短編1
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プラシーボ効果

「いいかね?プラシーボ効果というものはだね…」

年老いた教授が一人の学生に話して聞かせている。

例えば、胃痛で困っている患者に医者が胃薬だと言って薬を手渡す。

実はその薬の正体はごく普通の小麦粉。

しかし、胃薬だと信じ込んで患者が薬を飲むとたちまち胃痛は治ってしまった。

「つまりは、人間の思い込みが体にまで実際に影響を及ぼすという事で…」

教授が一通り話し終わると、学生は「なるほど」という顔をして言った。

「だから教授もこうしてココに居られる訳ですね、分かります」

そこで教授はハッとした顔をする。

「ん…?なるほど…こういう事もあり得るのか。さっそく論文にまとめて学会で発表せねば…」

言い終わるのが早いか否か、教授はたちまち消え去った。

「最後まで、どこかズレてる教授だったな…これで無事に成仏してくれたらいいけど…」

学生は目を閉じ合掌しながらつぶやいた。

怖い話投稿:ホラーテラー geniusさん  

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