中編4
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あの足音は

つい最近体験した話しです。

私は家族と旅行でとある温泉宿に行きました。

温泉地としてはあまり有名ではありませんが、その分とても安いのが魅力でした。

温泉宿はとても静かな場所にあり、温泉やお部屋も文句なしの素敵なところでした。

「こんな素晴らしいのにこの値段なんて信じられない!」

私たち家族は大満足でしたが、この後安さの訳を知ることになるのでした。

私は、部屋でゴロゴロしてるのはもったいないと思い、近所を散策することにしたのです。

歩き始めて20分

私はあることに気づきました。

人が少ない

周りは民家や他の温泉宿が密集してる場所にも関わらず、歩いている人が極端に少ないのです。

時間は17時前で、買い物に行く人や帰宅途中の人が多くなる時間帯。

なのにほとんど人を見かけないのです。

しかしそんなこと気にならない私は、一人黄昏れながら散歩を楽しんでいました。

そんなときです。

ある音が聞こえてきました。

カツーン••••••••••••••カツーン••••••••••••

なんの音?

しばらく歩いていましたが、その音はずっと響いています。

そしてその音が、女性が履くヒールの音だと気付くのに、そう時間はいりませんでした。

あ、よく職場で聞く音だww

けれど何かがおかしいのです。

そして音が聞こえ始めて5分。

付いてきてる?

そうです。

音は私に付いてくるのです。

いえ、正確には誰かが後をつけて来るのです。

しかし、辺りを見回しても人の気配すらありません。

少し怖くなった私は小走りで駆け出しました。

カツーン••••••••••••カツーン••••••••••••

?!

私はさらに速く走りました

カツーン••••••••••••カツーン•••••••••••••

?!?!

私は全力で走りました。

カツーン••••••••••••カツーン••••••••••••

ヤバいヤバいヤバい!!

私はパニック寸前でした。それは、追いかけてくるものが人間じゃないと気付いたからです。

普通でしたら私がスピードを上げれば相手のペースも上がるはずです。

しかし、その足音は常に一定の等間隔で聞こえてくるのです

化け物なのか、それとも巨大な女が大股で歩いてくるのか…

どちらにしても怖すぎます。まだストーカーの方がマシです…。

私は恐怖のあまり、宿に着く前に、近くの民家に避難しました。

その民家には、人の良さそうな老夫婦が暮らしていました。

お爺さん「よぅもまぁ、こんな時間におもてを出歩いたりしてぇ」

お婆さん「ほんに危なかったよー。ここにいれば安全じゃからの」

「ご迷惑おかけしました。ところで、なんで危ないんですか?」

お婆さん「この辺りにゃ化け物が出るんじゃよ。化け物言うても元は人間じゃがな」

「どういうことですか?」

お爺さん「昔ここで一人の娘が身をなげおってな。結婚前に男に逃げられた辛さからな。それからあの娘は鬼になったんじゃ。」

「それからどうなったんです?」

お婆さん「あの娘の死んだ時間になると年頃の娘を探して、見つけると食っちまうんだよ」

「は、はぁ…」

お婆さん「だから、危ないからまだ出ちゃあかん」

普段ならそんなことを言われても信じませんが、たった今おきたことを思い出すと、今回ばかりは信じないわけがありませんでした。

そしてしばらく休ませて頂き、さっきの恐怖も消えかかっていたときです。

お爺さん「これはあんたのか?」

お爺さんの手には玄関から持って来られた、赤いヒールがありました。

「いえ、私のでは…」

すると、老夫婦の顔が一変。みるみる青くなっていきました。

お爺さん「まさかお前!ここに来る途中に足音をきいたか?」

お婆さんはものすごい形相で私に迫ってきました。

「はい。けどそれが…」

お婆さん「ばかもん!!もうお前には鬼が取り付いているということじゃ!!ここにいてはワシらまで食われちまう!」

お爺さん「早うでていけ!!」

私は泣く泣く家を出ました。

されは消えかかっていた恐怖が戻ってきたことと、老夫婦にさらに迷惑かけてしまったことからです。

私は全速力で宿に帰りました。

私の尋常じゃない様子に家族も困惑していました。

そしてここで私は目が覚めました。

起きると自分の部屋で寝ていたのです。

そうこれは全部夢だったのです。

私は思わず笑ってしまいました。

そしてリビングでは家族がいつものように過していました。

「もう聞いてー!変な夢みちゃったよー」

そう言って私は家族に夢のことを話したのです。

妹「なにその夢ー。こわーい」

母「ほんとよー。でも元気そうで良かったわ。あなた温泉から帰ってからずっと黙りぱなしだったから」

「………え?温泉は夢じゃないの?」

母「もうなに言ってんのよー。あなたが選んだ宿に行ったんでしょ」

妹「ちょっともう恐がらせないでよねー!」

「え?でも??え??夢じゃないの?…」

カツーン•••••••••••••カツーン•••••••••••••

「?!?!…きこえる」

母「なにが?」

妹「ちょっと!もうやめて!怖いの嫌いなんだから!!」

カツーン•••••••••••••カツーン••••••••••••

「いやーー!!!」

母「ちょっとどしたのよ?」

父「うるさいなぁ。なに騒いでんだよ。旅行の運転で疲れてんだよ。それより、この靴が廊下においてあったぞ。汚れてるやつを置いておくんじゃないよ」

そう言う父の手には、赤いヒールがありました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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