中編6
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【祝祭】幽霊タクシー

※はじめに※

このお話は、今月見事アワードに輝いたロビンM太郎.com氏に贈る作品です。

興味のない方はスルーでお願いします。

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やっと小降りになったと思った雨は、男が建物から走りだしてしばらくすると、また激しく降り始めていた。

淀んだ雲を見上げながら、小さく舌打ちをする。

ーまったく、こんな時に限って龍も誰も捕まりゃしない。ー

先程雨宿りをしていた建物に戻るには、結構距離が離れてしまっていた。

もう開店時間も過ぎてしまっている。

アルバイトの目を釣り上げてへの字口になった顔が目に浮かぶようだ。

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ーキッ!

小走りの男の少し先に、一台の黒いタクシーが停まった。

助手席の窓がスーッと開き、中から覗きこむようにしてドライバーが声をかけてきた。

「乗られませんか?」

男は一瞬、瞬きをする時間ほど迷ったが、雨が弱まる気配もなく、

「助かります!」

そう言って滑りこむように後部座席に乗り込んだ。

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「ひどい雨ですねぇ。」

目的地を告げしばらくすると、ルームミラー越しにチラチラと目線をくれながらドライバーが話しかけてきた。

「ホントですよ。いきなり土砂降りになるなんて、天気予報もアテにならないですね。」

男は苦笑混じりにそう答えた。

「『秋の長雨』って言いますしね。」

ドライバーはそう言うと目線を前に戻し黙り込んだ。

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しばらくぼんやりと窓の外を眺めていると、タクシーは見慣れない路地に入っていく。

近道してくれているのだろうと思い、男は目を閉じた。

ここ最近遅くまで営業しているせいか、疲れが取れず、かなり眠い。

店までの僅かな時間でも、仮眠したかったのだ。

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ザァァァァァァ。。。。

ザァァァァァァ。。。。

キーッ。

カッチ、カッチ、カッチ、カッチ。。。

体が少し前に持っていかれる感覚と、ウインカーの音で目を開けるのとほぼ同時に、

「着きましたよ。」

ドライバーの到着を告げる声がした。

「あ、どうも。助かりま。。。」

財布を取り出しながらそう言いかけた男の視界には、フロントガラス越しに想定外の景色が広がっていた。

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あるはずの街並みはどこにもなく、鬱蒼とした木々に囲まれるように、一軒の家がポツンと建っている。

「えっ?いや、ここじゃないですよ運転手さん!」

驚いた男が少し語気を強めてそう言うと、

「いや、ここであってますよ、お客さん。そこの家の中に入ってください。料金はいりませんから。」

そう言ってドライバーはニヤリと笑った。

「いや、てか困りますよ!俺これから仕事。。」

「良いからそこの家の中に入ってください。」

男の言葉を遮って、無表情にドライバーが言う。

「いや、マジふざけないでくださいよ!仕事なんですって!」

苛立ちながら男が声を荒らげる。

ドライバーは構わず、後部座席のドアを開けた。

「言う通りにした方が身のためですよ?降りてくださいお客さん。」

相変わらずドライバーは無表情なままだ。

なんなんだよ!ったく!

男はほとんどやけくそで車を降りた。

いつの間にか雨はあがっている。

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家を見上げて立ち尽くしていると、タクシーはまるで煙を払ったように掻き消えた。

…ひ…!マジかよ!どこなんだよここは!

イライラしながら携帯で時間を確認すると、男は愕然とした。

「は?午前2時13分?どういう事だよ。。。」

男がタクシーに乗り込んだのは、夕方の5時過ぎだったはずだ。

9時間も走ってたのか?マジでどこだよ!てかなんだったんだあのタクシー…。

男が途方にくれていると、家のドアが音もなく開いた。

人一人が入るほど開いただけなので、男の場所からでは中の様子は見えない。

「なんだよ。。。入れってことか。。。?」

そういえばタクシーの運転手も中に入れと言っていた。。。一体何があるっていうんだ。。。

ここに突っ立っていても仕方ないので、男は恐る恐るドアに近づいていくと、ゆっくりとドアを開いた。

中は真っ暗で何も見えない。

男の背中に嫌な汗が流れていく。

手探りで壁を探すと、少し中に入ったところでスイッチらしきものに指先が触れた。

バン!!

「....ひっ.....」

いきなり玄関のドアが勢い良く閉まり、男は悲鳴と共に飛び上がった。

ごくり。。。

生唾を飲み込みながら、スイッチを入れる。

間接照明のオレンジ色の明かりが、玄関を照らした。

思わず足下に目をやる。

何人もの靴が散乱している。

ー誰かいるのか?ー

男は靴を脱ぐと、

「お邪魔しま〜す。。。」

小声で呟き、中へ入っていった。

ふと見ると、壁に張り紙がしてある。

【←】

そこには矢印だけが書かれていた。

まっすぐ行けってことか。。。?

