長編10
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事故物件と「大」事件

事故物件と言う言葉は今は誰でも知っていますよね

自分の家は事故物件じゃないんだけれども2階の渡り廊下が霊道で霊が毎日通ってる

だから霊現象も多い

おふくろの屋敷内にあるアパートもなぜか事故物件ではないのに霊現象があった

F子のモデル仲間のC子さんがどうやら事故物件の部屋に住んでいて不思議な現象にあってると

F子に相談したらしい

C子さんは一人暮らしで家賃が1万5千円というもう如何にもという部屋で暮らしている

この話を聞いた私とオヤジは「あかんあかん」と即座に声を出してしまった

「こりゃあかんぞ、F子ちゃん、間違いなく事故物件の部屋だよ、速攻で引っ越しをした方がいい」

「パパもそう思うでしょ、私もC子さんに「引っ越しをした方がいいんじゃない」と言ったんだけどね

C子さん、何かものを挟んだような感じで「うん・・・わかってるんだけどね」と返事してきたのよ

わたし、C子さんとは何回か一緒に撮影をしたからね

気になって仕方ないよ、パパ」

「まぁ・・家賃が安いからな、なかなかな・・・」

「そう、わたしたちの職業は収入が不安定だから・・・私はまだパパやママやアニキたちがいるからね、

でもC子さんは一人きりなんだよ、ご両親はもういないと言ってたし・・・」

「でもな・・・霊現象が起きてるのなら早く出なきゃいけない・・・」

「オヤジ、おふくろに頼んで、アパートへ来てもらおう」

「そうだな、それがいい」

おふくろに事情を話をした

「そうだね、空き部屋があるからね、来てもらおうかね、F子、明日にもC子さんに連絡をしてとりあえずは家へ来てもらって私から説明するから」

「わかった、ママ」

1週間後の夕方、F子に連れられてC子さんが家に来た

「こんばんわ、お邪魔します」

3人娘たちが走って玄関へ行った

「F子姉ちゃんだよ!パパ、!じいちゃ!!」

F子たちがリビングへ来た

「すいません、お邪魔します、C子と言います」

「いらっしゃい、座って」

おふくろはC子さんを椅子に座らせた

「F子からいろいろと聞いてるからね、とりあえずは私の実家にあるアパートへ来てほしいのよ、

もちろん家賃は要らないけれど電気・ガス・水道代は別だけどね

24時間体制のセキュリティがあるから安心だし、門限は無いから自由にお友達も呼んでもいいわよ」

「え・・・あのぉ・・・F子さんからは聞いていましたけれど・・・本当に家賃は無料なんですか?」

「もちろん、私の会社の寮だからね、家賃は頂いていないのよね」

「すごい!!・・・夢みたい、でも・・・本当にいいのですか?」

「もちろん、F子のスタジオもあるし、女の子の一人暮らしは保証します、とりあえずは荷物をまとめて来てほしい」

「はい!わかりました」

「おーーい、帰ってきてやったぞ!!!」

訳の分からんのが帰ってきた

3人娘たちが走ってオヤジを迎えに行った

「おい!!賑やかだな!」

オヤジが入ってきた

ギャーーーー!!!!

C子さんの悲鳴がリビング中に響き渡った

「誰なんですか?怖い顔の人は?」

「うちのパパ・・・」

「え・・・F子さんのパパなの・・・え・・・わたし・・・そのぉ・・・スジの人かと」

「まぁ・・たしかに初対面の人はびっくりするよな」

「うるせー、しばくぞ」

「C子さん、うちのパパだから、心配しなくていいよ」

「は・・はい・・・すいません、大声出しちゃって」

「じいちゃは優しいんだよ」

「うん・・・」

しばらくC子さんの動きを見ていた

別段・・・普通の女子に見えるのだが

モデルだけあって確かに美人

「ところで・・・C子さん、もう少し今、住んでる部屋のことを教えて頂戴」とおふくろがC子さんに聞いてきた

「はい、今、住んでる部屋は・・」

どうやら霊現象は起きているらしい

寝る前にきちんと部屋の襖は閉めたはずなのに起きたら襖が開いているとか

外から帰って来たらなんとなく今まで人がいたような感じがするとか

夜中にリビング辺りから物音がする

部屋にいるとなんとなく覗かれてるような感じがする

明らかに霊現象だ

C子さんが最後に話した内容にびっくりした

「あのぉ・・・たまにトイレの中に・・あのぉそのぉ・・・私のじゃない・・・大の方が・・・流さずに残ってる時があるんです・・・私は独り身で親族はいませんし・・それが不思議でなりません・・・」

