資料の整理と写真から消えた3人

長編18
  • 表示切替
  • 使い方

資料の整理と写真から消えた3人

暇なときにお寺さんから送られてきた資料をS君と2人で整理をしているんだが・・・

なかなか・・・進まない・・・

S君も東京での仕事があり早々に帰ってきて資料の整理ができないからだ

まぁ・・そこでおチビの葵を助手にして資料の整理を手伝ってもらってる

しかし・・・文字が読めない・・・・

困った・・・

仕方ないので私が資料を整理したものを箱に詰めてもらうことにした

私と一緒にいるのがうれしいのか喜んで手伝ってもらってる

小さな書斎室(和室)で葵と一緒に資料の整理をしているとなぜかホッとする

楓も暇なときには手伝ってくれてる

もちろん夜更かしはさせない

大体夜の10時ごろには子供たちには自分たちの部屋へ行ってもらってる

いつものように葵と資料の整理をしていた時に

葵が珍しい写真を見つけた

「あ!パパ!!!大変大変!!!ここにSおじさんが写ってるんだぞ!!!」

「え!!!どれどれ・・・」

その写真は町の中を写していたものだ

両側にはお店が並び人や荷車が写っていた

どこの町なんだろう

その中に左側のお店の入り口あたりに

確かにS君のような感じの人物が写っていた

しかし・・・いったい誰が撮影したんだろう

というか・・・S君にしては顔が老けすぎる

どうみても40代もしくは50代のようにみえる

私たちがオハル・オアキちゃんたちの世界へ行っていたのは20代のころに

オハル・オアキちゃんたちがお寺に預かるまではあっちの世界へちょこちょこと行っていた

そして、オアキ・オハルちゃんたちが10代後半、20代前半の時にも確かに行っていた

(その時にS君は何を思ったのかオアキちゃんに告白して断わられてしまったわけだが・・(当たり前だよね))

それ以外では行っていないはずだ

その写真を見た感じでは確かに明治時代のような感じはする

しかし、写っているのは恐らくS君だろう

確信は持てないけれどね

なぜこの資料の中に入っていたんだろう

この資料はオアキ・オハルちゃんたちがお寺に預かってもらって以来の資料を歴代の和尚様たちが大事に保管していたものだ

先のお寺の蔵の火事でもはや焼失したと思われていたがなんとか資料だけは焼かれずに残っていたのだ

S君に似た人物はオアキ・オハルちゃんたちと関わっていた人物だろうか?

いったい誰なんだ?

将来的にS君が40代もしくは50代のときに何かに巻き込まれてあの時代へ行ったのだろうか?

これはS君が帰ってきたときに見せないとね

「ねぇねぇ・・・パパ、・・・不思議だよね、なんでSおじさんがいるんだろ

それと、ここに・・・なんか・・・あたち、みたいな子がいるよ・・・」

「え?どれ・・・・」

そのS君に似た人物から少し離れた所に子供が2人写っていた

よく見るとたしかに葵のような感じの女の子が写っていた

もしかしたら・・・オハルちゃんかもしれない

もう一人の子は後ろを見ていて誰だがわからない

しかし、この感じだとオアキちゃんのようにも見える

「もしかしたら、葵、オハルちゃんとオアキちゃんかもしれないね」

「でも・・・パパ・・・あたち、オハルちゃんとたまに中庭で「野良仕事」を一緒にしてるけどたしかにあたちとは顔たちがよく似てるけどね・・・でも・・・オハルちゃんの顔じゃないような気がするんだぞ、どう見ても、あたちのような気がするんだぞ

パパ、それにこの写真に写ってる服装、見覚えがあるんだぞ

去年にママと一緒にデパートで買った服に似てるんだぞ

パパ、ちょっとまってて、その買った服を持ってくるから」

そう言って走って自分の部屋へ行ってしまった

しばらくすると戻ってきた

「パパ、これこれ、この服だよ

ほら、よく似てるんだぞ」

たしかに写ってる女の子の服装によく似ていた

写真が少し荒く年数も経っていたので判別しにくいのだが

服の色はともかくデザイン?はよく似ていた

「確かに似てるよな・・・この時代にこんなデザインがあったのかな・・・

でも、たしかに・・・葵のような気がしてきたよ」

「でしょ・・・なんであたちがここにいるんだろう・・・

あ!この後ろ向きの子の服装、見覚えがあるんだぞ!

