長編8
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母の霊感 本家の過去

母方の祖母が倒れた とのことだったので 会社帰りに祖母の家に来ました。

部屋が荒らしたように散乱していたため 私は片付け、母と祖父はつきっきりで看病しています。

散乱していたのは 古いアルバム。

昭和45年 と書いてある写真がビリビリに敗れており、パズルのように組み立てる…

どうしても2ピース足りません。

祖母の容態が安定した所で その写真を持って行くと…めちゃくちゃ祖母が震え、祖父が見る見る青ざめ、母がいきなり私に日本酒を飲め!と言ってきました。

仕方なく飲み慣れない日本酒を一口飲むと、母がボソボソと話してくれました。

「これはね、私が8才の時、本家に集まった際の写真。ないのは従兄弟だった子と叔母さんだった人なの…」

昭和45年6月。

母(以下k)は両親に連れられ、本家のあるN県に来ていた。

当時8才のkは 初めて見る本家の様子に大はしゃぎして 周りを一周したりと楽しんでいました。

しかし、本家の裏に流れる川には決して近付かない、むしろそこに行くことさえ嫌がったそうです。

理由を尋ねると

「だって あそこに髪が長いお姉さんがお水に浸かりながら怖い顔してるの」

と…。

普通だったら また子どもが何か言ってると流されるのに…kの言葉に集まった本家、分家のみんなが固まり、尚且つkに どんな女か?を詰め寄ったそうです。

「サツマイモみたいな色の着物で…目が凄く大きいの」

途端に当時の当主(ひいおばあちゃん)が kを部屋に呼んだのですが、異様な雰囲気だったため その場を逃げ出し 川とは反対の正門まで逃げ出しました。

正門には盛り塩がしており、その塩が黒に溶けかかってたそうです。

何を思ったのか kはその塩を皿から落とし、皿を割ったそうです。

途端にkは眩暈を覚え、その場に倒れたのを本家のお手伝いが見つけ、気を失っている間に当主の部屋に連れて行かれました。

目が覚めると 歴代の当主(だと思われる)写真が壁にかかる部屋にいました。

当主のひいおばあちゃんとその付き人 それと同じ年の従兄弟のIちゃん。

「あのアバズレを見たのは…kの方かぃ」

「アバズレ?女の人のこと?」

ニヤニヤと皺だらけの顔が笑うと益々不気味だ、と顔をしかめ、隣のIちゃんを見るが…退屈そうに長い髪をクルクル弄んでいました。

「あのアバズレは初代当主をタラしこんで財産を奪おうとしたんだ…私は見たことないがね、相当のべっぴんだそうだなぁ」

「当主様。つまんない、私は見てないから死なないんでしょ?死ぬのはkなんだから私は遊んでいいでしょ?」

その言葉にkは驚き言葉が出なかったそうです。

Iはクスクス見ながら立ち上がり、部屋から出て行きました。

理解仕切れない、kが何気なく歴代の当主写真を見て行くと…あることに気づきます。

初代以外みんな女なのです。

当主が何か喋ってるのを聞き流し、ふと外が見える窓を見たら…

サツマイモ色の着物を着た女がもの凄い笑顔で立っているのです。

流石に怖くなり、当主に抱きつきましたが…当主はおろか 周りも何も見えておらず、キョトンとしていました。

でも不思議なことに、女はkを見ず そのままその場を去りました。

直後に嫌な予感がし、走ってIが出て行ったドアを開けました。

「あら、呪われッコじゃない」

嫌な予感は見事当たったそうです。

「こっち来ないでね、私は見てないから死なないし」

Iの後ろにへばりついている もの凄い笑顔の女…

実は 盛り塩を珍しがり 泥水をかけて遊んだのは このIなのです。

その直後kは川にいる女を目撃したのです。

声を出せずにいると 当主の付き人の一人がkにそっと耳打ちしました。

「女はね、もし自分が見えた者がいたらそいつで最期にするっていったのです」

「最期?」

意味が分からず 聞こうと思った矢先、居間で叫び声がしたのです。

「Iが…Iの写真が歪んでるのよ!!」

過去の集合写真を見てた親戚が、Iの部分が歪んでるのに気付いたのです。

気持ち悪いほど歪んだ顔…

そういえば あんな叫び声だったのに Iは来てない…

kは屋敷をくまなく探しましたが 先ほどまでいたIが 忽然と姿を消したのです。

1時間以上探しましたが Iは見つかりません。

時間は夜6時 これを越えると川へは行ってはいけない との決まりがあったため、みんな行けず、屋敷のみを探しました。

「当主様っIは死なないんじゃないのですか?あの女を見たのはkでしょ!?」

Iの両親が怒鳴っていますが当主は笑うだけ。

あの皺をさらに深めて。

そこへ 付き人の方が当主に変わりみんなに話を始めました。

「まず 本家の過去 あの女の話をします」

明治時代末期、当時反物を営んでいた初代当主が奉公に来ていた若い美しい娘に恋をした。

奥方や子どもがありながら、若い娘との仲を育んでいた矢先、ある事が起こった。

屋敷の川が氾濫し、奉公娘が川に落ちた。

見ていたのは当主の妻。

助けを求めたが 妻はニヤニヤしながらみているだけ。

やがて丸太が流れて 娘の美しい顔に直撃。

潰れた顔で不気味に笑うと 妻や他の奉公人、分家の皆に言った。

「私は姿を凡に見せず呪ってやる!仮にも…姿を見た者がいたら呪いは解かれよう、そいつで最期にしてやろう!それまでの日々を焦がれろ!」

