14年03月怖話アワード受賞作品
長編29
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在庫処分

知人から聞いた話です。

定年退職を間近に控えたKさんは妻のMさんと定年後の過ごし方について話し合っていた。

仕事一筋だったKさんは、定年後は何か妻と一緒に共通の趣味を持ちたいと考えていた。

「これなんてどう?」

妻が回覧板に挿まれていた油絵教室の広告を指差す。

「絵なんてまともに描いた事無いしなぁ…」

「これは?」

「手が震えるし、刺繍なんて出来そうに無いなぁ…」

「これは?」

「ジャズピアノ?無理無理。手が震え…」

「…」

次に妻が無言で指差した先には、楽しそうに社交ダンスを踊る若い男女の写真があった。

「これは若い時に習いたかったなぁ…。ほら、今はもう足腰が悪くて…」

「…」

妻は呆れた顔をすると、無言で立ち上がり、リビングから出て行ってしまった。

Kさんもすぐさま後を追ったが、妻は玄関から外に出て行った後だった。

妻と共通の趣味を持ちたいのは山々だが、なかなか見つからない。

「仕事一筋だから趣味なんかに費やす時間は無い」

と、周囲に公言していたが、実際は単なる面倒臭がり屋だった。

妻が呆れるのも無理は無いとKさん自身も自覚していた。

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こたつで横になりながらテレビを見ていると、妻が帰ってきた。

