短編2
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F○cebookの友達申請

学生時代の友人であるAからF○cebookの友達申請があった。

親友というほどではなかったが、会えばそこそこ話をする仲だった。

学校を卒業して以来会っていなかったものの、特に断る理由もなかったので申請を承認した。

AはSNSに頻繁に投稿するタイプであるらしく、どこそこへ旅行に行った、話題になっているお店で美味しい物を食べたなど、Aの過ごしている日常を毎日のように投稿していた。

旅行先や飲み会で撮影した自撮の写真も掲載されており、「全然変わらないな、懐かしい」と思いながら日々投稿を見ていた。

AとF○cebookで友達になってから何ヶ月かたった後、学生時代の友人が転勤するという事になった。その前にみんなで飲もうという話になり、久々にその頃の友人が何人か集まった。

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その飲み会の場で俺はふと、

「AってF○cebook始めたんだな、みんなも友達になった?」

とAの事を話題に出してみた。

すると、それを聞いていた友人が一斉に沈黙し、少したってから一人が口を開いた。

「Aからの申請、俺のところにも来たよ。悪い冗談だと思って申請を拒否したけどな」

俺は戸惑いながら聞いた。

「悪いな冗談ってどういうこと?」

「お前その頃なんだかんだで忙しかったろ、だから連絡取れなかったんだけど、あいつ亡くなったんだよ。俺ら何人か葬式に出たやつもいるから間違いない」

「そのアカウント見せてみろよ」

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俺はスマホのF○cebookアプリを起動し、Aのアカウントを見せた。

「嘘だろ・・・」

「あいつの葬式で間違いなく遺体と対面したぞ・・・」

「偽物だとしたら一体なんのために・・・」

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みんながざわざわしている中、悪酔いした頭で考えた。

あいつが亡くなったのだとしたら、F○cebookに日々書き込まれている投稿は何なのだろう。あいつの名を語り誰かが書き込んでいるのだろうか?

それも毎日毎日、一体何のために・・・

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それと・・・

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他にももう何年もSNS上だけの繋がりだけで、実際に会っていない人がいるが、

そのアカウントは本当に本人が書いていると言い切れるのだろうか?

Concrete
コメント怖い
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@リング
ありがとうございます!

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素晴らしい!
凄く良い話でした(^o^)

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