と 女は川に飲み込まれていった…

当主が女なのは 奉公人の色気に毒されないため。

また奉公人が女なのもそのためである。

「つまり kが見たのは恐らくこの女です」

付き人の話にみんなは黙るがkは納得しない。

「じゃあIは?」

「Iは…自分で結界を破ったのだよ。それに…あの子は髪が黒く長い…それに若さも頃合いだからね」

年も近いIを連れて行ったのだ、と教えられたkは 黙り込む親戚や 泣き喚くIの両親を見ながら 女のことを想ったのです。

自由が許されない奉公の娘が恋した男、例え家庭持ちでも本気だったのだ

その家族に仕えた辛さ、最後は濁流に飲まれ終える悲しさを…

その日は捜索を止め みんなで静かな食事会をしたのですが…

Iの両親は 席にいなかったそうです…

静かな夕餉もこの日は22時には終わり 皆与えられた部屋へと向かいます。

相変わらずIの一家はいない…

川が見える窓へ行こうとしても外側から雨戸が閉められて見えないのです。

目前には当主がおり、見えない窓を見つめてため息を吐いてます。

「当主様?」

「…ああk。I達が心配かぃ?」

頷くと優しい笑顔が返ってくる。

その時玄関が激しい音を出して開きました。

Iの父親です。

「娘が…Iがっ」

騒ぎを聞きつけみんなが集まります。

そして皆が団結しました。

川へ行く、と…

当然当主は反対しましたが、誰も従いません。

馬鹿者っ と罵られましたがkも川へ向かう列に加わりました。

時間は日付が変わる前だった と後にkは語ります。

川へ着くと Iの母親がブツブツ言いながら 娘を抱きしめています。

「うわっ!」

暗くて見えなかったのですが Iは顔半分が真っ赤 だけど 何故か笑顔でした…

「Iちゃん寒いでしょ?もうすぐ次期当主が発表されるからね…したら目醒まさなきゃね?ね?」

完全に母親が狂ってる 誰もが思いました。

ふと kが川に視線を感じ 振り返ると いました。

サツマイモ色の着物をきて ケタケタ笑うあの女が。

「わぁっ」 「きゃぁっ」

叫ぶ声もちらほら聞こえます。

その瞬間 上流からの水が増え 流れてきました。

皆は一時離れたのです。

水嵩が減って 皆が近づくと…

Iと母親はもうそこにはいませんでした。

狂ったように泣き叫ぶ Iの父親

kはその様子が未だに忘れられない と語ります。

とにかく この場を離れようとの提案で 再び本家へと戻ります。

屋敷に着くと 当主が迎えました。

「今から本家 分家で分かれてもらう」

本家は 居間に、分家は当主の部屋 へと分かれさせられました。

先に当主は本家の元に行き、待っている間 kは分家の人達に囲われるように座っていました。

ここでkは気づきました。

囲っているのは先ほど 女を見て叫んだ人達だと。

その顔ぶれの中には kの両親もいました。

やがて当主がこちらへ戻り、開口一番に

「お前達は助かる。本家を犠牲にして 」

涙を流す当主はどこにでもいるおばあちゃんでした。

次期当主は本家の女から決める。

仮に男児が産まれたら孫になるまで当主は譲らない、そんな家訓までできたくらい 女にこだわってきました。

でも今回の騒動で 女の姿が見えたkのおかげで次期当主になる女が 任期満了=死を迎えれば呪縛は解けるのです。

つまり…

「次期当主 I の死を持って女から解放される」

淡々と語る当主は既に気迫はなく、ただの90歳近くのおばあちゃんでした。

「そもそも 次期当主発表は本来本家のみに行われる、今回分家を呼んだのは他でもない、次期当主の家族たっての希望…」

呪縛を解くにはもう1つ、未婚で若女の死が必要

つまり kが死ぬことにより、初めて解放されるのでした。

「当主は…Iを当主にして女を見させ、kを生贄に呪縛を解こうとしたのですね」

実際は逆でした。

こうして明治から継がれた本家も 跡取り死亡で途絶えたのです。

ただ…当主も一枚噛んでいた生贄事件。

タダで起きないのがkでした。

「盛り塩の器をね、粉々にしたよ」

Iが溶かした塩が乗った、色鮮やかな皿…

途端に顔色が変わる当主。

「結界だっけ?本家には入れないようにしていたみたいだけど…逆。お越しくださいと開いたからね♪」

結界を壊した今、この家には女はおろか、色々なモノが自由に出入りできる空間になった。

大泣きする本家を尻目に分家は自分達にと用意した ランクの低い離れ母屋にいきました。

こうして、分家の人達と一夜を明かしk達は無事 帰路に着くことができたのでした。

祖母が写真をマッチで燃やしました。

赤々と燃えるそれは どこか毒々しそのものです。

「ない2ピースは元からだよ」

話してスッキリしたのか祖父母はテレビを付け談笑してました。

「母さん…女の呪縛解けたんだよね?」

「そうよ~今は…本家の跡地にでもいるんじゃない?」

本家はあの後、記録的豪雨の影響で屋敷が濁流に呑み込まれ全壊、反物屋も企業買収され 今は更地だそうです。

「…終わったんだよね…」

でもね母さん、あなたこの頃好む色、赤紫なんだよ…

拙い長文 最後までありがとうございました。

また懲りずに投稿させていただきます。

失礼します。

怖い話投稿:ホラーテラー みかんみかんさん  

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