郵便受けに入っていたであろう大量のチラシを妻は持っていた。

妻もこたつに入ると、こたつの上にそれらのチラシを置き、一つ一つ内容を確認し始めた。

Kさんは特に気にする素振りもせず、テレビを見続けた。

「これ、何だろう?」

Kさんの視界に一通の真っ白な封筒が目に入る。

Kさんは妻から封筒を受け取った。

真っ白い封筒には真っ白の宛名ラベルが貼られており、宛先にはKさん、差出人には見覚えの無い企業名。

また、封筒の右下には【整理番号:0005】と印字されていた。

「早く開けてみなよ」

妻に催促されたKさんは封筒の封を切る。

中には紙切れが一枚入っていた。

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K様

日頃より当店を御愛顧いただきありがとうございます。

来る、12月29日、年末の在庫処分市を開催致します。

こちらのチケット1枚につき2名様まで入場可能となります。

ご来場お待ちしております。

場所:●●県●●市●●ー●ー●

時間:9:00~17:00

                  ○○リサイクル●●店

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「あっ!」

紙切れに印字された内容を一通り読んだKさんはつい声が出た。

「ここ見てよ」

Kさんは裏面の最終行を指差す。

「○○リサイクルって、あなたが好きな?」

「そうそう」

Kさんは週末になると、○○リサイクルに足を運ぶのが日課になっていた。

とくに探している物や欲しい物がある訳では無いが、ただ単に、リサイクル品を見るのが好きだった。

Kさんは毎週来店しているだけあって、リサイクルショップが新しく買い取った商品や昔から売れない商品もすぐに見分けがついた。

「あ、これは前まで置いてなかったな」

「あ、これまだ売れてないな」

「あ、そういえばあれが見当たらないな。売れちゃったかな」

一緒に付き合わされる妻も、毎回同じような会話のやりとりに内心うんざりしていたようだが、嬉しそうなKさんを見ると文句は言えなかった。

「二週間後、楽しみだな」

Kさんは在庫処分市のチケットを大事そうに財布にしまった。

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在庫処分市当日。

Kさん夫婦はチケットに書かれた住所に到着していた。

時刻は8時過ぎ。

「あなた。やっぱり早すぎたんじゃ…」

入場開始時間まで1時間近くある。

周囲には特に時間を潰せそうな施設も無かった為、車内にて待つことにした。

「それにしても…これは…」

在庫処分市の開催場所はKさんの予想とは大きくかけ離れていた。

広い倉庫の入り口には係員。

倉庫内には大小様々な家具、家電が置かれ、全て見回るのに数時間はかかる。

それがKさんの予想していた在庫処分市だった。

しかし、目の前にあるのは何の変哲も無い一戸建て。

表札も外されており、誰も住んでいないよう見受けられる。

【在庫処分市 駐車スペース】

この張り紙が無ければ、在庫処分市が開催されるとは誰も分からないだろう。

そんなことを考えながら、いつの間にかKさんは眠りについていた。

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『コンコン』

運転席の窓を叩く音でKさんは目が覚めた。

窓の外にはスーツ姿の男性がいた。

おそらく在庫処分市の係員であろう。

妻を起こそうと助手席を見ると、誰も座っていない。

きっと、Kさんが寝ている間に、先に在庫処分市に向かったのだろうと思った。

時刻は10時を過ぎていた。

Kさんは車から降りると、目の前の係員に向き合い、会釈した。

スーツ姿の男性は首からネームプレートをぶら下げており、ネームプレートには係員のフルネームと○○リサイクルが印字されていた。

「チケットを拝見してもよろしいでしょうか」

係員の言葉に、Kさんはポケットに入った財布の中からチケットを取り出すと係員に手渡した。

「K様、本日はご来場ありがとうございます。そちらの玄関からお入り下さい」

係員の指差す方向には玄関ドアが開け放たれた一軒家があった。

Kさんは係員に再び会釈すると、玄関ドアに向かって行った。

「あれ?」

数歩歩いたところで、Kさんは妻がどのようにして在庫処分市に入場したのか疑問に思った。

チケットはずっとKさんの財布の中に入っていたからだ。

Kさんは振り返り、係員に妻を見なかったか尋ねてみたが、見かけていないとのことだった。

近所を散歩でもしているんだろうと思ったKさんは、足早に在庫処分市の会場に足を踏み入れた。

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会場に入ると、スーツ姿の小奇麗な中年男性が話しかけてきた。

「K様を担当させていただきます。○○リサイクルのSと申します。どうぞごゆっくりご覧になって下さい。商品について気になる点がございましたら、お気軽にお声がけ下さい。また、購入希望の商品がございましたら、こちらのシールを商品にお貼り下さい。」

