中編4
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終わらない恐怖 1

…「終わらない恐怖」の続きです。

産婦人科から帰ってきた妹は、自分の部屋で鏡を見ていました。

少し大きくなった自分のお腹を摩りながら…

…哀しみ、恐怖、絶望、Aさん、赤ちゃん…

彼女の中で、様々な想いが交差していきました。

姉「あんた…それ…噂の呪いじゃないよね…?」

妹「…お姉ちゃん…何で知ってるの…?」

この頃、Aさんの「呪いの胎児」の噂は、女子高の枠から溢れ出し、爆発的に広まっていたのです。

…話はAさんのお葬式に遡ります。

姉妹と何人かの同級生が、Aさんのお葬式に出席しました。

会場は沢山の泣き声で満たされて居ました。

Aさんの両親は、最後までお見舞いをしてくれた妹に何度も頭を下げていました。

お葬式の出席者が席に正座し、お坊さんがお経を唱え始めました。

始めに異変に気づいたのが、隣に座った姉でした。

妹が苦しそうに眉間にシワを寄せ、お腹を抱えています。

妹「…っ」

姉「…?」

妹「うぅ…」

姉「ちょっと…大丈夫?」

妹「いやあぁ!!」

突然、妹が悲鳴をあげ白目を剥いて仰向けで倒れました。

お坊さんのお経は中断され、会場は騒然となりました。

妹は痙攣を起こし、口から泡を吹いていました。

その時、彼女のお腹の中で、「何か」が暴れているのを姉は見ていました。

…話を戻します。

姉妹はこの「想像妊娠」が、普通ではない事を両親に相談しました。

妹の少し膨らんだお腹を見て、両親はすぐに異常である事を悟ってくれました。

翌日…

家族全員で、近所のお寺に行きました。

住職にいきさつを話し、妹のお腹の中に居る「モノ」を供養して貰おうとしました。

住職は妹を見た瞬間に涙を流しました。

住職「恐ろしくも哀しいモノに憑かれましたね…」

全てを説明し終えた後…

住職「…私程度の力でどうにか出来るかわかりませんが、やってみましょう…」

…と、妹を座布団に座らせ、家族三人を妹の後ろに並んで座らせました。

住職はお葬式の衣裳に着替え、妹の目の前に座りました。

住職がお経を唱えようとした時でした。

住職は驚愕の表情を見せ、手を震わせています。どうやら妹の顔から目が逸らせないようでした。

家族もその光景に驚きました。

姉は席を立ち、妹の顔を覗き込みました。

そこには、見た事がないような恐ろしい形相で、住職を睨みつける妹が居ました。

…住職は供養を中断し、家族に伝えました。

住職「…残念ながら、私はお力になれません。×県の〇寺に古くから水子を供養する観音様がおります。御仏のお力をお借りすると良いでしょう。」

…翌日、家族は飛行機に乗り、住職が教えてくれた〇寺に向かいました。

飛行機の中で、妹を心配した姉が尋ねます。

姉「あんた、本当に何も覚えてないの?」

妹「うん…本当に私が睨んでいたの?」

…そして目的地の〇寺に到着しました。

そこには、足元に無数の花束やお菓子が置いてある、高さ3メートル程の観音像がありました。名前はわかりませんが、隣の古い石碑には「水子供養」の文字が刻まれています。

田舎の小さなお寺で、住職は留守にしているようでした。

仕方なく、妹を真ん中にし家族全員で観音像の前で手をあわせました。

…ぽたっ

妹「…え?」

妹が目を開け、観音像を見上げました。

…たたた

観音像の両目から、血の涙が降り注ぎました。

次の瞬間…

観音像の首が折れ…

ゴロンと地面に転がり落ちました。

…家族全員が言葉を失う中、妹は観音像の血の涙で真っ赤に濡れた顔を振り向かせ、静かに言いました。

妹「お父さん…お母さん…お姉ちゃん…」

妹「…わたし…もうダメみたいだね…」

彼女は涙を浮かべ、微かに震えながら微笑んでいました。

…重苦しい雰囲気の中、家族は飛行機に乗り、自宅へと帰りました。

翌日、妹の強い要望で普段通り学校に通う事になりました。

妹は「自分の人生が短いなら、最後まで普通に暮らしたい」と言ったそうです。

この時…彼女の唯一の望みが、既に存在していなかった事に

家族の誰一人として気づいてなかったのです。

Aさんのお葬式の出来事。

妹が誰にも「胎児の呪い」の噂を広めなかった事。

このタイミングでの数日間の病欠。

その頃…学校中で噂が噂を呼び、妹が「胎児の呪い」の中心となっていました。

そして、噂という巨大な悪意は、更なる負の連鎖反応を起こす…

凄惨な「イジメ」へと発展して行きました。

…続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー 店長さん  

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