これ・・・楓姉ちゃんだよ・・・間違いないんだぞ!」

「そうなの?葵・・・どういうことだろうね

この写真からしてもう100年は過ぎているんだよ、葵、

パパやじいちゃも生まれてないよ

もちろん葵もね」

どういうことだろ・・・

これは・・・将来的にS君、葵、楓がオハルちゃんたちの時代へ行ったということになる

それもこの感じだと近い将来の気がするけど・・・

するとS君に似た人物はS君ではないということになるのかな・・・

なんか・・・嫌な予感がしてきた・・・

葵と楓の2人だけがあの時代へ飛ばされたんじゃないかと思う

いや・・・そんなはずはない・・・

「パパ、大丈夫?顔色が悪いんだぞ!」

「いや・・・ちょっと考えことしてただけだよ、葵、

もうそろそろ寝る時間だよ」

「うん、部屋に行くね、パパ!!」

これはS君に帰ってきてもらわなけらばいけない

私はすぐに電話をした

ことの詳細を説明をした

「えええ!俺とよく似た人物が写ってるのか・・・

それも葵ちゃんや楓ちゃんらしき女の子も写ってるのか・・・

困ったな・・・俺、一人で帰れないよ

こっちな、今忙しいんだよ

F子を一人にしておけれないよ

最近な、俺たち結構有名になったために

知らない人からよく声をかけられるようになったんだよ

F子も知らない人から声をかけられて怖がってる

F子の性格はよく知ってるだろ

やはり・・・今すぐには無理だな・・・

ごめん・・・

土曜日あたりだな」

仕方ない・・・

たしかにF子を一人、東京においていくわけにはいかない

土曜日の夜にS君とF子が帰ってきた

S子は大喜びでF子を迎えた

「おっちーー、おひさなんだぞ、Sアニキにいじめられてるんじゃないかと思って心配してるんだぞ」

「それはないない・・・あははは」

「誰がいじめてるって?S子!!!」

「ギャッ!!アニキ!!!元気だね!!!」

子供たちが玄関に集まってきた

その後にオヤジまでも来た

「おおおお!!!愛しのF子ちゃん!!!」

「パパ!!!おひさ、元気にしてる?」

「元気!!!元気、ハツラツ、オロナミンC!!!」

「え!?・・・」

完全にすべったな、オヤジ・・・

さっそくオヤジはF子の手を握ってさっさとリビングへ行ってしまった

「あちゃ・・・おやっさん・・・」

「うらやましいんだぞ!!」

「パパ、そんなに走らないでよ!!!」

一気にリビングは騒がしくなった

オヤジはちゃっかりとF子の横に座っていた

その横には楓と葵が座った

完全にポカーンのS君

おふくろが台所から戻ってきた

「おやおや帰ってきたんだね

疲れたでしょ?」

「ううん、大丈夫だよ、ママ」

おふくろが気付いたようだ

「あんた!!なんでF子の横に座ってるのさ

隣に座るのはS君だろ!!!

