中編3
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押入れの怪物

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これは僕が小学生の時の話です。

僕には一個上の兄がいるのですが、昔はよく兄と一緒にかくれんぼ等をして遊んでいました。

その日も普段のようにかくれんぼして遊ぶことになり、兄が鬼役で、僕は兄に見つからないように隠れる事になりました。

家は一軒家で部屋数も結構多く、隠れる場所はたくさんありました。

タンスの中や、ベッドの下、天井裏、そして押入れの中等・・・・・

僕らの間ではルールがあり、3分以内に見つけられない場合は鬼の負け。という事でした。

鬼役の兄が60秒を数えきる間に家の中のどこかに隠れるのです。

ちなみに兄は家の外で秒数を数え、時間がたったら家に入り僕を探すことになっていました。

僕は1階の押入れに隠れる事にしました。

押入れの中には布団が入っており、僕はその布団の中に包まりながら隠れることにしたのです。

丁度60秒が過ぎ兄が家の中に入ってくる気配を感じました。

しかし兄はどうやらお腹の調子が悪かったようで、家に入るやいなや、一目散にトイレに駆け込みました。

こうしてあっという間に3分が過ぎてしまいました。

しかし布団のなかがあまりにも心地よく、僕はそのままうとうとしてしまったのです。

しばらくすると押入れの中で誰かの気配を感じました。

人の視線を感じるのです。

不思議なことにその気配というのは壁の方から感じました。

おそるおそる壁に目をやると・・・

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壁の中から悪魔のような顔をした怪物が、にやにやと僕の顔を眺め笑っていました。

壁の中に顔があるなんて普通では考えられない事です。

でも確かに顔があったのです・・・恐ろしい顔が・・・

それを見た瞬間僕は全身が金縛りのように動かなくなり、声も出せなくなりました。

しかし当然ながら僕は心の中で泣き叫んでいました。

次の瞬間!!

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その怪物は壁の中から出てきて僕の腕を掴んだのです!!

そいつの手は焼けるように熱かったのを覚えています。

そして怯える僕に言ったのです

「一緒に行こう?」

僕はもう限界でした。

心の中で「助けて!助けて!助けて助けて!」何回も叫びました。

しかしそうしている間にも怪物は僕を壁の中に引きずり込もうとしています。

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そしてとうとう僕の指先が壁の中に入りました。

その時!急に声が出るようになりました。

僕は腹の底から

「助けて!!!」

大声で叫びました。

次の瞬間!兄が大急ぎで走ってきて押入れのふすまを開けました!

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その瞬間怪物は消え去り僕は助かりました

そして助かった安心感からか僕は泣きながら失禁し、そのまま意識を失いました。

目を覚ますと僕は自分のベッドの上にいました。

「全部夢だったんだ・・・」

そう思って安心したものの、自分の腕を見て驚きました。

自分の腕に火傷のような手の跡がはっきり残っていたのです。

もちろん親や兄にもこの事を話しました。

しかし帰ってくる答えは

「ただの悪夢だ」「早く忘れろ」という言葉でした。

しかし今は亡くなったおじいちゃんだけは違いました。

僕の話を信じてくれたのです。さらにこんな事を教えてくれました。

おじいちゃんには一個下のシンジという弟がいたのですが、

小学生の頃、家でかくれんぼをしていて、

シンジくんが行方不明になってしまったのだそうです。

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もちろん警察も出動し大規模な捜査も行われたのですが、

結局シンジくんは見つからなかったそうです。

そしておじいちゃんによれば

最後にシンジくんの叫び声が聞こえたのが押入れの中からだったそうな・・・

僕が遭遇した怪物はシンジを連れ去った怪物と同じだったのでしょうか?

もしあの時兄が助けに来てくれなければ・・・

僕はあの怪物の住む世界へ連れて行かれていたのでしょうか?

僕の腕には怪物に掴まれた手の跡が今でもはっきり残っています。

僕は押入れが怖くて仕方がありません。

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