中編4
  • 表示切替
  • 使い方

「・・-・・!」

高校生の時に体験した話なのですが・・・

高校二年生の夏、学校行事でとある有名な山にキャンプをしに行くというものがありました。

日頃あまりキャンプというものに行った事のない私はとても楽しみにしていました。

なので実行委員なんかにもなったりして準備の段階からテンションは上がりまくりです。

手作り工芸の体験、バーベキューやキャンプファイヤー、そして一番の楽しみはなんといっても肝試しです。

コースを決め、下見をし、脅かすポイントを決め、安全のため途中二箇所に先生の居るポイントを作りました。

肝試しの準備も終わり皆と合流し、楽しい時間を過ごしました。

そして時間はあっという間に過ぎていきついに肝試しの時間となりました。

そこの場所に纏わる怪談話を話の上手い先生が語り、恐怖がピークに達した時、肝試しの

スタートです。

スタート地点から始まりゴール地点までのすべての場所に担当する人間が配置されました。

私はスタート地点の担当です。

一組、二組、三組、・・・順調に出発していきました。

遠くの方では懐中電灯の光と女子の悲鳴やたまに男子の「うおぅ!!」といった叫び声が聞こえたりしています。

そして最後の組が出発し、スタート地点にいた私ともう一人の子と先生とでゴールに向かって歩き始めました。

歩き出し、もう少しで一つ目の先生の居るポイントに着くかどうかのところで後ろの方から声が聞こえた気がします。

スタート地点にはもう誰も居なかったので前に居る人の声だろうと思い気にしないことにしました。

「・・-・・!」

やっぱり声が聞こえます。

私が訝しがっているともう一人の子が

「後ろの方から声が聞こえてこない?」

と、聞いてきました。

私はやっぱり聞こえてたんだと思い、先生にまだ人が残っていたのではないかと聞いてはみたものの、ちゃんと確認してきたわけですから先生の答えは「NO」でした。

そのキャンプ場には私達の学校の生徒しか居なかったので他の人ということもありません。

三人は少し恐怖を感じはじめていました。

確実に後ろから聞こえてくる声は近づきながらはっきり聞こえてきているのです。

「ぉ・・・!」

「ぉ・・い!」

「お・・い!!」

「お・・・い!!!」

それは男の人の声でした。

三人の恐怖は最高潮に達していました。

私ともう一人の子はもう半泣き状態でした。

「おーーーい!!!」

ついに、すぐ後ろから声が聞こえてきました。

私ともう一人の子はあまりの事に声もでません。

でも先生が勇気を振り絞り後ろを振り向き

「誰だ!!」

懐中電灯で照らしながら叫びました。

すると

「走れ!!」

先生は私達の腕を掴んだかと思うとダッシュで走りだしました。

私は腰がぬけそうでしたが、止まったらまずい事だけは分かっていたので一生懸命走りました。

その間も後ろからは声と足音が追いかけてきました。

半狂乱で走っていると、やっと次の先生のいるポイントに着きました。

そこに居た先生たちは私達の状態を見てびっくりして近づいてきました。

私達はホッとしたものの慌てて後ろを振り返りました。

後ろには誰もいないし、声も聞こえませんでした。

どうしたのかと聞かれはしたもののそこで止まって話をする気にはなれず、とにかくゴールに向かいました。

他の人達も、私達のただならぬ状態に無言でいそいそとゴールに向かいました。

とりあえずゴールに着き肝試しを終え、多目的ホールに行きその時の話を先生たちと実行委員の子達に話しました。

ただこの話は、他の生徒に話すとパニックになるからという事になり、内密に、という事になりました。

その話し合いの後、あの時一緒に居た先生に何を見たのか聞いたのですが、知らない方がいいの一点張りで教えてもらえませんでした。

モヤモヤした気持ちのままキャンプも終わり帰路につき、家に着いてからテレビを見ながらホッと一息ついていると、あるニュースがながれ愕然としました。

そのニュースとはキャンプ場の山で男性の遭難者の遺体が発見されたというものでした。

たしかにやけにヘリが飛んでいるとは思っていたのですが・・。

あの時聞こえた声はその人の早く見つけて欲しいという悲痛な声だったのでしょうか。

姿を見ていない私には分かりませんが分からない方がいいのだと思います。

そしてあの時助けてくれた先生には感謝してもしきれません。

その後、キャンプ場は違う場所に変わり肝試しはなくなったそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