幼稚園のころ、
子供用の小さなおもちゃの電子ピアノが家にありました。
小さな机に、触ると電子音が鳴るものでした。
僕は時々、音感がないので適当に音を出して遊んだものでした。
小学校の低学年のころ、
そのおもちゃのピアノは壊れてしまって音が鳴らなくなりました。
水槽の台になっておかれるだけでした。
僕は水槽が好きで、中の魚を目で追ったり、餌をあげたりしていましたが
おもちゃのピアノにはまったく興味をしめしませんでした。
小学校の高学年になったころです。
あまり思い入れもなかったので、
大掃除をした時にそのおもちゃのピアノを捨てることにして
家の外に出して粗大ごみの日を待っていました。
粗大ごみの日の数日前になったときのこと、外に出したままのピアノが
突然、意味不明に、ぷー、ぷー、ぷー、と音が鳴り出しました。
急に鳴り出したことが怖くなりましたが
家族で食事中であったにもかかわず、
好奇心で家の外に出てピアノに近寄りました。
すると、突然、さっきまでなり続いていたピアノは音を止めました。
がっかりしてまた場所を離れて家の中に入るとまた音が鳴り出します。
また、家を出て近づくと音は止まりました。
ピアノを直接手で押してみて音が鳴るか確かめてみました。
やはり壊れているのか音は鳴りませんでした。
その翌日も、突然鳴り出したりしていましたが、
「近づくととまる」
「指で押しても音はならない」
は、繰り返しでした。
いつか捨てられてしまいましたが、(たぶんです)
なんだかなくなったときには、寂しかったことを覚えています。
怖い話投稿:ホラーテラー きすけさん
作者怖話