そう言うとSさんはKさんに【売約済 整理番号:0005】と印字されたシールシートを手渡した。

その後、Sさんから説明された在庫処分市のシステムを簡単にまとめた。

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・購入希望の商品には売約済シールを貼る。

 ただし、既に売約済シールが貼られた商品は購入出来ない。

・担当者(今回はSさん)が売約済シールを貼った商品を管理し、

 在庫処分市の出口にあるお会計にて、お買い上げ金額のお支払い。

 お支払い方法は現金のみ。

 ※持ち合わせが無ければ近くのコンビニで引き出して下さいとのこと。

・購入商品については、一部商品を除き、基本的に当日のお持ち帰りは不可。

 後日、○○リサイクルの配送担当者よりご自宅にまとめて配送。

・リサイクル品という商品の性質上、かつ、売主の都合上、クーリングオフは不可。

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「はい。分かりました…」

説明を一通り聞いたKさんの表情は暗かった。

一番乗りで到着したにも関わらず、一時間も寝過ごしたせいで、欲しい商品の購入タイミングを逃したのでは…と、損した気分になったからだ。

「それではまずはリビングからご覧下さい」

Sさんに案内され、リビングに通されると、他にも数組の客が目に入った。

間取りは5LDKとのことで、リビングだけでも20畳以上はある立派な家だった。

Kさんはまずは大型テレビの正面に置かれたソファに腰掛けた。

週末、近所のリサイクルショップに辿り着いた際、初めにソファで休む癖があったからだ。

ソファの肘掛には【売約済 整理番号:0003】のシールが貼られていた。

シールのすぐ下には値札が貼られており、金額を見たKさんはあまりの安さに驚いた。

多少、くたびれてはいるが匂いと質感から本革であることは明らかだった。

近所のリサイクルショップに置かれた商品とは比べ物にならない安さにKさんは興奮していた。

他に、どんな商品に値札が貼られているのか気になったKさんはソファから立ち上がるとリビング内を見渡した。

「え…?」

テレビ、テレビボード、ダイニングテーブル、ダイニングチェア、カーテン、照明器具、何から何まで部屋中全てのものに値札が貼られていた。

スリッパや筆記用具、仕舞いにはティッシュペーパーの箱まで、ありとあらゆるもの全てが商品だった。

気になったKさんはリビング内のクローゼットを開けてみた。

中にはハンガーにかかった衣類や、掃除機等が入っていたが、もちろん当たり前のように値札が貼られていた。

金額はバラバラだったが、いずれも定価の5%~10%程度だろうか。

「何かお探しでしょうか」

背後から穏やかな表情のSさんに話しかけられた。

「あ…、置いてあるもの全て商品だったんですね。驚きました。ただ…」

Kさんは先程から気になっている事があったが、次の言葉を発すべきかどうか悩んだ。

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無言のままSさんと見つめ合うこと数秒。

心配したSさんが先に口を開いた。

「顔色が悪いようですが、どうかされましたか?」

「あの…ちょっと良いですか…」

Kさんは部屋の角までSさんを手招きし、他の客に聞こえないよう小さな声で思い切ってSさんに尋ねてみた。

「失礼を承知で確認したいのですが…。ひょっとしてこれって【遺品整理】ですか?部屋中のありとあらゆるものが商品みたいですし、価格が安すぎるような…」

Kさんはリサイクルショップが遺品を引き取り、クリーニング後に【普通のリサイクル品】として店頭に並べている事があると聞いた事があった。

この在庫処分市も、同様に家主亡き後に遺品をそのまま売りに出しているような気がしたからだ。

妙に生活感の残るリビングに、得体の知れない恐怖を感じていた。

Kさんからの質問にSさんは少し険しい顔をした。

「K様、縁側に座っていらっしゃるご夫婦がお見えになりますか」

Kさん同様に小さな声でSさんが耳打ちした。

縁側を見ると、確かに二人、リビングを背に向けて座っている。

「あちらのご夫婦がこちらにお住まいのY様です」

「と、言うことは…」

「はい。家主であるY様がご健在ですので【遺品整理】ではありません」

それを聞いたKさんは安心すると同時に、Yさんご夫婦が可哀想に思えた。

きっと【自己破産】に違いないと推測したからだ。

「変な事聞いてしまい、すみませんでした」

KさんはSさんに謝罪すると、再びリビング内の商品を物色し始めた。

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「そろそろ昼食はいかがでしょうか。本日はお庭でバーベキューを行っておりますので、よろしければご参加下さい」

Sさんに言われ、腕時計を見ると時刻は13時過ぎ。

リビング、寝室、子供部屋、書斎、一通り見終えたKさんは、腹ごしらえに庭に向かった。

バーベキュー会場と化した庭では既に7、8人が立ちながら飲み食いしていた。

係員が一皿百円で野菜とお肉を盛り付け、振舞っていた。

冷えた缶ビールも一本百円だったが、帰りも車を運転しなければならない為、Sさんはペットボトルのウーロン茶で我慢した。

ふと、縁側見ると、見覚えのある顔があった。

妻だ。

縁側に座る家主の横に妻が座っていた。

妻はKさんに気がつくと、口いっぱいにお肉を頬張りながら言った。

「あなた、何処行ってたの?気がついたらいなくなってたから、散歩でも行ったのかと思ったわよ」

「それはこっちの台詞だよ。どこに行ってたの?」

「ずっと家の中を見て回ってたわよ。ほら…」

そう言うと妻はスカスカになった売約済シールのシートを渡してきた。

「ほんと、あまりに安いから、いらないものまで沢山買っちゃったわよ」

普段はリサイクルショップに乗り気では無い妻が珍しく嬉しそうな表情を見せた為、Kさんは嬉しかった。

「そうそう、あなた、【これ】買ってみたんだけど」

妻が指出す先を見て、Kさんは何のことだか理解出来なかった。

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家主であるYさん夫婦の背中にそれぞれ値札が貼ってあった。

