中編6
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母の見た夢

あまり怖くないけど、母親の話で、私が体験した事

母は霊感が強くて、「見る人」だったが、それよりも予知夢をよく見るjことが多かった。

夢の内容は、母の里で起こった出来事を、亡くなった曽祖父が知らせに来るということで、初めの頃は、

「親戚のKさんが病気やから見舞いに行ってくれるか?」

とか言われて里に電話してみると確かに入院していたり、

「家にええ事あったよって見に来てみ」

と言われて行ってみると、家の外壁の土壁に白壁を塗っていたりとか、短い夢で単純なものが多かった。

そして、ある頃から曽祖父の知らせの夢は見なくなって、予知夢らしいものをよく見るようになってきた。

それは私が高校を卒業する頃からであった。

大学入試の時期の事、私はかなり神経質になっていた。

少しのことが癇に障る。食事の時、私の真正面に祖父が座っていて、よく咳き込み、唾を飛ばすようになっていた。

何か不快感だけしか感じられず、祖父に口を抑えるジェスチャーをしたり、今から考えると、随分思いやりのない仕打ちであった。ある時母親が、夢の話を私にした。

「夕辺、また夢見たんやけど、姿は見えへんかったけど、女の人の声で

『おじいさんはもう長くない。もうすぐ寿命が切れる。食事の時咳き込んできたら気を付けてあげなさい。

喉を詰まらせて亡くなるかもしれないので、その時は、心の中で知っている短いお経、単にお念仏でもいいから唱えなさい。そうしたら咳は止まります。

ちゃんと皆んなに看取られて安らかに往生できるように、それだけはしてあげてね』

そう言われて目を覚ましたんよ。私もお念仏唱えるけど、あんたは般若心経覚えてるやろ?心の中で唱えてあげてな」

そう言われて、食事の時に、祖父が咳き込んだらお経や念仏を心の中で唱えるとすぐに祖父の咳が収まった。そして私の大学合格の知らせを聞いて後、祖父は安らかに亡くなった。

大学二回生の正月前、母は少し不気味な夢を見た。

「私の寝間の布団に骸骨が寝ている夢を見てな、気持ち悪かった。そうしたら、あんたが部屋に入ってきて、その骸骨の見てその横に寝転がり、『あ、この骸骨、僕と同んなじ背丈や』と笑いながら言うてる。恐ろしい思うた途端に目が覚めた」

私は

「お母ちゃん気いついてる?お父ちゃん風邪ひいてるけど、医者行けへんやろ?姉ちゃんも心配してるし、無理矢理でも医者行かしよ」

母にそう言うと、

「縁起でもない事言わんといて。あの骸骨、戦死したあんたの叔父ちゃんやと思うわ。夢とお父ちゃんと何の関係あるの?」

顔色を変えて怒った。えらい剣幕だった。

父は正月三ヶ日明けの日に出勤支度して洗面所で突然斃れ、救急車で病院に運ばれたが急性心不全で、病院で死亡確認、

葬式が終わり、暫らくして教育功労者として思い掛けず叙勲されることになり、母と私が府庁に行く事になった。母は正月前に買った父の背広を私に着せた。

「あんたの身体のサイズと違うから、着られへんと思うけど…」

私は背広を持っていなかったので、やむなくそれに袖を通した。すると母が「あっ!」と声を上げた。

「あの夢の通りやった。背丈同じってお前言うてた」

背広は私にぴったりのサイズだった。

それから、母は予知夢らしい夢を見ると、必ず

「この夢の意味わかる?」

寝ていても叩き起こされて聞かれるようになった。私は母の夢の審神者をさせられる事になった。

急に起こされるので、動悸が激しく、私は寝ぼけた状態で夢の話を聞かされるので、頭に思いついた言葉を喋っている。

考える状態ではないのだ。まあ、無茶振りとでもいうのか…早朝深夜を問わずであるから。

父が亡くなって四年位して同居の祖母が他界した。その後の事、

父と祖母の法事の支度をしていた時のことである。

早朝私は母に起こされた。

「今こんな夢見たんやけど、

なんか知らんお寺のお堂で私とあんたが座っていて、坊さんが色々話しかけてくるんよ。

そこへお父さんとおばあちゃんが来ておばあちゃんはえらい不機嫌そうにしてるしお父ちゃん寝転んでるんや。私、

『お婆ちゃんもお父ちゃんもどないしたん?』

そしたら、おばあちゃんは

『わたいら急に呼び付けられて、嫌やけど無理にここに来さされたんや』

とぼやいてた。それで私、

『ここまで来たんやったら、もう明日法事やから家に帰ってゆっくりしときよ』

言うと、お父ちゃん向こう向いて

『そうもいかんのや、十万億土からここへ来ても、一旦極楽へ帰らんならんのや。それからとんぼ返りで家に帰って法事やから、道中オバン愚痴るの聴かんならん。しんどいわ』えらい拗ねてる。これ何の夢やろ?」

