この話はアワードを受賞したロビンM太郎comに贈ります。
興味のない方はスルーして下さい。
数あるラインゲームの中で自分のアバターを作り、仮想空間の中でコミュニケーションを計りながら遊ぶゲームの話をしよう。
この話の主人公のアカウント名は“ロビン”。ロビンは2年前に親友の龍からの勧めで、このゲームを始めた。最初こそ、このゲームの楽しさが見いだせず、たまにやる程度だったが、今では暇があればスマホを操作し、アプリを開く程になっていた。
そのゲームでは、釣りやパズルゲーム等、様々な遊びが出来き、そこで稼いだマネーで、自分のアバターに気に入った衣装を購入し着せる事で個性を表現し楽しむ事が出来る。
ロビンは特に、釣りのゲームに夢中になっていた。フィールド内には6人が入れて、その時はロビン一人しかフィールド内にいなかった。
暫くプレイしてると一人のアバターが入室してきたと、画面に表示された。
通常は相手のアバターが表示されるのだが、何故かその時は入室してきたアバターは表示されず、入室してきたとお知らせの文字だけであった。
「アイちゃんさん。が入室してきました」
よくあるバグだろうと、ロビンは気にせず釣りゲームを楽しんでいたが、一応、挨拶文を打ち込んでみた。
「こんちゃ〜。ロビンです!宜しく!ひひ」
「こんにちは」
相手も返事をした。ロビンはやはりバグなのだと確信し、更に相手のアイちゃんに返信。
「アイちゃんのアバが表示されてないよ〜。バグかな?」
「私には、あなたがはっきりと見えますよ」
やはりバグだったが、ここで退室又はアプリを再起動してしまうと、せっかく出会った「アイちゃん」という女性とは二度と出会えなくなる事が勿体無いと思ったロビンは、アイちゃんに友達申請をして貰おうと、こう切り出した。
「こっちはやっぱり見えんなぁ〜(・・;)。」
「アイちゃん食べてもらいたいから…俺に友達申請送ってくれる?ふふ…ひひ」
かなりの変態発言で意味不明であるが、直ぐに画面の下にある友達のアイコンに、申請をお知らせする⓵のマークが付いた。
「アイちゃん♡ありがとうね〜」
リアルではあり得ない♡マーク…等使っている自分に多少の違和感も覚えず、アプリの再起動を試みようとした時に、丁度、親友の龍からのメッセージが来た。
「ロビン〜また釣りやってナンパでもしてんの?」
多分…あてずっぽうで放った言葉だろうが、図星なので少し恥ずかしくなり「違うわ!」と短く返事をすると画面に龍のアバターと「龍さん。が入室してきました。」と文字表示がされた。
言い忘れていたのだが、このゲームは友達登録をしていると、その友達が遊んでいるか否かが表示で解り、尚且つアバターをタップすると、その友達の遊んでいるルームに行く事が出来るのだ。
同じルームにいる龍に、一応、アイちゃんと友達になった事を話し、アイちゃんに「こいつは俺のリア友の龍だよ♪」と、送信してみると、龍が「ロビン、誰に俺の事紹介してんの?」と返してきた。龍にも見えないとなると、サーバーの不具合かもしれないとロビンは再度アイちゃんに「あれ?アイちゃんいる?」と送信…だがアイちゃんからの応答はなかった。
もしかしたら龍が入室してきた時にアイちゃんは退室したのかもしれないと、龍に「再起動してくる」と送信し、一度アプリを終了、再度アプリを立ち上げ①マークの付いた友達アイコンをタップした。するとアイちゃんが表示された…しかし何故だかアイちゃんのアバターは真っ黒の女性のシルエットだったのだ。
ロビンはまだ不具合が治ってないだけだと、気にせず友達登録をすまし、彼女がまだ遊んでいる事を確認すると直ぐに、真っ黒なアバターをタップし、アイちゃんが遊んでいるルームにウキウキしながら飛び込んだ。
だがまたも不具合なのか、飛び込んだルームのデザインは表示させず、背景が真っ黒な所に、ロビンのアバターと下のアイコンだけが、はっきりと画面の中央に映し出されるだけだった。少しイラついたロビンはダメ元で、チャットアイコンをタップし「アイちゃんいますか~?」と送信。暫く自分の送った「アイちゃんいますか~?」の表示を眺めていると
「つれた♪つれた♪」
アイちゃんの発言に少し機嫌をよくしたロビンは「アイちゃんいたんだね♪」と送信
「つれた つれた」
話が噛み合わない…だけども懲りずに送信
「魚が釣れた事がそんなに嬉しんだね♪はじめてなの?」
「はじめて」
やはり嬉しすぎただけで、無視されたわけではないのだと安心し携帯の画面から目を離した。
ロビンは自宅でこのゲームを楽しんでいたのだが、電気を消してするような事は、目に悪いからとしないはずなのだが、部屋の電気は消えていた。
いつ消えたのか…あまりに集中しすぎて気が付かなかい、なんて事はあり得ない。そう思うと何故か怖くなり携帯画面の明かりを頼りに電気のスイッチまで行こうと立ち上がった時に気が付いた。
何故こんなに暗いのか…
いくら照明が消えていたからといっても…目が暗闇に慣れていないからといっても、何かしら携帯の明かりで、多少は廻りの物などが見える筈だ。暗闇という恐怖に襲われたロビンは、携帯の光に導かれるように画面を見た。
「つれた つれた」
アイちゃんの発言が目についた。もともと声じゃない文章なのだが、頭の中で抑揚のない声が連呼する。
背後に気配を感じたが、動く事は出来なかった。
「ロビン つれた」
耳元で囁く声が聞こえた。
「おいしい おいしい」
「ひひひひ」
最近、サーバーが重すぎるのかロビンのアバター真っ黒だな。
龍はロビンのアバターをタップした。
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作者欲求不満
ネタが飛び降りてきたので、祭りに参加しました。
私はハッピーエンドが書けないので、祝になるか解りませんが…
しかもロビン様を最後…してしまってすみません。。。
ロビン様、おめでとうございます。