短編2
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小さなワニ

長いです

ホラーじゃありません

私の父は

私が小学校に入る春に

死にました

ガンでした

私は父に関する記憶は

あまりありません

唯一あるのは

たくましい腕といつも着ていたTシャツの腕の部分についていた小さなワニのマークでした

父の顔はその後の家族の変化やショックのためか忘れてしまい

写真の顔しか覚えていません

あまり口数の少ない父だったので

私は父にあまり可愛がられた記憶がなく

自分には父親などいないと16になるまで思い続けていました

そして2005年11月

私は事故にあいました

歩道を歩いていた私に

大型トラックが突っ込んだのです

意識不明の重体

お医者さんは母に私は助からないと

言ったそうです

私は意識不明の中で

夢を見ました

私はどこかわからない

砂浜?というか砂漠のような中で1人で座っています

息をするのが苦しくて

うずくまっています

ふと後ろを見ると

蜃気楼(しんきろう)

のような

空間が歪んだような空間が私から2メートルくらい離れたところに

ありました

何故かその中に入れば

楽になるような気がして

たまりませんでした

夢中でその中に入ろうと力をふりしぼりそこにたどりつき中に入ろうとすると

1本の腕がその中からでてきて

私を押し返し中に入れようとしないのです

私は苦しくて中に入りたくて必死に中に入ろうとその腕に反抗しました

しかし決してその腕は私を中には入れてくれないのです

そして気が付くと

私は病院のベットで

寝ていました

助からないかもしれないと

言われていたのに

私は助かりました

母は今でも私に

あの時は不思議だったね

ほんとに運がよくてよかったと言ってきます

でも私は

自分が決してが運がよかったから助かったわけではないとわかっています

何故なら

私をあの空間に入れまいと必死に押し返してきた

あの腕には

私の唯一の父の記憶の

小さなワニがいたからです

お父さん

あなたは天国で1人で

淋しくないですか?

私に生きろと言ってくれてありがとう

私を愛してくれてありがとう

あなたは私のかけがえのないお父さんです

ありがとう

長々と失礼しました

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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