ゆっくりと矢印の示しているであろう方向に進んでいくと、視界の端にスイッチが見えた。

カチッ。

廊下が明るくなった。目の前にドアがある。

男がそのドアを開けると、中はやはり真っ暗だった。

壁に手を滑らせスイッチを探す。

左側にはなさそうだ。

男が右側の壁に手を這わせると、その上から何かが覆いかぶさってきた。

「....ひっ....」

男はまたしても情けない悲鳴をあげ、思わず手を引っ込めた。

だがずっとこうしているわけにもいかない。

勇気を振り絞って右側の壁をまさぐると、スイッチらしきものに指先が触れた。

慌ててスイッチを押す。

カチッ。

ほどなくして蛍光灯の明かりが部屋を照らし、そこには。。。

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「「「ロビちゃん!おめでとう!!」」」

掛け声と共に、ロビンM太郎.comの眼前に、

怖話メンバーが、勢揃いしていた。

パパパパパーン!!

一斉にクラッカーが弾ける。

正面の壁には、

「ロビンM太郎.com様アワード受賞おめでとう!」

と書かれた横断幕が飾られている。

テーブルの上には、美味しそうなオードブルやワインなどの飲み物がずらり。

ロビンM太郎は驚きのあまり、言葉を失い目を見開いている。

「ロビちゃん!ほら!グラス持って!」

沙羅姉さんがなみなみとワインの注がれたグラスを渡してくる。

「それでは!ロビたんのアワード受賞を祝しまして!」

「「「「かんぱ〜い!」」」」

鏡水花姉さんの乾杯の掛け声と同時に、グラスのぶつかる心地よい音が響く。

目の端に、きょとん顔のアルバイトが見えた。

「おまっ!店どうしたんだよ!」

小声で詰め寄る。

「いや、それが、いきなり顔に袋被されて拉致られて、気がついたらここにいたんすよ。。何なんすかこれ。。。」

アルバイトはキョドっている。

てか、拉致られたって!姉さんたち!それ犯罪!!

ロビンM太郎が姉さん達の行動力に震え上がっていると、グラス片手にぐるりと囲まれた!

「だーいじょうぶですよお兄様♪今日はワタシの権限で臨時休業の張り紙してきましたー♪うふー♪」

番長!酔ってるのか!?目が座ってるぅぅぅ!!...ひ...

「それじゃ、乾杯も済んだし、料理を食べましょうか!」

あんみつ姫姉さんの言葉を合図に、談笑しながらの食事が始まった。

オードブルに舌鼓を打っていると、近づいてくる人影。

「ロビンさん、いつもパロディをありがとうございます。アワード受賞、お見逸れしました。おめでとうございます。」

よもつ先生!恐れ多いです!!

恐縮して頭をボリボリ掻き毟りながら照れまくった。

談笑しながら楽しい宴が繰り広げられ、オードブルの皿もほとんどが空になり始め、そろそろお開きになりそうな雰囲気になった頃。

ふいに全員がにじり寄ってきた。

シーンと静まり返り、ロビンM太郎を取り囲む。

どの顔もなんの表情もなく、ロビンM太郎の胸に不安が広がる。

「え。。?ど、どうしたんですか?皆さん。。…ひひ…」

引きつった笑いでキョロキョロとみんなの顔を見回すと。

小夜子「それはそうとロビンさん。」

魔衣子「第三弾はどうなってるんですか?」

NAOKI「そうですよ。ずっと待ってるんです。」

ゴルゴム13「もう待ちくたびれそうですよロビンさん。」

欲求不満「そろそろ完成したんじゃないですか?幽霊タクシー。」

まりか「え?まさか全く書いてないなんて言わないよね?ロビたん?」

マガツヒ「そうですよ、ロビン兄さん」

「兄さん」「兄さん」「ロビンさん」「ロビちゃん?」

ひとりひとりが間を狭めながら、口々に詰め寄ってくる。

「…ひ…!すっ、すいません!皆さん!」

「やっ。。、ひ…、ゆっ、許してぇぇぇえええ!!」

ーロビンM太郎作 幽霊タクシー3に続くー

(笑)

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ね、ねね姉さん!!!ありがとうございます!ロビンM太郎.comです…ひ…

「8時だよ!全員集合!!」と下唇のぶ厚いオジさんがにじり寄って来そうな恐怖を覚えました!

明らかにされてませんが、タクシーの運転手さんはも、もしかして「パグ太郎兄さん」でしょうか?…ひひ…

てか、クラッカーのくだり辺りから…もうな、涙が止まりません!助けて下さい!

怖い100個を押すには一体どうしたらいいのでしょうか?!

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