短編1
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海よりも多い涙

 ふと目覚めた俺は目の前の光景に驚いた。

俺が世界で1番愛する女が男とキスを交わし

ているではないか。

 思えばすれ違いばかりであった。

 あのころの二人を取り戻す為にやって来た

思い出の海。久々のデートだというのに趣味

であるサーフィンに没頭していた俺は確かに

悪い。

 しかしまさか彼女がビーチで男とキスを交

わしているとは、怒りが頂点に達した俺は二

人に近づこうとしたが、今一度冷静に目の前

の光景を捉えてみる。

 仰向けに倒れた男と唇を重ねている彼女は

溺れた男を救助していたのだ。

誤解に気づいた俺は二人を助けようと砂浜を

走るが思うように進まない。

 やっとの思いで辿り着いた俺は目の前の男

の顔を見て愕然とした。

 青ざめた男の顔は自分自身であった。

 そうか俺は溺れかけていたんだ。命を取り

戻す事は出来るのだろうか。

 どれくらい時間が経過したのか分からない。

俺は再び目を覚ますと目の前の光景に驚いた。

 「チェ」

残念そうな顔をした彼女が舌打ちを

しているではないか。

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