それを聞いた時に「こりゃあかん」と思った

霊じゃない

人だ

「おふくろ・・・一刻も早くアパートへ来てもらおう」

「そうだわね、C子さん、明日に荷物をアパートへ運び出すわね、今日は家に泊っていけばいいからね」

「はい・・・」

私は仏間へ行き事情をオヤジに話をした

「なに!・・・大だと!!!霊じゃないぞ、人じゃないか」

私とオヤジは慌ててリビングへ戻った

「C子さん、何か心当たりはあるのか?」とオヤジはC子さんに聞いた

「いえ・・私は・・無いと思います」

「パパ!ちょっと、C子さんが困ってるじゃない」

「でもよ、F子ちゃん、霊じゃないんだよ、人だよ、勝手に部屋に入り込んでるんだよ」

「うん、わかってるよ、でもね、パパ、私たちの仕事はいろいろな人と関わってるから、

C子さんもそう、特定の人はわからないとおもう」

「しかし、困ったな、せがれ、今からでもいいから元課長へ連絡しろ」

私は元課長へ連絡をした

「オヤジ、明日来るってさ」

C子さんは不安そうな顔をしていた

「霊じゃなく人なの・・・」とつぶやいた

相手が霊なら除霊などすればいいけれど相手が人だとやっかいだ

「もう遅いしC子さんはホテルの間で寝てもらおう」

「そうだわね、F子とカナちゃんのママと一緒の部屋で休んで頂戴」

「パパ・・・本当に人なの?」と楓が聞いてきた

「え?どうした?楓?」

「話を聞いていたけど・・・人なのかな?って少し疑問に思ってるんだよ、ラップ音がその人が何かを漁ってる音としても何か変、なんかなぁ」と楓は顔を上にあげて首を横に振っていた

楓の霊感センサーが働いているのかなと

「すいません、Fさん、トイレの方から何か音がしたんです」

「はい?音ですか?」

「はい、人がいるような気配がしたんです」

「家族の誰かがトイレへ行ったのかもです」

「いえ、わたし、洗濯場で洗濯物を干していたんです、もしトイレに入るならトイレのドアが開く音がするはずです、それが無かったんです、でも、咳払いをする音が聞こえたんです、それで気になってトイレの方をしばらく

見ていたんですけれど誰も出てこなかったんです」

「え・・・それは・・・ちょっと」

私はカナちゃんママと一緒にトイレへ行った

私はトイレのドアに耳をあてて中の様子を伺った

別に人がいる気配は無かった

私は意を決してトイレのドアを開けた

誰もいない

「いませんね・・・」

私はふと便器の中を覗いた

一瞬、背筋に電気が走った

便器の中に「大」が残っていた

「わっ!」と叫んでしまった

「なんで・・・」

まさか・・ね・・・

私は急いでC子さんを呼んだ

C子さんが来た

「トイレの便器の中を見てください」

「はい、・・・・うっ・・・・」とC子さんは言葉に詰まっていた

「こ、こ、これです!わたしの家のトイレの中にあったものとよく似ています」

「え・・・うそだろ、マジかよ」

その時に旧勝手口の外から誰かが走り去っていく足音がした

「なに?今の足音、Fさん、聞こえました?」

「聞こえた、はっきりと聞こえた、何なんだ・・・」

「私も聞こえました、走っていく足音ですよね」

3人は急に怖くなってその場からリビングへ走って逃げた

「おいおい、廊下は走るんもんじゃないぞ、せがれよ」

「オヤジ、大変だぞ、トイレに「大」がある!」

「はぁ?大、ちゃんと流せよ、せがれよ」

「いやいや違う、俺じゃない」

私は詳しくオヤジに説明をした

「なに!大、って例の大のことか」

「そう、それがあってしばらくしたら旧勝手口のあたりの外の方で走り去る足音がしたんだよ」

「足音?本当か?」

「本当です、私も聞こえました」

「私も聞きました」

「そっか・・・確かめるか」

オヤジと私とC子さんと一緒にトイレへ

「オヤジ、便器の中を見ろよ」

「おう、???・・・おい・・・何もないぞ」

「え・無いって?」

私は便器の中を見た

無かった、大、が無い

「うそだろ、確かにあったぞ、オヤジ」

「でもよ、無いぞ」

「確かにありました、私も見ました」

どういうことだ?

消えた?

家族の誰かがトイレへ入った?

いや、誰もトイレへは行っていない

匠と仁は2階にいる

あとはリビングにいた

3人娘やS君やF子はリビング

S子はおふくろと一緒に後片づけをしていた

それに物を流したのなら流した音がする

旧勝手口は鍵が閉まっててドアの所に荷物が置いてある

おかしい

「おかしいよな、オヤジ」

「確かにな・・・何で消えたんだ・・・」

ザッザッ(ぎゅぎゅ)

「え?なに?パパ、鳴き砂の音がしたよ」

「聞こえた」

北側の塀と家側に1メートルほどの隙間がある

そこに用心のために鳴き砂を詰めた

誰かが鳴き砂の上を歩けば「ギュギュ」と鳴くようになってる

誰かが歩いてる

「オヤジ、すまんが、裏を見て来てくれ」

「おう!わかったぜ」

リビングにいると窓は台所からしか無いから外の様子がわからない

私は書斎室へ行った

書斎室なら北側に窓がある

私はソッと少し窓を開けた、人の気配はない

ザッザッ(ぎゅぎゅ)