さっさと譲りな

あんたはソファで食事してな」

「・・・わかったよ」

オヤジは茶碗とおかずをもってソファのテーブルに置いた

「じいちゃ・・・」

葵がオヤジの横に座った

「葵ちゃん・・・えへへへ」

テーブルではS君兄妹の漫才が始まった

ソファでは葵とオヤジがおしゃべりしながら食事をしていた

「本当にやさしい子だよ、葵ちゃんは・・・

将来は葵ちゃんに面等を見てもらおうかね」

とおふくろは感心していた

おふくろに例の写真を見せた

「おふくろ・・・この写真を見て・・・何か違和感を感じないか?」

「どれどれ・・・???・・・違和感?普通の町を写した写真だと思うけど・・・」

「え?左のお店の前に男の人が立ってるでしょ?」

「どれ・・・いや・・・お店の前には誰もいないけどね・・・」

「え?うそだろ・・・」

おふくろは単に見つけられなかっただけだろうと思ってた

しかし、よく見ると男の人と女の子は消えていたのだ

そんな馬鹿な!!!と思った

葵が見つけて葵と一緒に確認したのだ

錯覚じゃない

「おかしい・・・確かに葵が見つけて俺も確認したんだよ

消えてる・・・マジかよ・・・」

「そうかい・・・F、少し疲れてるんじゃないのかい」

「いや・・・おかしいな・・・」

私は葵を呼んだ

「おーーい、葵、こっちへおいで」

「なに?パパ、ばっちゃ!!」

「葵、この写真をよく見て」

「あ、今さっきの写真だよね、Sおじさんとあたちと楓姉ちゃんが写ってたんだよ・・

あれ・・・いないよ!パパ!いない!!!確かにここにいたよね・・・」

「確かにいたはずなんだよ・・・おかしいな・・・消えてるだろ、葵」

「うん・・・消えてる・・・どういうこと?パパ!!」

私はおふくろに書斎であったことを話をした

「そうかい、葵ちゃんが見つけたんだね、おかしいね・・・消えてるね・・・不思議だね」

「うん・・・ばっちゃ・・・あのね、去年にママと一緒にデパートでおねだりして買ってもらった服を着た女の子が写ってたんだよ、あたちそっくりの子だったよ

隣には後ろ向けだけど服装が楓姉ちゃんの着ていた服と同じだったよ、ばっちゃ!」

「そうかい・・・しかし・・・どういうことだろうね・・・」

「さっぱり、わからん・・・いくら古い写真だからといって特定の人物だけが消えることは絶対にないはずだよ・・・う・・・ん」

「あ!パパ、あたちの服をまた持ってくるね」

「ちょっとまって!葵、Sおじさんと一緒に行くといいよ」

「うん、わかったよ、パパ」

私はS君を呼んで一緒にいってもらうようにお願いした

「あ!、私もちょっと用事があるから一緒に行くよ」

楓が大きな声で言ってきた

3人なら安心だ

「S君、疲れてると思うけどごめんな」

「おう、いいさ・・・さぁ・・行こうか!」

家の外と家の中は結界で囲まれているからそんなに心配はいらないのだが

写真から3人が消えていたので用心には用心と思いS君に頼んだのだ

3人はリビングから出て行った

しばらくして葵は買ってもらった服を持って戻ってきた

楓も同じく写真に写っていた服を持ってきた

「パパ、やっぱり後ろ向きの女の子は楓姉ちゃんだよ

ほら、この服が楓姉ちゃんの服だよ、そっくりだったでしょ」

「たしかに・・・そっくりだ

葵の服もね

どういうことだ・・・写真から人物が消えるなんでありえるのか・・・」

「話を聞いていて思ったのが・・・俺たち今まで写真を何気なく写していたよな

カメラが発明された時代以降しばらくは「カメラに写されると魂を取られる」と言われたらしいんだよ

それが今回その現象が起きたんじゃないのかな

おそらく100年前の人物を写したときに魂が抜かれてそのフィルムに焼き付けられたんじゃないかなと思った

それがたまたま今日の日に魂が成仏というかフィルムから抜けたんだと思う

今みたいにデジタルだと絶対に色が馳せることはないけどフィルム写真はどんどん劣化していくからね

それが偶然にも色が馳せて消えたようになったのかもな」

「うーーん・・・そっかな・・・全体的にセピア色だったし・・・特定の人物だけが色が違がってたようには見えてなかったよ

まぁ・・・写真そのものが古いから単に色が抜けたんだろうと言われれば・・そうかな・・という感じかな・・でも・・・この構図からするとこことこことここに3人分のスペースが空いてるんだよな・・・」

