中編3
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幼き闇

ある年の夏の日のこと。

3日ほど前に田舎のおばちゃんの家に5歳のしんじは来ていた。

お盆のため田舎のおばあちゃんの家に行ったのである。

両親は仲が良く普通に幸せな家庭だった。

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しかし、しんじ君には1つだけ気に食わない事があったのだ。

それはこの前から少しずつしゃべれるようになった4歳の弟である。

おばあちゃんや両親はそんな弟が可愛くてしかたないらしく構ってもらえない。

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お菓子を食べられて親に言っても

「仕方ないでしょ。」

お気に入りのぬいぐるみは壊される。

弟は何をしてもあまり怒られないのにこちらは何かすると

「お兄ちゃんなんだからしっかりしなさい...」

お兄ちゃんになんてなりたくなかった。

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しんじ君は外で遊ぶのに飽きて家の中で一人で遊んでいると弟が歩いて来た。

それを見た時にしんじ君はあるいたずらを思いついたのである。

後に大事件に発展するとも知らずに...

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次の日、しんじ君は両親が買い出しに行ってる時を見計らい弟に「外で遊ぼ。」と声をかけた。

弟はお気に入りのおもちゃを持ってやってきた。

「なにするの?」と聞いてきた弟を無視しておもちゃを奪って逃げた。

ヴあーーと泣き叫びながら追いかけてくる弟から逃げながら雑木林へ入った。

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しんじ君が少し走ると小川が前方に見えてきた。

小川といっても川幅は優に家一軒分以上あるしっかりしたものだ。

一人で遊んでいる時に見つけたのである。

その川にかけられている橋を渡ると叫んだ。

「お前なんてきらいだ!」 

そして手に持っていた弟のおもちゃを川に投げ捨てた。

弟は凄く泣き叫んでいた。 

ヴああああああ〜〜〜〜〜!

それを見たしんじ君は腹を抱えて狂ったように笑った。

あははははははははははははははは!

しんじ君はこの時、すっきりした気分になっていたそうだ。

しんじ君が笑っていたその瞬間 どぼん と川に飛び込む音が聞こえた。

「あっ!」なんと弟が川にとびこんだのだ。

大人達が事態を察知して駆けつけた時にはもはや影も形も無かった...

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それから3年の月日が流れた。

小学校に通うのも少しずつ慣れた時期である。

あの時は随分怒られた。 

しかし両親にはなぜかあまり怒られずにすんだ。

今思うとかなりのショックだったのだろう。

それから車に気をつけろだの、不審者に気をつけろだの安全に関する事にはうるさくなったが他のことはあまり言わなくなった。

しんじ君は自分のお菓子を食べたり物を壊したりする存在がいなくなったので内心では弟がいなくなって良かったなとさえ思っていた。

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ある風の強い日、下校中のしんじ君の安全帽が風によって飛ばされた。

しんじ君はあっと思って思わず道路の方に走り出そうとした。

その時!

「しんじ、まえ」死んだはずの弟の声が聞こえた。

えっ!と思って立ち止まるしんじ君の前をトラックが通り過ぎた。

しんじ君は大声でお礼を言った。「あの時はごめんなさい!助けてくれてありがとう!」

耳元で返事は聞こえた。「しんじまえ」

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ロビン番太郎.comさん
コメントありがとうございます。そう来ました。(^_^)
楽しんでもらえたら嬉しいです。

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お兄ちゃんの気持ちが分かるだけに、つらさも残りますね…