【\100】

既に1枚ずつ売約済シールが貼られていた。

「何これ?家主の服が売りに出てるの?」

「そうみたいよ」

気になったKさんは家主に話しかけてみた。

「すみません」

「?!」

二人とも突然話しかけられたせいか、一瞬驚いた表情を見せたが、すぐ真顔に戻った。

「背中の値札は何なんですか?」

家主はKさんをじっと見つめているだけで、結局何も話さなかった。

昼食後、Kさんは妻と一緒に再び在庫処分市の物色に戻った。

ただ、既にほとんどの商品が売約済状態となっていた為、Kさんは売約済になってない商品を探す事を楽しんでいた。

二週目の物色後、受付で会計を済ませたのだが、あれやこれやと売約済シールを貼り続けた結果、それなりの金額になっていた。

ただ、それに見合うだけの商品は購入出来た為、車に乗り込んだKさんは満足気に在庫処分市の成果を妻に語りながら家路についた。

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『ピンポーン』

在庫処分市から一週間後、購入した商品が届いた。

大きな家具家電も複数購入した為、傍から見れば引越しに見えなくも無い量だった。

「あ…そうか…置き場が…」

誤算があった。

欲しいものを何も考えずに購入した為、家の中に置き場が無かった。

困惑していると配達員が提案してきた。

「家具家電について入れ替えをご検討されているのであれば、こちらで商品査定の上、即日引き取りも可能ですよ」

Kさんは迷わずに査定依頼をお願いし、古い家具家電を売却し、在庫処分市で購入した家具家電に入れ替えた。

数時間後、全ての作業が完了し、配達員が帰ろうとした時だった。

Kさんは妻が購入したYさん夫婦の衣類が見当たらないことに気がつき、配達員に尋ねた。

配達員は困惑した表情を浮かべたが、配送リストの内容を確認しながらKさんの自宅を再確認した。

「確かに、それらしき商品が見当たりませんね。お店に確認しますので少々お待ち下さい」

配達員は一旦外に出て、携帯電話を取り出した。

数分後。

配達員が笑顔で戻ってきた。

「届いていない商品につきましては、やはり本日の配送リストには含まれておりませんでした」

「え?また後日配送ということですか?」

「いえ。今週の木曜には既についているとの事でした」

平日は仕事でKさんは不在だった為、妻が受け取ったのだろうと思った。

届いているなら届いた日に教えてくれても良かったのにと、Kさんは少し苛立った。

丁度、妻は習い事とスーパーの買出しで不在の為、戻り次第聞くことにした。

「わかりました。きちんと確認もせず、お手数をお掛けし申し訳ありませんでした」

「こちらこそご心配をお掛けし申し訳ありませんでした。他にも本日配達した商品に関して何かお気づきの点がございましたら、いつでもご連絡下さい。それでは、失礼いたします」