「えーーと、こことこことここか・・・確かにな・・・構図的に3人分のスペースは空いてるように見えるよな・・・でも・・・人影のような感じには写ってないし・・

よくわからんな・・・」

「一度、和尚様へこの写真のコピーをメールで送ってみるよ」

「そうだな・・確認してもらったほうがいいかもな」

私は事の経緯を詳細にメールに書きこの写真のコピーを貼り付けてメールを送った

特になぜこのような写真を送ってきたのかも説明してほしいと書いておいた

しばらくして和尚様から電話がかかってきた

「しばらくですわい、メールを見させてもらったですわい

メールの内容を読ませてもらったんですけれど

この写真については家内にも聞いたんですがこのような写真は知らないと言ってるんですわい」

「え!?奥さんは知らないと言ったんですか?」

「そうですわい」

「おかしいですね、送られた資料の中に入ったんですよ

それで資料のコピーをして整理した資料を箱に入れるときに葵が見つけたんですよ

どういうことなんでしょう・・・」

「そうですか・・・それと・・・聞いてよろしいですか?送られた写真のことなんですわい」

「はい・・・」

「送られてきた写真を拝見してメールに書かれた内容と写真を見比べながら見たんですが

・・・そのぉ・・・左側のお店の入り口当たりでしたよね・・・男の人と女の子2人ですよね?・・・」

「はい、そうです、私と葵が確認しました・・それがなにか?」

「それが・・・ちゃんと写ってるんですよ・・・・メールには「消えた」と書いてあったんで「あれ?」と思ったんですが・・・何回も写真を見ましたけれどちゃんと写ってますよ」

「えええーーーそんなはずはない・・・えーーと、メールに送った写真は・・・いや消えてますよ・・・和尚様、メールでその和尚様の写真を添付してもらえませんか?」

「はい・・・メールに添付しますわい、ちょっと待っててくだされ」

しばらくすると和尚様からメールが来た

その添付した写真を見た

「えええ!!!!そんな・・・・3人が写ってる・・・馬鹿な・・・どういうことだよ・・・和尚様、もう1度私が持っている写真をメールで送りますね」

「はい・・・」

私は不思議な気持ちでもう1度写真を添付して和尚様に送った

「今、きましたわい・・・えーーと・・・え????確かに3人が消えてますわい・・・

それともう1枚は3人が写ってますわい!!!!どういうことじゃ!!!」

「うぇ・・・消えた写真と写ってる写真・・・どういうこと?」

なにがなんだかわからない

S君にも写真を見せた

「わ!なに・・・これ・・・3人が写ってるじゃん・・・確かに俺に似てるわ・・

女の子も確かに葵ちゃんそっくりだぞ・・・どういうことだよ」

「やい!!!F!!!いい加減にしろよ!おまえ、写真に小細工したんじゃねーのかよ」

とオヤジが横から口を挟んできた

「するわけがない!!!葵もちゃんと見たんだ!!!」

「そうなんだぞ、じっちゃ!ひどいぞ!!!あたちも見たんだぞ」

「ううう・・・でも・・・どうして消えてる写真と写ってる写真になるんだよ」

説明ができない・・・

「和尚様・・・これは・・・今の段階だと説明がつかないしこの写真の出所もわからないし・・・この写真の風景の町になにか心当たりないですか?」

「いや・・・ないんですわい・・・はじめてみる町ですわい・・・ですが・・・雰囲気的に京都か奈良のような気がしますわい・・・このお店の名前をネットで検索すれば何かわかるかもしれませんわい」

「そっか・・・一度ネットで調べますね、本当に夜分申し訳なかったです」

「いやいや、なんのなんの・・・わしゃもこの写真について調べますわい

なにかわかりましたら電話しますわい・・・ただ・・・用心には用心しておいてくだされ・・・なにかの警告かもしれませんからな・・・特に子供たちは夜9時以降は絶対に外出させてはダメですぞ!!もし外に出るのならS君かオヤジ様かF君が付き添いしてくだされ

決して子供たちだけ外に出してはダメですぞ!」

「はい!わかりました、子供たちには言い聞かせます、ありがとうございます

お休みなさい」

和尚様との電話のやりとりをみんなに話をした

全員が「わからない」という表情だった

「おっちーーー!!!たしかに和尚様の言う通り何かの警告かもしれないんだぞ

子供たち、和尚様の言いつけなんだぞ、夜9時以降は用事がない限りは外に出ちゃだめだぞ!もし用事があるなら絶対にパパに言うんだぞ!!」

「えええ!!!早いよ、門限が9時ってさ・・・友達と遊べないじゃん・・・」

「俺も困るよ・・・せめて10時でいいじゃん・・・」

たしかに・・・門限が9時は・・・相手の家へ遊びに行って夢中に何かしていればあっという間に9時になるよな・・・

「確かに言う通りかもしれない・・・でもな・・・うちのところは今までいろいろな事が現実に起きてるからな・・・和尚様の言う通りにしてほしいな・・・もしお友達の家へ行って9時までに家へ帰れなかったら電話をしてほしいな・・・パパが迎えに行くから・・・それでどうかな?」

