短編2
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積雪の惨劇

私の実家は山深くに位置する雪国だ。

関東地方の中では随一の豪雪地帯で、スキー場なども盛えている。

雪国に住む人ならば良く知ることだろうが、雪というのは時に大きな脅威になりうる。

数年前、実家のある村で事故があった。

雪の降る冬の日。

家の近くで遊んでいた少年が、屋根に高く積もった雪の落雪で生き埋めとなってしまった。

さらに不運な事に、父親が気付かずに運転していた除雪機に巻き込まれてしまった。

……辺りは飛び散った血で染まり、凄惨な光景と化した。

慌てて父親が除雪機を止めるが、もう手を付けられる状況ではなかったのだった……

少年は悲惨だったが、父親も可哀想だった。

事故とはいえ、自らの手で子供を無残な姿にしてしまったのだから。

それから幾日かたった頃だろうか。

その家の近くで奇妙な現象を目撃する人が何人も出だした。

事故の時の、少年の悲痛な叫びのような声がどこからか聞こえてくるという話だった。

私の友人の一人も、その少年の家の近くを通ったときに奇妙な体験をしたという。

「雪の降る夜、自分の家へ帰るときその家の前を歩いていると…かすかに聞こえたんだ」

それは積もった雪の下からひびいてくるように聞こえてきた。

「助けて〜…苦しいよ〜…寒いよ〜…お父さん〜…!」

恐ろしく悲しい叫び声に友人は震え上がったが、恐る恐る声のする方向を見てみる。

そこには幾つにも別れた肉塊に近い無残な姿になった少年が……

「○○〜!○○なのか〜!?」

もう一つの声が聞こえてきた。

ザッザッザッ!

少年の父親が積もった雪を狂ったようにスコップで掘り出しては掘り出しては…繰り返していた。

恐ろしいような悲しいような…何とも言えない気持ちになった友人は必死で走って家へと帰ったという。

その後しばらく少年の家族は村に残っていたが、いつの間にか忽然と村から引っ越して行ってしまった…

今でもその友人は、雪の降る寒い冬になると当時の声と光景が蘇ってくるようだと、寂しそうに話した。

怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん  

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