配達員はトラックに乗り込み、会釈すると、そのまま帰って行った。

Kさんは妻が帰って来るまでの間、届いた商品に過不足が無いか再確認したがYさん夫婦の衣類以外は全て届いていた。

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「ただいま~。届いたのね」

帰宅した妻は嬉しそうに家中を見渡す。

Kさんは早速、木曜にYさん夫婦の衣類が届いていないか尋ねてみた。

「え?平日は何も届いてないわよ。不在票も入ってなかったし」

それを聞いたKさんはすぐさま先程の配達員から渡された名刺に書かれた番号に電話したが、コール音だけが鳴り響き、電話には誰も出なかった。

「ひょっとして、詐欺かな?騙された?」

「まさか、あんなにちゃんとした会社が二百円程度で問題起こすわけ無いでしょ」

「確かに…」

Kさんは妻の言うとおり、そのうち届くだろうと自身に言い聞かせたが、結局Yさん夫婦の衣類が配送されてくることは無かった。

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数週間後。

「Kさん!Kさん!ちょっといい?」

Kさんは仕事から帰ると、自宅の前でお向かいの旦那さんに呼び止められた。

「大丈夫?最近、奥さんと仲悪いの?」

「え?何ですか急に?」

「言おうかどうか迷ったんだけど、何かあってからじゃまずいと思って…」

「はい?」

「Kさん、毎晩奥さんと喧嘩してるでしょ?怒鳴り声とか、何か物が壊れる音とか…しょっちゅう聞こえてて、ご近所でも噂になってるんだよ」

「え?え?いつ?」

「やっぱり、奥さんの浮気が原因?」

「え?浮気?うちのが?」

Kさんはお向かいさんの口から次々に発せられる全く身に覚えの無い内容に呆然とした。

「うちの嫁がさ、先々週くらい前の昼間、Kさんの奥さんが見たことの無い男と一緒に歩いてるのを見ててさ…」

「…」

「それにその男、Kさんの家にも何度か尋ねてきてるみたいで、俺も今日たまたま見ちゃったんだよね」

「ここでですか?」

「うん。暗くてよく見えなかったけど、30分くらい前にKさん家の玄関から出てきて、駅の方に向かって歩いてったよ」

「…」

「とにかくさ。まずは話し合ってみなよ。それじゃ…」

そう言ってお向かいさんは家に帰って行った。

「ただいま」

玄関ドアを開けると、妻が無表情で立っていた。

「おかえりなさい。外でお向かいさんと何話してたの?」

「え?挨拶しただけだよ」

「そう。ならいいけど」

Kさんはお向かいさんから聞いた話を妻に話そうとしたが、妻が珍しく不機嫌そうな表情をしていた為、日を改めて話すことにした。

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「あれ?何か焦げ臭いけど、料理でも焦がした?」

リビングに入ると焦げた臭いが鼻を刺激する。

「何も焦がして無いですよ」

妻は鼻炎持ちであまり臭いに敏感では無い為、気がついていないようだが、かなり焦げ臭い。

「お隣さんが何か焦がしたのかな」

Kさんはいつも通り、スーツを脱ぎ、洗面台に手洗いに向かった。

脱いだ靴下を洗濯機に放り込もうと、洗濯機の蓋を開けようとした時だった。

『バタッ』

洗濯機の蓋が、まるで内側から誰かが押しているかのように音を立てた。

「え?」

Kさんは恐る恐る洗濯機の蓋を開けた。

「?!うわっ…!ちょっと、ちょっと!大変!!救急車!」

驚いたKさんはリビングにいる妻を呼びに行った。

洗濯機の中に人が入っていた。

全身焼け爛れ、赤黒く変色した肌に、真っ白な歯。

見るからに死んでいるのは間違い無かった。

焦げ臭いのもこの死体が原因に違い無いと思った。

「え?あれ?」

妻と一緒に再び洗濯機を覗き込むと、中にはタオルと衣類が入っているだけだった。

「何が大変なの?」

「さっきまでは確かに…」

「確かに?何?買ったばかりなのに壊れたかと思ったじゃない」

「ごめん。見間違えだったかも」

Kさんは仕事に疲れて幻覚でも見たに違い無いと思った。

しかし、鼻につく焦げ臭さは残り続けた。

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翌日。

職場でも焦げ臭さは続いた。

鼻の病気にでもかかったのかと心配なったKさんは、仕事を中抜けし、耳鼻科で診てもらったが異常は無かった。

常に焦げ臭い為、何をするにも気が散って仕方なかった。

「蓄膿症とかじゃないですか?」

「蓄膿症なら焦げ臭いと言うよりか、生ごみの臭いだよ…」

「そうでしたね…」

同僚にも尋ねてみたが、職場は焦げ臭く無かった。

一応、同僚にKさん自身の臭いも確認してもらった。

「焦げ臭いと言うより、加齢臭って感じですね…」

「…」

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その夜。

Kさんが帰宅すると妻が先にお風呂に入っていた為、ソファに座りながらニュース番組を見ていた。

「おかえりなさい」

「ただいま」

妻がお風呂から上がったようだ。

「あなた。誰なの。その女?」

「え?」

「やっぱり…浮気してたのね!」

バスローブ姿の妻が物凄い形相でKさんを睨み、怒鳴りつける。

「は?何のこと?それよりも浮気してるのはおまえだろ?お向かいさんが言ってたぞ!うちに連れ込んでるんだってな!」

「何言ってるの?そんな訳ないでしょ?それより話をすり替えないでよ!その女は誰!?」

Kさんは状況が把握出来なかった。

リビングにはKさんと妻の二人しかいないからだ。

「何言ってるの?誰もいな…」

「あなたの隣に座ってテレビ見てるでしょ!何とぼけてるのよ!あんたも無視してないでこっち向きなさいよ!」

Kさんは両隣を見たが、誰もいない。

妻には何かが見えているようだが、下手に刺激するのはよくないと判断し、Kさんは何も言わなかった。

「ちょっと!何処行くのよ!待ちなさいよ!」

妻はだれもいないリビング内を突然走り出し、玄関から出て行ってしまった。

呆気に取られていたKさんだったが、ただ事では無いと思ったのか、すぐに後を追った。

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バスローブ姿の妻が、家の角を曲がり、庭に向かった。

Kさんは急いで追いつくと、妻の腕を掴む。

「え?」

掴んだ腕の皮がずるりと剥け落ち、赤黒い肉片がKさんの手の平いっぱいにこびり付いた。

Kさんが掴んだのは妻の腕では無かった。

昨日、洗濯機の中にいた焼死体同様、全身焼け爛れた何者かがいる。

Kさんは腰を抜かし、その場から動けなくなってしまった。

これは夢だ。

夢に違い無い。

そう思ったKさんは目を瞑った。

真っ暗闇の中、焦げ臭さだけがKさんの五感を刺激していた。

…。

熱い。

熱い。

熱い。

Kさんは、その場でのた打ち回った。

「Kさん!何やってるんですか!すぐに…」

お向かいさんの声が聞こえた直後、Kさんは意識を失った。

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数週間後。

両腕の大火傷が治癒し、退院したKさんは久しぶりに自宅に帰って来た。

警察からも事情聴取されたが、最終的にはKさんの自殺未遂と判断された。

また、精神的な疾患の疑いも有りとのことだった。

大火傷した日、Kさんは妻と一緒にいたと証言していたが、その時間、妻はご近所のホームパーティーに参加していた為、自宅にはKさんしかいなかったからだ。

通報したお向かいさんの話によると、バスローブ姿のKさんが玄関から庭に向かって走り出し、庭に置かれた物置から灯油缶を取り出し、両腕に灯油をかけ、ライターで火を着けたそうだ。

