短編2
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推敲

ひどく古典的な方法だが

僕は、コップを壁にくっ付け隣の様子を聞いた

あいつはまだ居ないようだった

周りの人間は僕を変人扱いする

はじめに確認を取ったのは大家だ

しかし、隣には誰も住んでいないと言われた

僕が何回も確認するもんだからしまいには

怒鳴られた

僕の隣の隣

つまり、問題の部屋を隣人に持つ

僕以外のもう一人の住人に聞いたら

気味の悪い事言うなって怒られた

警察に話したら

鼻で笑われた上、証拠持って来いと言われた

自分でおかしくなったのではないかと思い

病院に行ったら疲れてますねと言われた

あいつは毎週必ず、隣の部屋に深夜やってくる

そして次の日この近所でバラバラ死体が見つかる

かれこれもう、5人も殺されている

僕は毎週、深夜に隣から聞こえて来る物音に気づいていたが

僕は怖くて布団をかぶって寝てしまう

そして朝のニュースで後悔する

今日は会社を休んで昼間はよく寝ておいた

何らかの決定的証拠を手に入れてやる

隣の部屋から人の気配がした

ついにあいつが来た

足音が聞こえる

神経を集中しているせいか

それは頭の中に激しく響く

突然、電話が鳴った

今いいところなのに

この間行った病院からだった

「○○君

 落ち着いて聞いてくれ

 私が行くまで

 絶対その部屋から出るな

 君がなぜ隣からの物音を

 このところの猟奇殺人事件に

 結びつけるのかが解らなかった

 だがこう考えればつじつまが合う

 君は知っていたんだ

 そこが現場であることを

 つまり君は多重人か…」

僕の右手が勝手に電話を切った

そう僕は知っていたのかもしれない

6人目の犠牲者は決まったようだ

多分あいつは先生を殺しに行くのだろう

「いや、今日は昼もやったから7人目か…」

僕の中の誰かが言った

喜べ、俺は今日も人を殺したぞ

男は原稿用紙をズタズタに切り裂いた

男は最近起きている連続猟奇殺人事件を題材に

小説を書いていた

書いてる間は事件が解決してほしくなかった

だが、なんとかまにあった

昨日、出来上がった原稿を

今改めて、推敲していたのだが

男は完全に後悔している

なぜなら、男には最後の一行を書いた記憶が無い

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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