中編6
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何なんだ

寒い・・・

もう1月の半ば

雪は降ってはいないが空気が冷たい

「おい、帰ってきてやったぞ」

オヤジが帰ってきた

3人娘たちが大喜びで迎えに行った

「じいちゃ!!お帰り」

3人娘と一緒にオヤジがリビングへ来た

「寒い寒い、マジで今日は寒かった」

「じいちゃ!暖かいコーヒーを飲むといいんだぞ」と葵はコーヒーカップをオヤジに渡した

「おお!葵ちゃんありがとな」

オヤジの機嫌の良さ

「あ~~疲れたぞ、せがれよ」

オヤジは知り合いの人の部屋の後片付けに行っていた

でもオヤジの様子は疲労困憊じゃない気がした

「オヤジ・・・なんか疲れてるな、大丈夫か?」

「あぁ・・・なんかなぁ・・・」

オヤジは昨日の夕方にその知り合いの人の家に片付けに行っていた

大人3人で粗大ごみやゴミ類を外に出していた

そこの知り合いの人の実家で解体が1か月後にはじまる

その前に要る物と要らない物の分別をしていた

ところが一つだけ「開かずの間」らしき部屋があった

鍵が掛かっていた

この家の持ち主のMさんは困惑した顔になっていた

「あ・・・そっか・・・開かずの間か・・・」と小声でつぶやいた

「どうした?」

「ここな、我が家の「開かずの間」でな・・・俺は一度も入ったことは無いんだよ、俺のオヤジやおふくろが「ここらへんに近寄るな」と言われてな、ここへ踏み入れたことは無いんだよ」

「え・・・「開かずの間」・・・」

「鍵がかかってる・・・鍵はどこだろう・・・」

((ここだよ))

「え?誰が何か言った?」

「誰も何も言ってないぞ」

「なんか聞こえたんだけどな」

「とりあえずよ、そこは後にしてほかの部屋を片付けよう」

夕方からはじめた後片付け

時計を見たらもう夜の8時過ぎ

「ちょっと休憩するか」

「しないとしんどいぞ」

遅めの夕食を済ませ少し休憩をして再開した

「すまんな、こんなに時間がかかるとはな」

「仕方ないさ、3人だけで片づけしてるからよ」

「でもまぁ、だいぶ片付いたぜ」

ゴミを出したりまとめたりと忙しくしていた

ゴーンゴーン

柱の時計が鳴った

「わぁ!!!びっくりした、時計かぁ・・・」

「あ、ごめんごめん、うちの大きな柱時計だよ、俺の祖父が骨董屋から買ってきたんだそうだ、俺のオヤジが相当、祖父に文句を垂れたんだそうだよ、「こんな、古臭いもの買ってきやがってよ」と文句を垂れたら祖父が黙ってしまったんだそうだ、さすがにオヤジも言い過ぎたかなと言っていたな」

「さぁてと・・・大体の部屋は片付けたな、あとは・・・・う・・・」

「どうした?」

「いや・・・「開かずの間」だよ、・・・鍵は誰が持ってるんだろ」

「今日はここで終わろうぜ」とオヤジは提案した

「そうだな・・もう遅いし」

その時だ

「あんたたち・・・いつまで・・・してるん?」

突然、背後から声がした

3人はびっくりして飛び上がった

「うわっ!!!・・・おばさん・・・どうして・・・」

3人が振り返るとそこには女性が立っていた

「俺のおばさんだよ、オヤジの姉さん、びっくりするだろ」

「そっかい、あんまし、帰ってこないんで様子を見に来たんだよ」

「なかなかゴミやら何やらですすまないんだよ」

「ほら、「開かずの間」の鍵だよ、ここに置いていくから、私は帰るからね」

「え・・・・鍵・・・・」

何でこのタイミングで来たんだ

それも鍵を持って・・・

「おい・・・タイミングが良すぎじゃないか」

「俺、鳥肌が立ったよ」

「いつの間にやらいたけど・・・足音聞こえた?」

「いや・・聞こえなかったぜ」

「こんな時間に・・・普通、来るかな」

なんか変

「もうこんな時間だ、明日にしよう」

3人は早々に家を出た

ガチャン

(ガチャガチャ)

