中編4
  • 表示切替
  • 使い方

元刑事課長の体験談

オヤジが消えておよそ1週間になった

その間にもオハル・アオキ・タロウ・ジロウ兄妹も消えてしまった

それよりもふと思い出したことがある

あのサイクリング事件の後のことだ

のちのちオハルちゃん達との関係にもつながるのだが・・・

あれはオヤジが消える1か月前のことだ

当時刑事課長(最終的には副署長にまで昇進した)をしていたオヤジの知り合いの刑事が無事定年を迎えたとオヤジが夕食の時に話をしだした

結構たまに2人で居酒屋で酒を酌み交わしていたそうだ

まぁオヤジにとっては高校生の時に捕まって以来の付き合いというか腐れ縁というか

長い付き合いになる

私の子供のころ、オヤジの素行不振のたびに職質をくらい署まで一緒に付いていきその刑事課長と知り合いになった

配属された新人の刑事が毎年間違いで署まで連れてくるので先輩刑事たちはいつも苦笑いをしていた

最終的には新人研修としてオヤジの顔写真と幼い時の私とF子の写真を見せて

このオヤジとこの子たちを見かけても職質は絶対にしないようにと新人刑事たちに教えていたそうである

その刑事課長があのサイクリング事件のことでオヤジと結構話をしたんだそうだ

まさか私たちが現場にいたことに驚いたことと私たちの話を聞いて正直嘘だろ、と内心思っていたようである

しかし、現場に残ってた死体や無数の小さな足跡など私たちが話をしていたことと辻褄があっていることで段々と話を信じるようになったとオヤジは話をした

その事件は結果的には迷宮入りとなってしまった

まさか・・「犯人が餓鬼です」とは言えないからね

その刑事課長の上司である当時の署長には正直に話をしたんだそうだ

その署長も半信半疑で話を聞いていたが証拠を見せられるたびに信じを得ざる状況になったということである

話はその事件の迷宮入りしてから後にその刑事課長自身が信じられないような体験をした、とオヤジに話しかけてきた

オヤジの話だと

迷宮入りしてから時効まで捜査本部の規模は縮小されたが少人数ながらも捜査は続けたんだそうだ

しかし・・・これといった証拠が出てこず事件は時効

その時効したその晩にその刑事課長は不思議な体験をしたみたいだ

捜査中はなかなか眠れない日々が続いて完全に睡眠不足で

時効が発効されてから緊張感が一気に解放されて疲れがどっと出たらしく家に帰ったらそのまま眠ったとのこと

夜の0時過ぎに誰かに呼ばれたような気がして目が覚めた

周りを見回してもだれもいない

しかし、1回、目が冴えてからなかなか寝付けずに

ソファに腰を掛けてタバコを吸っていた

廊下の方から足音が聞こえてきた

てっきり奥さんが起きてきたのかと思い奥さんの名前を呼んだそうである

だが、返事が無い

変だと思いもう1回名前を呼んだが返事が無い

奥さんではなく子供が東京から帰ってきたのかと思い子供の名前を呼んでみたがこれまた返事が無い

これはおかしいと思いドアを開けて廊下を見た

だれもいない

たしかに廊下を歩く足音が聞こえた

もちろん廊下の明かりは点けた

てっきり疲れてるんだろう、と自分自身納得させてソファに腰かけてまたタバコを吸い始めた

また、廊下から足音が聞こえてきた

今さっきのように名前を呼んだ

しかし、返事が無かった

相当疲れてるんだな、と自分自身納得させた

しばらくするとやはり廊下の方からリビングに向かって近づいてくる足音がはっきりと聞こえた

そしてリビングのドアの前で足音が止まった

気づくと顔に脂汗が吹いていた

心臓の音がパクパクと良く聞こえてきた

色々な事件の現場を幾度も見てきた凄腕の刑事である

どんな現場でも沈着冷静に指揮をしてきた自負がある

だが今は額から汗や脂汗がにじみ出て何かしらの恐怖に駆られてる自分がいた

ガチャ、とドアノブが開いた

スゥーと扉が開いた

刑事課長は恐る恐る顔だけ扉の方へ向けた

誰もいない・・・・

刑事課長は一気に恐怖のためか身動きできなくなってしまった

しばらくして少し硬直が解けたような気がしたので

顔を元へ戻して改めて正面を向いた時についに絶叫したんだそうだ

目の前にあの小屋で死んでいた老人が座っていたそうである

その老人は正座していて何度も頭を下げて何かお礼を言ってるような気がしているのだが声が聞こえない

しばらくするとスゥーと消えてしまった

あまりの恐怖に身動きできなかったが徐々に体が動けるようになって

改めて正面を見た

だがだれもいない

確かにあの老人だ、と刑事課長は力説していたんだそうだ

刑事課長は幽霊など職業上の立場もあるが個人的にも全然信じていなかったらしい

だが現実に目の前に幽霊が出て消えていくのを見たのだから幽霊の存在を今は信じているとオヤジに話をしたそうだ

翌日に署で部下に昨夜の出来事を話しをしたら速攻に現場へ行き線香の1本でもあげてきましょうと

言われたらしい

その1週間後に刑事課長と捜査関係者たちがその現場へ供養に行ったようだ

線香をあげてるときに刑事課長の耳元で「ありがとう」という老人の声らしき声を聞いたらしい

刑事課長は空耳かな、とおもい心の中で「成仏してくれ」と願い込めて手を合わせたときに

もう1度「ありがとう、ありがとう」と耳元で囁く声がしたとオヤジに話をしたようだ

その時に「あぁ~~成仏してくれたかな」と肩の荷がすべて降りたような気持になったと笑顔で話していたとか

オヤジも「成仏したさ」と返事をした

その日の晩酌が一番おいしかったとオヤジは喜びながら酒をどんどん飲んでいたな

まぁ・・・あの事件がまさか・・・オハルちゃん達と関係があるとはね

オヤジとオハルちゃん達、無事にいてくれよ

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