お向かいさんが偶然、洗濯を取り込む為にベランダに出ており、玄関から飛び出したKさんにすぐ気がついた為、大事に至らず済んだそうだ。

半信半疑だったKさんに対して、お向かいさんは当時の状況を事細かに説明してくれたが、それでもKさんは信じることが出来なかった。

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退院から数日後。

お向かいさんから見せたいものがあるので、奥さんと一緒に来て欲しいと夕食に誘われた。

夕食後、お向かいさんはリビングで、一枚のDVDを再生した。

内容はお向かいさんの玄関先に設置された監視カメラの映像だった。

Kさんが自殺未遂を行った当時の映像が映し出されており、お向かいさんの証言は正しいとKさんはやっと納得してくれた。

しかし、お向かいさんが見せたかったのはKさんの自殺未遂映像では無かった。

「ほら。ここ見てて」

お向かいさんが指差したのはKさんの家の玄関と庭の間にある、窓だった。

Kさん夫婦は指差された窓をじっと見つめる。

玄関から走り出したKさんが窓を横切った直後、カーテンの隙間に、見知らぬ女が移りこんでいた。

「これって…」

「うん。どうみても生きた人間じゃないよね。だって…」

見知らぬ女には足も身体も無い、頭部だけが床に置かれた状態だった。

その生首はまるでKさんを追うかのように、徐々に顔が横を向いていた。

「それと…」

お向かいさんはもう一枚、DVDを再生し始めた。

「これ、当日Kさんが帰宅する前の映像なんだけど…ほら、奥さんの浮気相手を見たって話をした…」

「あぁ…妻はそんなことしてないって言ってたけど、それが証拠になるかな?」

「いや…それがちょっと見ててよ」

お向かいさんが早送りし、再生し始める。

「え…」

腰の曲がった老人らしき人物が映っており、Kさんの家の前を何往復も行ったり来たりを繰り返している。

「これ、早送り?」

「違うよ…」

腰の曲がった老人はとても歩いているとは思えない速さで動いていた。

足も動かすことなく、まるで地面を滑っているかのように。

ただ、Kさんが一番気になったのはそれではなかった。

「これ、無いよな?」

「うん。無い…」

老人の首から上は何も無かった。

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Kさんはこれまでの現象の原因に心当たりがあった。

在庫処分市だ。

帰宅したKさんは○○リサイクルに電話をかけた。

「当社では在庫処分市といったイベントは実施しておりません」

「そんなはずないでしょう?招待チケットも届いてます!」

「当社では在庫処分市といったイベントは実施しておりません」

「…」

本当に何も知らないような口ぶりだった。

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次にKさんは、配達員の名刺に書かれた電話番号に電話をかけた。

数回のコール音の後、誰かが電話を受けた。

「はい。○○リサイクルです。ご用件をお願いします」

「以前、配送していただいた商品について確認したいのですが」

「かしこまりました。お名前と配送日時をお願いします」

数分後。

「K様。申し訳ありませんが、対象日程でK様宛の配送は行っておりません。お手数ですが担当ドライバーの名前をフルネームでお願いします」

更に数分後。

「XXという名前のドライバーは当社に在籍しておりません」

「…」

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八方塞がりとなったKさんは在庫処分市の開催された住所に向かった。

車を飛ばすこと数時間。

Yさん夫婦の住む、あの一戸建てに到着するはずだった。

しかし、一戸建ては無く、更地になっていた。

通りすがった近隣住民に話を聞いてみると、在庫処分市があった翌週の木曜、寝煙草が原因でYさんの家は全焼し、中からYさん夫婦が焼死体で発見されたそうだ。

もちろん、ニュースにも取り上げられたそうだ。

ただ、この話を聞いた時、Kさんは違和感を覚えた。

寝煙草が原因と言っていたが、本当なのだろうか。

在庫処分市でYさんの家に上がった際、どの部屋も煙草の臭いはしなかった。

また、Yさんの衣類も数点購入したが、どれも煙草の臭いはしなかった。

疑問は残ったがKさんは一つだけ確信した。

開催当日は紛れも無くただの在庫処分市であったが、結果として【遺品整理】となった事を。

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帰宅後、Kさんは在庫処分市で購入した商品を処分する事に決めた。