「え・・・おい、今、ドアを閉めたらドアノブが動いたぞ」

「確かに、俺も見た」

「俺もだ、確かにドアノブが動いたぞ」

「ちょいまち、おばさん、まだ中にいるんじゃないの?」

「いや・・いないだろ、中は真っ暗だったし」

早々にお知り合いの家へ帰って行った

家に着いた

お知り合いの奥さんが顔を出した

「あんた、遅かったわね、寒いから早くお上がりよ」

「なかなかすすまなくてよ」

「あっそ・・・」

リビングへ行った

「あ、おばさん、ありがと、鍵持ってきてくれて」

「え?・・・鍵?なんの?」

「なんのって・・・例の実家の「開かずの間」の鍵だよ」

「私が?いや、私はずっとここにいたよ」

「え?・・・・ずっといた?」

「あんたさ、ボケるの早すぎるでしょ、おばさんと私、2人でずっといたよ」

「うそーーー!!!!」

「だって私、鍵なんか持ってないよ」

「え・・・・じゃあ・・この鍵・・・あの人、誰なん?」

「あんたらさ、疲れて変なもの見たんじゃないの?大丈夫?」

「大丈夫と言われてもな、現に鍵あるんだよ、ほら」

「うわっ!!!!ちょっとM(知り合いの人の名前)、これどうしたの?」

「どうしたのって・・・おばさんが持ってきたんだよ」

「私じゃないわよ、それにその「開かずの間」の鍵は弟(知り合いの父親)が持っていたはず、どこかに隠したと言ってたけどね」

「でも・・たしかにおばさんだったぞ、な!」

知り合いの人はオヤジたちに顔を向けた

「た、確かに、おばさんでしたよ、間違いない」

「そうそう、俺もおばさんを見たぜ」

「そうなの?でも私はずっとここにいたんだよ、おかしいわね」

ほんとに変だ

あの家はもう古くて歩くたびに軋む音がする

でも「おばさん」がいたときには軋む音は聞こえなかった

突然、現れた感じ

「・・・帰るね」と言った瞬間に私たち3人は振り向いた、もういなかった

あり得ない

普通なら後ろ姿が見えるはずだ

「なんかなぁ・・おかしいよな」

「確かにね、あんた、明日の片づけはやめたほうがいいよ」

「でもよ、解体は1か月後だぞ、早くしないとな」

「そうだよね、困ったね」

オヤジが「すまんが、あの「開かずの間」って何だ?」

「あ・・・あれ・・・私も詳しいことは知らないんだけどね・・・

私は父親から少しだけ聞いたんだけど

私の祖父には妹さんがいたんだよ

あの部屋はもともと祖父の妹さんの部屋だったんだよ

大おばさんだね

その大おばさんは婚約していてたんだけど破談してね

それぅきり部屋に引きこもってしまってね

そのあとに首を吊ったんだよ

その後だよ、

いろいろと変なことが起きてね

原因は大おばさんの部屋に違いないということで「開かずの間」にしたんだよ

それっきり変なことは起きなくなったと言ってたわね」

「そ・・そうだったんだ・・・」

「あ・・あんたさ・・・もしかしたら・・・」とお知り合いの奥さんはリビングから出ていった

「あったよ、これこれ・・・」

奥さんは古いアルバムを持ってきた

「え・・と・・・あ・・・これかな、あんた、ちょっとこれ見なよ」

「どれ・・・うわっ!!!!!こ、こ、こ、この人だ!おい!見てみろよ」

「え・・どれ・・・ううう・・・この人だよ」

「おい!!!マジか!!!」

3人は驚いた

写真に写っていた人だったから

「え・・と写真の裏に何か書いてあるかな、あ・・・日付と名前が書いてあるね・・・〇〇(名前)」

「あ・・・その名前は大おばさんの名前だよ」

「え?そうなの?」

「大おばさんね、年も年だったから父親にお見合いをもってこられてお見合いをして婚約したのよね」

「え?え?え・・・・・この人・・・おばさんとよく似てるよ、おばさん」

「なに?・・どれ・・・ええええ?私?・・・私じゃない!」

みんなびっくり

写真に写っていた大おばさんはおばさんと瓜二つ

「ちょっとな・・・おばさんは双子?」

「何言ってるの?私と弟しかいないよ」

「でも・・・どう見てもおばさんだよ」

「本当にそっくりだわね、でも日付を見てよ」

「というか・・・この服装・・・実家で見た「おばさん」の服と同じだぞ」

3人は驚いた

3人が見たのは亡くなった大おばさんだったのか

Concrete
コメント怖い
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