短編2
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旨いトンカツ屋

あるサイトで見た話です。

ある青年が、○県に行った時のこと。

空腹になったので、一軒のトンカツ屋に入った。

夫婦でやっている、小さく古びた店。

奥の座敷は住まいになっているようで、子供がテレビを見ている姿が見える。

夫も妻も、無愛想でどこか顔色が悪い。

他に客はいない。

しかしここのトンカツ、食べてみるとものすごく旨い。

あっという間に平らげ、青年は満足した。

会計を済ませ、帰り際に

『来年も、またどうぞ』と店主。

変わった挨拶もあるものだ、と青年は思ったが、トンカツは本当に旨かったので、また機会があったら是非立ち寄ろうと思い、店を後にした。

それから一年…

再び○県に来た青年は、あのトンカツ屋に行ってみることにした。

しかし、いくら探しても店は見つからない。

おかしい…。

住所は合ってるし、近隣の風景はそのまま。

まさかこの一年で潰れた…とか?

いや、あんなに旨い店なのに。仕方がないので、住民に聞くことにした。

すると老人が、

「ああ、あの店ね。あそこは11年前に火事で全焼してね。家族3人だったけど、皆焼け死んでしまって…」

「そんな…。」

青年があの店に入ったのは去年のことだ。

戸惑う青年をよそに、老人は続けた。

「毎年、火事で店が全焼した日、家族の命日にだけその店が開店する…って話があるんだよ。入った客も何人かいるようだが…、あんた去年入ったのかい?」

『来年も、またどうぞ』

あの店主はまだ待っているのだろうか・・。

怖い話投稿:ホラーテラー アルバスさん  

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