洗濯機、ソファ、バスローブに物置、奇怪な現象はいずれも在庫処分市で購入した商品絡みだったからだ。

妻に事情を説明し、全ての商品を処分するよう説得したが【桐箪笥】だけは手放せないと頑なに拒否された。

妻の気に入っている【桐箪笥】おそらく数十万の価値はあるであろう立派な造りだった。

ただ、欠陥があった為、かなりの安価で購入することができた。

造りとして、全ての引き出しに鍵がかけられるタイプになっており、鍵も付属しているのだが、三つ割の小さな引き出しだけ鍵が合わず、開けることが出来なかった。

Kさんは何故一箇所だけ他と違う鍵が必要なのか気になっていた。

「ちょっと、開けてみるか」

Kさんは鍵屋に電話し、来てもらうよう頼んだ。

数時間後、鍵屋が到着した。

鍵屋は手慣れた手つきで数分のうちに小さな引き出しを開錠した。

「開きました。ご確認お願いします」

妻は【桐箪笥】の三つ割の小さな引き出しを左から順番に引き出した。

一番左は何も入っていなかった。

真ん中には木綿のハンカチが数枚入っていた。

一番右には桐で出来た小箱が入っていた。

桐の小箱は桐箪笥と同じ鍵で施錠されているようで、妻は手持ちの鍵を鍵穴に挿した。

しかし、鍵が違うのか桐の小箱は開かなかった。

「すみません。こちらも開けていただけますか」

「別途料金がかかりますが、よろしいでしょうか」

「はい。お願いします」

引き出し同様、鍵屋は数分で小箱を開錠した。

「開きました。ご確認お願いします」

鍵屋も中身が気になるようで、表情からも興味津々であることは明らかだった。

妻は桐の小箱を受け取ると、ゆっくりと開いた。

中には白い木綿の布が入っていたが、中央が膨らんでおり、何かを包んでいるようだった。

妻はゆっくりと包みをめくり、中身を確認した。

「うわ…」

Kさんも妻も鍵屋も、その場にいた全員が驚いた。

包みの中には干乾びたミイラのような胎児が2体と、指輪をしたままの大人の指らしきものが2本入っていた。

「これ、かなりやばいんじゃ…」

鍵屋が後ろから声をかける。

「おい。やっぱりこの桐箪笥も処分しよう。危険なものを掴まされてるとしか思えないぞ」

「そうね…」

渋々ではあったが、妻は【桐箪笥】の処分を承諾してくれた。

それよりも問題なのはこの桐の小箱だ。

処分の仕方が全く分からない。

中身は焼いた方が良いのか、お寺か何かに持っていってお祓いしてもらうべきなのか。

Kさんが困惑していると妻は小箱を手にした。

「それどうするんだ?」

「わからないけど、気味が悪いから客間にでも片付けておくわ。これと一緒の部屋で寝るなんて嫌でしょう?」

Kさんが頷くと、妻は寝室のドアを開け、客間へと向かった。

鍵屋への支払いが完了すると、Kさんは重荷から開放されたかのように晴々とした気分になった。

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その晩。

尿意で目が覚めたKさんはお手洗いに向かった。

お手洗いから戻ると、寝室に妻がいない事に気がついた。

真夜中に何処に行ったのか不思議に思ったKさんは妻を捜す事にした。

真っ暗なリビング。

リビングに面した客間から明かりが漏れていた。

障子を開けるとそこには妻が座り込んでいた。

「どうした?」

Kさんが声を掛けると同時に、妻が振り向く。

「おい…お前…」

妻は両手と口元を真っ黒にしながら、何かを食べていた。

足下に転がっている開いた小箱から、それが何かはすぐに察しがついた。

小箱の中身、胎児と指を食べていた。

妻はだらだらと涎を垂らし、それらを食べ続けた。

Kさんがいくら呼びかけても無反応。

まるで何かに取り憑かれているかの如く、食べる事をやめない。

「おい!やめなさい!」

Kさんがやめさせようと妻に手を伸ばした時だった。

『ガツッ』

妻は手にした小箱を振り上げるとKさんの頭頂部めがけて一気に振り下ろした。

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『ピンポーン。ピンポーン』

呼び鈴の音でKさんは目が覚めた。

頭が酷く痛み、鏡を見ると額に血が流れた跡があった。

洗顔し、血を洗い流すと、Kさんは玄関ドアを開けた。

「在庫処分市のご依頼ありがとうございます。本日はよろしくお願い致します」

小奇麗なスーツ姿の男性は笑顔でそう言った。

Kさんが状況を把握するのに時間はかからなかった。

玄関に置かれたスリッパ、置物に絵画、全てに値札が貼られている。

無意識の内にKさんは自身の背中に手を伸ばした。

背中を撫でると、指先に違和感を感じた。

おもむろに違和感の元を剥がし取る。

くしゃくしゃになった値札。

【\100】

「次に処分されるのは私か…」

恐ろしくなったKさんは手荷物をまとめると、すぐさま家を出た。

玄関先には妻がいたが、今までに見たことが無い程、満面の笑みを浮かべる妻は不気味だった。

Kさんは妻から目を背けると、その場から立ち去った。

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歩き続けたKさんは近くにあった公園で休むことにした。

ベンチに腰掛け、自動販売機で購入したお茶を一気に飲み干す。

ペットボトルを捨てようと立ち上がろうとした時だった。

