短編2
  • 表示切替
  • 使い方

帰ってきたクロ

寝苦しい夜にフト思い出したので…

私がまだ小学生の頃、風邪で学校を休み

普段は見ないN〇K教育テレビを布団に入り何気なく見ていた時

出演していたお姉さんの怪談話です

梅雨の頃、連日の雨で外は昼間でも暗い

そんな中、お姉さんの心も暗くする出来事があった

お姉さんはマンションの二階に住んでいる

越して間もなく、夜になると黒い猫がベランダに散歩しに来るのが分かった

餌をやっているうちに情が湧き、名前をクロと名付け可愛がる

日が経ち、その内クロが弱っていくのに気付く

年老いたクロは餌を食べる量も減り、終にはパタンと来なくなった

何処かで死んでしまったか…お姉さんは酷く落ち込んだ

梅雨も明け、寝苦しい夜が続いたある日

フト夜中に目が覚める

ベットの横には小窓があり、それを何となくボ-っと見ている

すると…

猫の影が窓に映る…

影の猫がカリカリ窓をひっかく…

クロ?

そう思った…

頭に直接響く様に声が聞こえて来た…老婆のような声だった

クロ?「ねぇ…開けて…開けてよ…一緒に行こう…」

お姉さん「ごめんねクロ、何もしてあげられなくて…でも、一緒には行ってあげれないの…ごめんね、ごめんね…」

怖さよりもクロへの思いが言葉に出た

しかし

猫は続ける

クロ?「…行こう…一緒に…行こう…」

初めはカリカリ鳴っていた音は、ガリガリと強くひっかく音に変わっていた

何だか怖くなったお姉さん、開けなきゃならない衝動に刈られた…

その時…

真後ろから猫に鳴かれた気がした…

意識はそこで途絶え、気付くと朝だった

小窓を開ける

外側のガラス戸を見ると深く爪の跡が刻まれていた

窓の外にベランダは無く、猫ですら立ってはいられない程のスペースなのに…

頭を傾げながらベットから降りると足元に黒い毛が何本か落ちている

クロの毛だと直ぐに分かった

クロがあの老婆の声をした猫から助けてくれたと考えると幾分、心は軽くなった

しかし、あの老婆の声をした猫は何だったのか…

もしあそこで窓を開けたらどうなっていたのか…

考えると少し背中が寒くなる出来事だったとお姉さんは語る

それ以来どんなに寝苦しい夜でも窓は開けずに我慢して寝ているとの事…

窓を開けたら老婆が迎えに来るから…

風邪の悪寒か話のそれか少し分からなくなったあと私も窓を閉めて眠りに着きました

怖い話投稿:ホラーテラー 独りさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