「まぁ・・・パパが迎えに来てくれるのなら・・・いいけど」

「俺も・・・いいかな・・・」

「うん・・・でも毎日は無理だぞ」

「わかってるさ、パパ」

「さぁさ・・・子供たち、寝る時間だよ・・・」

「うん、ばっちゃ!!!」

「Sおじさん、一緒についてきてよ!!」

「おうよ、一緒に行こうか!!!」

「S君、しばらくは2階の廊下にいてほしいんだけれどな・・・まぁ・・寒いからどちらかの部屋にいてほしい」

「わかったよ」

子供たちはS君の付き添いで自分の部屋へ行った

「オヤジ!すまんが葵たちの部屋にいてくれ、S君には匠の部屋で寝てほしいと言っててくれ」

「おう!わかったぜ」

しばらくの間、夜間だけオヤジは2階でいてもらおう

とにかく用心には用心だ

「たまには匠たちの部屋も見てくれよな、オヤジ」

「おう!!まかせておけ」

オヤジは2階へ行った

2階から葵と楓のはしゃぐ声が聞こえてきた

ホッと安心した

匠の声と仁の声も聞こえている

おふくろとS子とF子はリビングか隣の部屋でいてもらおう

またいつもの如くのパターンの日々がはじまった

さて・・・ネットで写真に写ってるお店の名前を検索してみた・・

出てこない・・・検索に引っかかってこなかった

有名ではないということかな・・・

お店のことが分かればどこの町なのか分かったのだが・・・

やはり100年以上前だと無理なのかな・・・

ここでお店の名前での詮索は終わってしまった

あとは和尚様からの報告を待つしかない

やはり中庭は肌寒い

外からの風がまともにきて寒すぎる

仕方ないのでリビングへ移動した

おふくろたちがおしゃべりをしていた

「おっちーー、パパ、どうした?」

「いや・・・中庭は寒いんだよ・・・」

「そうでしょ、もう私たちは寝るよ」

「そっか・・ゆっくり寝てておくれ」

「アニキ!無理したらダメだよ!」

「F!無理しなくていいからね」

おふくろたちは隣の部屋へ行きそのまま寝てしまったようだ

私も眠気がしてきた

というか寝てしまった

朝8時ごろに目が覚めた

みんな起きていて騒がしい

「あ!パパが起きたよ、ママ!!!」

「おっちーー、よく寝たんだぞ、F子ちゃんたちはお昼に東京へ戻るみたいだぞ」

「そっか・・・寝てしまったな・・・何事もないみたいで安心した」

「じいちゃが部屋にいたから何もなかったよ、パパ」

「こっちも何もなかったよ、Sおじさんのいびきがすごかったけどね」

「あはははは・・・・・」

お昼が過ぎ夕方もあっという間に過ぎた

もう夜の23時に・・・

眠い・・・

明日は仕事だから

あんまし夜更かしはできないけれど

まぁ・・・今夜はソファで寝るかな・・・

しばらく深夜番組を見ていたが・・・ウトウトとしてきた・・・

深夜の娯楽番組はマジでつまらん

私はガチャガチャと適当にチャンネルをどんどん変えていった

子供のころを思い出す

リビングにTVが1台しかなかった

だからオヤジと私たちでチャンネル争いをしていた

ほんと・・・懐かしい・・・今は隣にもTVがあるので子供たちは隣で自分たちの気に入ったTV番組を見ている

・・・珍しく旅番組の再放送をしていた

旅番組は好きなので時間を忘れてよく見ている

眠い目をこすりながら見ていた

え!!!!という場面が映ったのだ

〇△町とデロッブが出ていた

あの写真の風景とよく似ていたのだ

私はあわてて録画のボタンを押した

よく似ている・・・町のつくり・・・・道路の配置や家の配置

現代風の家が並んでいるが・・・そっくりだ

デジャブーの感覚に陥ってしまった

もう眠気が吹っ飛んだ

そのデロッブの町の名前を検索してみた

奈良県と出た

その町の詳細を検索してみた

出てくる出てくる

うん・・・?・・・和尚様のお寺に近い・・・というか隣だぞ

距離にして15Km位か・・・奈良県と京都府の境目あたりだな

もしかして・・・画像検索もしてみた

古い写真がぞろぞろと出てきた

なんと!びっくり!あの写真とよく似た風景の写真が検索に出てきたのだ

アングルが少し違うがちゃんとあのお店も写ってるし道路わきのお店や家々も同じように見える

時代は・・というと昭和14年と書いてあった

明治時代ではなかった

戦前なのだ

これは大収穫だ

いつのまにやら旅番組は終わっていた

録画を止めて再生映像を見た

間違いない!!あの写真の風景とほぼ同じだ

しかし・・・この町は・・オハル・オアキちゃんと何かしら関係があるのかな?