「すみません…」

背後から低い声がした。

Kさんは振り向こうとしたが、首を後ろに動かす事が出来ない。

「返して下さい…」

「何の事ですか?」

「返して下さい…返して下さい…」

「だから、何の事ですか!?私はあなたから何も借りてません!」

Kさんは苛立ちながら強く答えたが、それでも背後の何者かは「返して下さい」の一点張り。

途方に暮れたKさんは、ふと足下のバッグに気がついた。

家を出る際、黒のボストンバッグに手荷物をまとめて持ってきたはずだったが、いつの間にか真っ青なスポーツバッグが置かれている。

「このバッグの事ですか?私のでは無いので、勝手に持って行って下さい!」

そう言うと、背後にいた何者かが歩き出す音がした。

『コツ、コツ、コツ…』

Kさんの視界の右側から、杖をついた老人が見えた。

「え…」

見覚えのある顔、いや、顔は無かった。

お向かいさんが見せてくれた防犯カメラの映像に映っていた老人だ。

老人は座り込むと、スポーツバッグを持ち上げる。

真っ青なスポーツバッグの底は黒く変色しており、そこから液体がぽたぽたと滴り落ちていた。

そして、ベンチに座るKさんの両太ももの上に老人はスポーツバッグを置いた。

「おい!やめてくれ!」

そう言おうとしたが、声は出なくなっていた。

Kさん以外にも公園にはたくさんの人がいたが、まるでKさんの事は見えていないようだった。

老人はスポーツバッグを開けると、中身を取り出した。

中身は所々に肉片は残るがほとんど白骨化した人間の頭蓋骨だった。

老人は愛しい人と再会したかの如く、その頭蓋骨を両手で撫で回した。

Kさんは早く消えてくれと心の中で何度も何度も念じた。

「足りない!足りない!」

目の前の老人の声だろうか、Kさんの頭の中に怒声が聞こえた。

すると、老人はKさんの頬っぺたを両手でつまんだ。

次の瞬間。

とても老人とは思えない力で、Kさんの両方の頬っぺたを捻り、引き千切った。

あまりの痛さにKさんはのた打ち回りたかったが、金縛りなのか身体も動かせず、声も出ない。

両方の眼から涙だけが溢れ出た。

老人は引き千切ったKさんの頬っぺたを頭蓋骨の頬にぐちゃりと貼り付けた。

それでもまだ納得出来ない様子で、何度も何度もKさんの顔面の皮膚を引き千切っては頭蓋骨に貼り付ける作業を繰り返した。

Kさんの目の前には、赤黒い肉片に包まれた頭蓋骨が出来上がりつつあった。

「まだ…まだ…」

今度は頭部に激痛が走った。

老人はKさんの髪の毛を束ねて掴むと、一気に引き抜いた。

引き抜いた白髪混じりの髪の毛を、頭蓋骨の頭部にパラパラと散りばめる。

「まだ…まだ…」

老人は両耳を掴むとゆっくりとねじり取った。

頭蓋骨の左右にべたりと耳を貼り付けようとするが、落ちてしまい、なかなか上手く行かない。

さすがに何度やって耳を付けられない為、諦めたのか頭蓋骨の口の中に入れた。

「もう少し…もう少し…」

何処から持って来たのか、いつの間にか老人の手にはハサミ。

Kさんは嫌な予感しかしなかったが、大体、次の場所は想像が出来た。

老人はKさんの口を上下に大きく開くと、舌を掴み、ハサミで一気に切り落とした。

顎を伝って首元に生暖かい血が流れてくるのが分かった。

頭蓋骨の口を開き、両耳の入った口内に舌を入れた。

「あと少し…あと少し…」

老人は右手で上唇、左で下唇を掴むと、唇を捲りながらじわじわと上下に引き千切る。

そして、肉片まみれの頭蓋骨の口元に、唇を貼り付けた。

Kさんの目の前にはおぞましい出来損ないの粘土細工のようなKさんの頭部が出来上がりつつあった。

「最後…これで最後…」

『ブチッ…ブチッ…』

昼間にも関わらず、Kさんだけが暗闇に包まれた。

『コツ…コツ……コツ………コツ…』

老人の杖の音が遠ざかって行くのが聞こえた。

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その後、目を覚ましたKさんが自宅に戻ることは無かった。

自殺したとか、施設に入ったとか、住所不定で何処かの公園に住んでいるとか色々噂された。

Kさんが行方不明となった後、妻も後を追うように行方不明らしい。

Kさんの自宅については未だに空き家として売りに出されているそうだ。

買い手がついても数ヶ月、数年で退去してしまう曰くつき物件として。

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在庫処分市。

次はあなたの家かも知れません。

くれぐれもお気をつけ下さい。

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怖い

怖すぎて読み進めるのがかなり辛かったです・・・
斬新な話でかなり面白かったです!

怖い怖い怖い…

怖い.長文だけど読みやすい.

ひいいいいいいいいいいい

最後が怖すぎる。。。

こわいです。久々、ゾッとしました

読み応えがありました。面白かったです!

神様きたー(・∀・) 久しぶりの投稿!とても面白かったです。 さとるさんにしか出せないこの世界観、大好きですε=ε=(ノ≧∇≦)ノ

リサイクル品は怖いですね(・・;)
全てが…とは言いませんが^^;

謎の在庫処分市に来ていた他の方は平気だったのでしょうか(・・;)?