頼むから「大丈夫」だと・・

短編2
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頼むから「大丈夫」だと・・

俺は今、薄暗い船底で1人恐怖に震えている。電気系統のトラブルでエンジンがかからず漂流し始めてもう何時間にもなるのだ。

暗闇の夜の海の上、聞こえるのは波の音と・・・・

頼りない蝋燭の明かりで今この手紙を書いている。

今朝、私は2人の友人と共に3人でダイビングを楽しんでいた。

・・・・ヤツ等に出会うまでは・・・・

ダイビング中は常に3人で行動していた。お気に入りのポイントでお気に入りの魚を眺めていると

少し離れていた1人が急に苦しそうにもがきだした。

良く見るとビニールの様な異物が彼の体にまとわりついている。異変に気付き近づこうとする私をもう1人の友人が止めた。

「早く上がれ!!」 と合図している。訳もわからず戸惑っていると周りから半透明の異物がさらにもがく友人に幾つも絡み付き始めた。

全部で6つ。絡み付かれた友人は既にグッタリと海底に沈んでいる。

呆然と眺める私。すると絶命したであろう友人の体から彼に絡み付いていたモノと同じモノがヌルリと抜け出してきた。

周りに漂う他の6つのモノのうちの1つが一瞬で着物を着た女性の姿になって壮絶な笑顔で海面にあがって行き消えていった。

・・・・・『七人ミサキ』・・・・・・6人1組の魔物で人を1人殺して7人になると1人が成仏出来るという・・・。

この繰り返しで果てることがない・・・。恐怖の存在・・・。

6つのモノがもう1人の友人に近づく・・・

私は無我夢中でクルーザーを目指し懸命に泳いだ。不思議に罪悪感は無かった・・・。

クルーザーにたどり着きエンジンをかけようとしている時、右横の海面が盛り上がりボロボロのウエットスーツを着た片足の男性がこれも壮絶な笑顔で空中に消えていった。

残るのは私ただ1人・・・。   嫌だ・・死にたくない・・・。

そして今に至る・・・・。

「コン・・コン・・コン・・」

船底でノックの音がこだまする。彼等が海の中から叩いているのだ。

私を呼んでいる。

私は昔、祖母からもらった清めの塩を握り締めた。

ヤツ等は海の中・・・塩水だ・・・

誰か・・・頼むから「大丈夫」だと言ってくれ。

怖い話投稿:ホラーテラー 九妖さん  

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