私は動悸を抑えながら、

「ああ…それな…夕方5時くらいにその夢の訳聞くことなるわ。」

と言いながら二度寝に落ちた。

夕方、近所の店に母親と法事の準備の買い物出かけた。

母親は、朝方の私の答えが不服の様子である。夕方5時くらいにわかる?どこでわかるんや?とでも言いたげであった。

もちろん私の言葉はでまかせである。

買い物の帰り道に最近出来た熊野系の天台宗の寺があり、そこの住職が挨拶して来る。

「お会いしたら、お伝えしょう思てましたんや。ご主人とお母様の法事、うちでさせて頂きましたんでご安心下さい」

従兄弟Aが法事を勝手に、自分が信心している宗派違いの寺で法事を営んだようである。

ご安心って何やねん?と思ったがそこは抑えて挨拶してさっさと帰った。

坊さんの話を聞いたのはきっかり5時、近所の工場のサイレンとともに話しかけられたのだから。

それから、こんなこともあった。

村の親戚にジェダイ評議会の長老、ヨーダそっくりな婆さんがいた。顔色だけが人間、という感じである。仮にSさんとしておく。

「ちょっと起きて起きて、」

深夜2時、丑三つ時である。母は蒼ざめている。

「あぁ?幽霊でも出たん?」

私は意識朦朧、熟睡時に起こされてしまった。

「幽霊どころか、Sさんの夢見たんや」

「ああ?幽霊違ごて妖怪かいな?」

母は私の言葉を無視していきなり本題

「あのな、Sさんな家に来て上がり框に腰掛けて色々小言言うてるんや、

私よう分かれへんから困ってたんやわ。そうしたら、おばあちゃんが髪の毛振り乱して奥から出て来て、

『おばちゃん、そりゃその話、うちの嫁の知らん事やで、どっちか言うとあんたの方が悪いわ。まあそれはそれとして、久しぶりに来たんや、上がっていき』

そう言うたら、Sさん慌てて『あ、そんなら私帰るわ』と震え声で言いながら這うようにして帰ったわ」

それを聞いて私はアクビしながら

「それやったら、明日夜が明けたらすぐSさん来るわ。明日早いからもう寝といたら?」

そう言って私は寝入ってしまった。

明くる朝目が覚めると、母は起きていて、かなり早い時間にSさんは来たという。

それまで水田をSさんのうちに預けて耕作してもらっていたが、耕作できなくなったということで返してきた。

母は農業をしていなかったので、細かい農地の事は知らなかった、

水田の農道のことで、トラブルがあり、それを言いにに来たらしい。

母は、その話を聞きながら夢に出てきた祖母のことを思い出して、

「Sさん、その話は水利と農道の管理を今どこの家でしてるか教えてくれたら解決する話やね。

それより、夕べ私、Sさんが来てくれた夢見て、丁度、この上がり框で話してたら、うちの死んだおばあちゃん奥から出てきてな、Sさんにおばちゃん久しぶりやから上がっていきて言うてたよって仏さんに参っていって」

そう言ったらSさんが急にそわそわし始めて、そのタイミングで天井から蜘蛛が一匹下がってきた。その蜘蛛の模様は人の顔のようで、祖母にそっくりだったと言い、

脚は夕べ見た祖母の髪の毛のようだったそうである。

丁度Sさんと母の間に蜘蛛は下がってきたので母は手のひらに蜘蛛を乗せて、

「Sさん、下がり蜘蛛やわ。雨降るかもしれへんな」

そう言うとSさんは慌てて、

「あ、そんなら私帰るわ」

と震え声で言いながら這うようにして帰って行ったと言う事だった。

取り留めもなくて申し訳ありません。こんな話です。

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