短編1
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おじさん

私が中学3年生の頃の話です。

私は自転車通学で、何百回と通った通学路を飽き飽きしながらも通学していました。

そんなある日、おじさんが前から歩いてきたんです。

前傾で口は開けっぱなし。チラリともこっちを見ませんでした。挨拶にも返事がありません。

その時は変わったおじさんだなぁーと感じました。

そして次の日また歩いてきたんです、昨日と同じ場所で全く昨日と違わない様相で。そしてすれ違います。  少し不気味に思いましたが、毎日同じ場所ですれ違うので、次第に慣れていきました。

ですが、ふと疑問に思ったんです。

私の通学時間はバラつきがあり、気分で誰よりも早く行く時もあれば、遅刻間際に行く場合もありました。

ですが、いつも居るんです。

時間が違うのに同じ場所であの様相で。服も違わないんです

ですが余り考えない様にしていました。

そんなモヤモヤしながらも時間が過ぎていきました。

そんな時、私は午前中に行かなければならなかった内科検診に行ったんです。そして午後から登校しました。

すると前に見えたんです、人影が。

あのおじさんが歩いて来ていたんです。いつもの場所で、いつもの様に。

ですが、いつもと違う所が一つだけありました。

目だけはこちらを向いたんです。

今まで目なんか合ったこと無かったのに。

Concrete
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