これは、私が某所のデリヘル事務所でアルバイトしていた時の話です。
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そのデリヘル事務所は、ちょっと古めのマンションの一室にありました。
当時の私は、ドライバーとして働いていましたが、内勤スタッフ(電話受付)さんとも仲良かったので、空いた時間で雑談もしていました。
その時も、夏で暑い日でした。
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私「I君、なんか怖い話知らない?」
当時の私は今と変わらず、怖い話やホラーが大好きでした。
I君「怖い話ですか…」
私「体験でも、人から聞いたのもでもいいよ。そういう話がすきだから(笑)」
I君「そんなもん…」
そこまで言って、ちらっと私を見たI君が、ぽつりぽつりと話しだした。
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I君「自分は毎日怖い思いをしていますよ。」
I君「夜中の3時から4時くらいになると、事務所にいるのは、自分一人のことが多いです。」
I君「その時、玄関から人が入ってくる足音がするんです。」
I君「仕事から上がってきた女の子か、ドライバーかと思ってのぞくと、誰もいないんですよ。」
I君「どうも気付いてるのは自分だけ見たいで、店泊してる女の子とか気が付かないみたいです。」
I君「たまに自分の頭がおかしくなって、幻聴なのかと。いや、幻聴なら安心しますよ。」
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そこまでI君が話したところで、玄関が開く音がして、『おつかれさまー』と聞こえた。
私がいるところは、玄関が見えるところなので、顔を向けた。
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…誰もいなかった。
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後々、話を聞けば、デリヘル嬢の女の子は少し病みやすい(精神的に)子が多いらしく、事務所の風呂場で自殺した子もいたらしい。
…現在も、そのお店は都内某所で、絶賛営業中です。
作者パスカルオレンジ
二作目になります。
今回は実体験です。