オヤジが来た

「せがれ、いないぞ、おかしいな、南側へ行ったんかな」

私は窓を閉めて施錠してホテルの間へ行った

カーテンを開けた

見える範囲からは誰もいない

オヤジが庭の方に来た

「やはりよ、誰もいないぞ、おかしいな、必ず玄関の所へ来るようになってるんだ」

塀を登らない限りは必ず玄関先へ出るようになってる

「オヤジ、家へ戻れ、鍵を開けるから」

「おう」

オヤジが戻ってきた

「誰もいなかったぞ」

「おかしいよね、じいちゃ、鳴き砂が鳴ったんだから、もしかして猫かな?」

「いや、猫は静かに歩くよ、あれはたしかに人が歩いていた音だよ」

シーンとなった

「もうそろそろ娘っ子たちは寝る時間だよ」

「ばあちゃ、一緒に仏間へ行こうよ」

おふくろは3人娘を連れて仏間へ行った

「パパ、私も寝るんだぞ、あんまし無理しちゃダメなんだぞ」とS子は寝室へ行った

「私たちも寝るね、アニキ」

F子、C子さん、かなちゃんママもホテルの間へ

オヤジと私とS君3人だけになった

「どういうこった?」

「わからん」

「何か変だよ、おやっさん」

たしかに外の方からは車の音や人の声は聞こえる

しかし、鳴き砂は誰かが歩かないと鳴かない

夜も0時を過ぎた

外の車や人の声や歩く音が少なくなってきた

ザッザッザッ

「え!また・・・オヤジ」

「聞こえた・・・」

「俺も聞こえたぜ」

ザッザッザッ・・・

なんか行ったり来たりしてる感じだ

「なんかうろついてるな」

「オヤジ、台所の窓から見てこい」

「わかったぜ、せがれ」

オヤジは台所へ行った

台所の窓が開く音がした

「おい!!そこでなにしてやがるんだ!」

オヤジの大きな声

慌てて台所へ行った

「どうした?」

「いや、なんかな、人影が見えた気がしたんで脅かしに大声を出したんだよ」

私は窓から外を覗いた

別に誰もいない

「気のせいだったかな・・・たしかに黒い影がサッと玄関の方へ行った気がしたんだが」

「アニキ・・・ちょっと」

F子が来た

「どうした?」

「今さっきから庭の方で人の気配がするんだよ」

「庭で?」

「うん、話声も聞こえたし・・・」

「話声がしたのか・・・」

「うん・・・」

「とりあえずは襖とカーテンと施錠だけは閉めててくれ」

「うん、施錠はしてるよ、カーテンや襖も閉めてるから」

「仏間へ行ってくれ」

「わかった」

「S君、娘たちの部屋から庭を見てほしい」

「おう、わかったよ」

S君は娘たちの部屋から庭を見てもらうことに

メールが来た

「いや・・・庭は誰もいないよ」

しばらくしてS君が戻ってきた

「あのさ、庭の方は確かにいなかったけれど・・・なんかなぁ・・

人の気配はしたんだよな、人は見えてないよ、でもな、何かがいるという感覚があったんだよ

俺は霊感は無いからさ、気のせいかもしれないけど」

「オヤジ・・・どうする?」

「得体のしれない奴が家の周りをうろついているのは確かかもな

とにかく朝までは家の中にいないとな、いろいろなことが起きそうだ」

仏間にはF子やC子さん、カナちゃんママがいた

不安そうな顔をしていた

「とりあえずはホテルの間にいてもいいよ、絶対に何かあっても襖やカーテンは開けちゃダメ」

「うん、アニキ、わかったよ、何かあったらまた来るね」

何となく家全体が得体のしれないものに支配されてる感じだ

「パパ、眠れないよ、なんか家全体に黒いモヤがかかってる感じがする」と楓が私の所に来た

「パパもそう感じる、得体のしれないものがいる」

「でしょ、家の中じゃない、外にいる」

「パパもそう感じたよ」

霊感のない私でも何かを感じる

家族全員が眠れない

一人だけ寝てるけれどね

息子たちも2階から降りてきた

息子たちが「眠れない」と言ってきた

F子たちも「眠れない」と言ってきた

「アニキ、眠れない、リビングにいるね」

「私もここにいます」

「私もです」

「アニキ、やはり庭が気になって無理」

「私もそうです」とカナちゃんママも気になってる

ようやく朝が来た

みんなホッとした顔になった

「おっちーー!!おはよう!」と

呑気にS子がリビングへ来た

家族全員が茫然となった

お前は誰だ?

S子じゃなかった

Concrete
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