナニーをした。

時には1日3回。

カズマの教えの通り、自分の性欲に真っ直ぐであろうと思った。

俺はカズマと顔を合わせる度、包み隠さずおかずの話や、アイテムなど、情報を交換しあった。

しまいにはチンコの皮が擦り剥け、血が出た。

その時はさすがに俺も怖くなって、カズマに相談すると。

♥普通っすよ、俺のかさぶただらけっすから

と、カズマは余裕の表情を見せ、励まされたのを覚えてる。

でも流石にカズマの領域まで行こうとは思えなくて、限度というものを知ると、《性欲は無限ではない》と妙に白けてしまった。

そんなこんなでオナニーブームも去って、カズマとも何となく疎遠になり、そのまま時が経った。

その頃俺は県外に就職してて、1年ぶりに帰省したとき、うちの犬連れて家の周りを散歩してたんだ。

したら、見覚えのある奴に遭遇したんだ。

カズマだった。

カズマもすっかり大きくなってた。

でも何て言うか、青白い顔をしてかなり痩せてたから別人みたいに見えた。

声をかけてみればいつものカズマで、帰ってたんすか!

って調子いい返事が返ってきた。

犬を連れてカズマと中学校まで歩いて、近くの駄菓子屋で焼きそばを食った。

♣実は俺ここで焼きそば食うの、初めてだわ。誰にも誘われなかったから結構さみしかったよ。むかし。

俺はそう言うと、カズマは

♥そうなんすか、何か光栄っすね。

とやつれた顔でニコニコ笑っていた。

♥じゃあ俺もカミングアウトしちゃおっかな。

とカズマ。

♣なになに?

と俺。

♥俺…実は…今日死のうと思ってたんすよ。

俺がリアクションをとり損ねたと焦っていると、奥のおばさんが焼いてる焼きそばのヘラを落とした。

カズマは小声で言った。

♥…俺のオヤジ、ゲイなんす。

♥昔よく、いきなりユウさん(俺)ち押し掛けたりしてましたよね?

♥俺、オヤジが帰ってくると色々されるから、それが嫌で、

♥ユウさんちに逃げ込んだりしてたんです。

♥あの時はホント、すみませんでした。

正直俺はかなり動揺してたというか、冗談いってるのかと思って吹き出しそうだった。

でもカズマは真剣で、ボロボロ泣きながら、ため込んでたもん全部吐き出すように喋った。

カズマの家は確か平谷一戸建てのよくあるボロい借家で、オヤジさんと2人暮らしと聞いた事はあった。

♥俺はオヤジに洗脳されてたんす。

♥普通じゃないんす。

♥だから死のうと思ったんす。

♣早まるな、そんな家出ちまえばいいじゃないか?

♥だから、それが出来たらそうしてます。

♣何でだよ、お前もう大人だろが!?

♥違うんす。

♥違うんす。

♣何が違うんだよ、そんな最低な父親縁切っちゃえって。

♥オヤジの悪口は言わないで下さいよ。

♣だってお前死のうとしてたじゃないか。

♥違うんす。

♥違うんすよ。

♥オヤジ…最高なんす。

天井を見上げたカズマの目が死んだ魚のように濁って見えた。

思わず鳥肌が立った。

カズマから、父親に対する《愛》を感じた。

立ち入る隙が無いほどの、歪んだ愛。

時々家に帰ると犬の散歩をする。

その時俺はカズマの家の前も通るようなにしている。

小さな軽とカズマの車が置いてある。

カズマはまだ、生きている。

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すみません、ボツネタ倉庫を読み返していたら面白かったので投稿しちゃいました。卑猥な話なので削除してもらって構いませんm(_ _)m読んでくれた方ありがとうございました。