今日はここまでにして寝ることにした

今日は仕事だから

仕事が終わり急いで家に帰った

葵を呼んで録画した旅番組の映像を見せた

「パパ!!!なに?」

「昨日な・・・深夜に放送していた番組だけど・・・しばらく見てて」

「うん・・・え?えええ・・・パパ・・・あの写真とそっくり!!!」

「だろう・・・葵も間違いなく写真の風景と同じに見えたよね?」

「うん、そっくりだよ、パパ・・・」

もう間違いないあの写真はあの町の風景写真なのだ

私はすぐに録画した映像をスマホで写してメールに添付して事の詳細を書き送った

しばらくすると電話がかかったきた

「あ・・いや・・・びっくりでしたわい・・・まさか・・・

そっくりですわい・・・」

「でしょ、和尚様・・・私もびっくりしました・・・でも・・・この町はオアキ・オハルちゃんたちと何か関係あるんですか?」

「う・・・ん、今はわからんですわい・・・わしゃもはじめてみる町ですわい

ここへは一度も行ったことないんですわい

うちの家内は知ってるんだろうか・・・一度聞いてみますわい」

と言って電話を切ってしまった

とりあえずはこの写真の風景の住所がわかっただけでも収穫だと思う

あとはこの町がどういう関係なのか調べないとね

和尚様の奥さんが何かしら情報を知っていればさらに謎は解明できるのだがそうそうに事は進まないだろうな

S君にも今の状況を電話で話をした

どちらにしろ来週の土曜日にはまた帰ってくるという話だ

ネットでさらに検索をかけ調べだがそれ以上のことはわからなかった

昭和14年といえば太平洋戦争が始まる2年前だ

この時代背景になにかしらの関係があるのだろうか?

和尚様から電話がかかってきた

「あ・・いや・・・家内に聞いてみたんですが・・おそらく・・・オハルちゃんがたらい回しにされていた最後の町じゃないかと家内は言っておりましたわい

そのあとに私の先々代がオハルちゃんをその家から引き取っていますから

そのまたあとにはオアキちゃんも引き取っていますし

これでこの写真が含まれているか納得しましたわい

しかし・・・昭和14年という年号は・・・これはおそらく関係ないかもしれませんわい

明治の時代と昭和初期とでは町の様子が大きく変わっているのかもしれませんが

あの写真を見る限りではそんなに変わっていないような気がしますわい

こっちもさらに調べますわい

何かわかったら電話しますわい」

なるほど・・・オハルちゃんの最後のたらい回しにされた家がここなのか・・・

しかし・・・謎なのはその先々代の住職に夢で告げたのは一体誰なんだろう?

お狐様の可能性は大いにあるが・・・これもまた解明していかないとね

これは一度ここへ行ってみないとね

葵と楓を連れて行こうか迷っている

餓鬼たちの監視はしているだろうしなにかしらのドラブルには巻き込みたくはない

それとオヤジも正直来てほしい

これは一度S君と相談だな

さて・・・この写真に写っているS君に似ているこの人は一体誰なんだろうか?

それとこの2人の女の子もだ

葵と楓にはよくは似ている

だけど・・・別人のような気がするのだ

葵は服装がよく似てると言っていたがモノクロ写真ではこの服の色が正直どんな色をしていたのかわからない

やはりこの町へ行くべきだな

私は住職様に電話をかけた

来週の土曜日にこの町へ調べに行くことと1泊だけお寺に泊めてほしいことのおねがいを電話で話をした

和尚様は快諾してくれた

これで宿の心配はなくなった

オヤジも参加すると言うと和尚様の声があがった・・・なんかこの2人内緒でお酒を飲みに行きそうな気がするな

S君にも詳細を電話で話した

もちろんOK

金曜日に帰るということになった

またいつものごとくレンタカーの予約をした

資料の整理と来週の準備で今週は忙しくなりそうだ

Concrete
コメント怖い
0
1
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