中編3
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創作3(S3)

Start of nightmere

ニックとビリーはひたすら覆い茂る草を掻き分けて進んでいた。

2人が歩き始めて約10分程、今のところは特に何も無く順調な行軍といったところだろう。

「おいニック、大丈夫か?」

「…ん?何が?」

「脚の怪我だよ。医者は既に完治してます、なんて言ってたが…」

「ああ。医者が言うなら大丈夫だろ?」

「医者が言うならって…、お前の体だぞ?他人事みたいに言うな。」

「平気だ。全く問題ない。まぁ、多少体がダルいのが気になるが…歩いてりゃ良くなるだろ。」

「疲れてる状態でさらに運動する奴で疲れが取れたって話は聞いたことねぇけど…」

2人は道無き道をひたすらに目的地目指して歩いた。

「………!!ニック、あれを!」……人の死体だ。」

ビリーが茂みの中に倒れた形で息絶えている男を見つけた。男の両手は無惨にも千切れ、その傷口にはウジがわき、言い様の無い異臭を放っている。

「……酷いな。」

「何があったんだ?一体…」

「ビリー、取り敢えずこの遺体の写真を撮ってくれ。その間に俺は無線で指令部に連絡を取る。」

ビリーは軽く頷き、バックパックからカメラを取り出し、遺体に向けて構えた。

「こちらホワイトフラッグ。本部、応答願う。」

「こちらフラッグコマンダー、ホワイトフラッグ何か問題発生か?」

「現在、ヘリ降下地点から東へ凡そ7kmの地点。両手がもげた男の遺体を発見した。周りの環境と遺体の状況からみて死後数週間といったところだ。」

「フラッグコマンダー了解した。その遺体に他に何か変わった傷やその他特徴的な物は見られるか?」

「いや…特には…

……!ああ、待ってくれ、遺体側頭部に何かの焼き印の様なものが刻まれてる。……よく判らんが、古代文字みたいな物だ。」

「…その遺体はその島の島民と見て間違いないだろう。」

「なぜそう言い切れる?」

「今、君達が居るその島では産まれると同時に頭部の左右どちらかの側面に、集落のシンボルを焼き印する習慣がある。焼き印を押されるのは、必ずその集落で出生が確認された者のみ…、ここまで言えばもう解るだろう?」

「つまり、焼き印が戸籍や身元証明に該当するということか?」

「その通りだ。

他に何か気掛かりな事はあるか?」

「いや、無い。大丈夫だ。ホワイトフラッグ、通信を終了する。」

「フラッグコマンダー了解。」

無線を切ったニックは、ビリーに話しかける。

「…ビリー、無線の会話は聞こえていたな?」

「ああ。しっかし…

焼き印ねぇ…まぁ、なんつーか…」

「写真は撮り終わってるな?時間が惜しい、先に進もう。」

「はいよ、相棒。」

ニックとビリーの2人は更に茂みの奥へと歩を進めた…

辺りは次第に背の高い木々が目立ち始め、気が付けば既に陽の光さえ遮られていた。それは…まるで、出口の無い深い密林に迷い込んだ様な不気味さを醸し出している。

「おいおい、マジかよ。」

「どーした?」

「また…死体だ。」

ビリーの目線の先…

薄暗い森の草木の上に倒れた顔の上半分がスッパリ無くなっている初老の男、その右手にはショットガンが握られている。

「………っう。なぁ、相棒。この仏さんはさっきよりもエグい。」

「全く腐敗していないな…まるでほんの数時間前に死んだ様な感じだ…」

「確かに。衣服に堆積した雨露や泥の量から見ても、死後1、2週間は経ってるな…」

「ここの気候が腐敗を遅らせているのか?」

「ニック、俺達は検死官じゃない。」

「だったら早く写真を撮ってくれ、死体カメラマン…」

「ったく!憎まれ口叩かせたら右に出る奴は居ねぇな!」

「そいつはどうも。」

「誉めてねぇよ!」

ビリーはさっさと写真を撮り集落がある方向へ足を進めた。

2人がヘリを降りてから約2時間…

「…着いたな。」

「ああ、間違いな。」

2人の目の前には暗くじっとりとした空気を纏った小さなレンガ造りの家々が現れた…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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