短編2
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飼い猫2

続きです。

それから更に少し経った頃、家族で出かける事になり近所の人通りの少ない裏道を車で通りかかった時、いきなり激しい頭痛と耳鳴りに襲われました。

キーンという甲高い耳鳴りに混じって、聞き覚えのあるトラの甘えた鳴き声が聞こえてきたんです。

周りに猫なんていないし、聞き間違いでも空耳でもないと確信していました。

更に、脳裏にトラの姿が鮮明に思い浮かんだんです。そのトラは、後ろの両足を引きずりながら前足だけで近付いて来ようとするとても痛々しい姿でした。

トラは昔から、機嫌がいい時は薄目を開けて少し上を向きながらゴロゴロと喉を鳴らしていました。

そして脳裏に思い浮かんだトラはまさに、その機嫌のいい時のトラでした。

ただ一つ違ったのは涙を流していることです。他の猫が出産の時などに涙を流しているのは見たことがありましたがトラの涙は初めてで、私は胸が苦しくなり堪えきれずに車の中で泣き出してしまいました。

心配する両親に事情を話して、その日は予定をキャンセルして帰宅しました。ちなみに両親は何事もなかったみたいです。

その時から私は、もうトラが生きていないのを感じていました。

それから数日後の夜、友達カップルに誘われて3人ドライブに行きました。

その帰り道にあの場所を通りかかろうとしたんですが、何となく嫌な予感がしたんです。

本来ならその道を通る予定ではなかったのですが、なぜか運転していた友達の彼氏が道を間違えたんです。

嫌だなぁと思っていると案の定、以前家族で通った時と同じことが起こりました。

ただ前回とは違いトラの鳴き声が低く唸るような(「ヴー」とか「グー」といった感じです)威嚇する声だったんです。

更に脳裏に浮かぶトラは、歯を剥き出して目を見開き遠くを見据えるような感じで私の知っているトラとはかけ離れており恐怖すら覚えました。

この道を通るのを嫌がり避けようとしていた私を怒っているんだ、と思い心の中で何度も謝りました。

それでも頭痛や耳鳴りはやまず、更には吐きそうになったため事情を話して車を停めてもらい外に飛び出しました。

すみません。

字数の関係で続きます。

次で終わります(>

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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