真夜中の砂嵐(裏伽噺ｼﾘｰｽﾞ)

いらっしゃいませ。裏伽噺へようこそ。

本日は御二人様でご来店でしょうか。

おや？申し訳ありません、御一人様でしたね。

いえ、私の勘違いでございます。どうか御気になさらずに。

ただ、、、後ろは振り向かないことをおすすめ致します。

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さて、本日の噺はこちらになります。

どうぞお楽しみくださいませ。

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つい最近の話です。

私は現在2DKのアパートに住んでいるのですが、寝室にエアコンが無いため夏の間はエアコンがあるリビングで寝ることにしております。

7畳くらいの部屋にソファーとテレビが向かいあって壁際に配置されており、その間の床に布団をしいておりました。

ただ、その日は雨が降っておりまして、夏にしては涼しかったのでエアコンは付けずに扇風機のみで寝ていたと思います。

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眠りについてからどれくらいが経ったでしょう。

ふと目が覚めました。

暑苦しいというよりはむしろ冷やっとした嫌な感じです。

扇風機の音だけが部屋に響いておりました。

うーん…と、寝返りをしてテレビ側へ顔を向けた瞬間…

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ザーーーーーーーーーーーーーーーー

いきなりテレビが起動したのです。

画面には砂嵐が映っておりました。

人って本当に恐怖を感じると動けないんですね。

金縛りにあったわけではないと思います。

しかし怖すぎて何も出来ないでいました。

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こういう時って午前2時とか4:44とかベタだよな・・・

案の定なぜか目だけは動きますので、

嫌だなー、ベタな展開嫌だなーとテレビの横にあった時計を恐る恐る見てみると・・・

偶然にしては出来過ぎな4:44の表示が。

はい！お約束！！！

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ここまで王道な感じだと笑え・・・

ないんですよ！

とりあえず言い訳を考えるばかりでした。

リモコンに手が当たっただけ、時間もテレビがついた時点では42分とかだろう。

見たタイミングが偶然44分だっただけとか。。。

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完全にビビっている私は、心の中で何度も繰り返しながらリモコンを探し出しスイッチを切りました。

よくある、コンセントを抜いてもついたまま・・・

といった恐ろしいことは起こりませんでしたが汗もびっしょりで、でも怖くてそれ以上は動けないでいました。

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とにかく寝るしかないので、ジーっと天井を見つめたまま眠くなるのを待っていたらついに・・・

ついに・・・

目の前の窓から・・・・・

こちらを覗く・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・

太陽が見えたんですね。

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朝が来ました。

仕方なく身支度を整えながら、ニュースでもとテレビのスイッチを入れるとそこにはいつも通りのニュース番組。

ホッと胸をなでおろし顔を洗っている時・・・

気付いてはいけないことに気づいてしまったのです。

血の気がサァーっと引いていくのがわかりました。

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皆さんはお気づきでしょうか。

一つ目、

私はあの時リモコンを「探し出した」のです。つまり手の届く範囲に置いてなかったということ。

二つ目、

デジタル放送では砂嵐は流れないのです。

リモコンのアナログ放送ボタンを押したのならわかるのですが。。。

そして三つ目、

テレビは前回の消した状態が次に起動した時にも引き継がれます。

つまりアナログ放送の砂嵐が映ったのだとしたら、朝テレビを起動した時に映るのはアナログ放送のはず…

なぜいつも通りデジタル放送のニュース番組が流れたのでしょうか。

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結局その日以降、私はテレビがある部屋で寝ることが出来なくなってしまいました。

あの時は砂嵐でしたが、次は何が映るかわかりませんから。。。

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いかがでしたでしょうか。

常しえに人の裏には影あり闇あり悪意あり。

されど世に好き予期せぬ出会いあり。

この噺との出会いがお客様にとって好きものであることを祈りつつ

この噺にささやかな闇と悪意を含ませ差し上げたいと思います。