短編2
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癒えぬ亀裂

あるところに、仲良しな二人組がいました。

共に中学生男子、親友同士です。

スポーツや勉学においても二人はお互いを目標に競い合い、良きライバルでもありました。

何でも相談出来る、信頼出来る、二人の絆はとても強いものでした。

そんなある日、二人が待ちに待った修学旅行の日がやってきました。

二人が通う学校は仏教関連のそれだったので、旅行には歴史名高い寺巡りなるコースが含まれていました。

そして、ある寺に入った瞬間のことです。

仲良し二人組のうちのひとりが「ウオオオオー!」と地を揺らすような低い声で叫んだかと思えば、もうひとりの方は膝を抱えガタガタと全身を震わせだしたのです。

次第に取っ組み合いとなる二人、二人の仲を知っているだけに周りは唖然となりました。

その様を見た寺のお坊様が二人にお経をあげ始めたのです。

その寺では有名な[あじゃり]?とか、そんなような名まで登りつめた、苦行の僧だったそうです。

効果があったのか、段々と落ち着きを取り戻した二人。

けれど、殴り合いはおさまっても「おのれ、おまえだったのか!」「頼む、殺さないでくれー!」などの不可解な言動はいつまでも続いたそうです。

お坊様が言うには、二人が寺に入った時点で妙な気配を感じていたとのこと。

二人の後ろには遙か昔、戦乱の世で敵対しあっていた武士がそれぞれいたそうです。

と言っても憑依などではなく、二人の前世の魂なのだそうです。

寺で散々お互いをなじりあった二人ですが、お坊様に「この世では仲良くしなさい」とすごい勢いで一喝され、どうにか我を取り戻したそうです。

ですが、その一件以来、二人の仲は裂かれ、ことあるごとに敵対し合うようになってしまいました。

かつての源氏と平家のように。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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